コラム - 組織のルール

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組織のルール

全国ワーストワンを3年で返上!の秘訣

「横浜方式を横展開する!」

待機児童の問題に関して、安倍総理が言った言葉です。


12年4月時点で、待機児童数は、全国で2万4,825人。

はじめから申請をあきらめているケースを含めると数十万人とのこと。

それを政府は、今後5年で40万人の保育の受け入れを確保し、

待機児童数をゼロにする目標を打ち立てました。


その目標を達成するための方策の一つが、

「横浜方式」ということらしいのです。


横浜市は、3年前の2010年、待機児童数が1,552人で、

全国ワーストワンでした。

それが、林文子(はやし ふみこ)市長が2009年の就任以来、

様々な手を打ち、今年はなんと待機児童数が

ゼロになる見込みらしいのです。


(1,552人(2010年)→971人(2011年)→179人(2012年)→0人(2013年))


で、この解消プロセスが横浜方式と呼ばれているようです。


先日5月3日(金)、ワールドビジネスサテライトに

林文子横浜市長が出演し、

どのようにして待機児童をゼロにしたのかを語っていたのですが、

個人的に興味を持ったのは、横浜方式の内容よりも、

林市長が言っていた「民間での経験を市政に活かした」ということでした。


林市長、BMW東京、東京日産自動車販売、ダイエーなど

の民間企業のトップを歴任してきた敏腕経営者なんですね。


林市長曰く、「民間では当たり前にやっていることだけど、

行政ではやれていない」ということだったんです。

だったんですが、話を聞いていて思いました。


『えっ、これ確かに当たり前のことかもしれないけど、

民間の企業なら当たり前なんてことなくて、

できているところ意外に少ないぞ』と。


どんな内容だったかというと、以下の5項目。


①目標の設定

②PDCAの徹底

③市民のニーズの把握

④専任の人員の設置

⑤徹底した議論


一つひとつ林市長が言っていたことを補足説明として、

そのまま掲載しておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(以下、林市長の発言)

①目標の設定

『まずですね、明確な目標設定を本当にやったんですね。

と言うのは、今までは受け皿を用意するというと、

また希望者が増えるので、いたちごっこですよと、

相当注意はされました。

でも、とにかくやりましょう、ということでやりました。』


②PDCAの徹底

『行政というのは、事業計画を決めて、予算を編成しますよね。

執行という言葉ではやっていくんですが、

途中の検証がほとんどないんですよ。

民間ですと、PDCAを回していくんですが、その考え方がありません。』


③市民のニーズの把握

『それから営業マインドがないんですね。

自分の方から出て行ってニーズを聞いて、

それに沿わせていくという発想があんまりないんですね。

つまり個に向き合うという感覚がないんですね。』


④専任の人員の設置

『保育コンシェルジュという肩書の人を各区役所に一人か二人置きました。

子供青少年局が中心となってやるんですが、その局と区役所をつなぐ人、

これ専任の保育の係長ですね。

そういう人を置いて、保育コンシェルジュさんと

いいコミュニケーションを取りながらやっていただきました。』


⑤徹底した議論

『それから私がリーダーシップ取って、区長さんを集めて、

このテーマ(待機児童解消)だけについて会議をやったんです。

そういうのはかつてなかったんですね。

もう徹底的に議論しました。』

(以上)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なるほど~。

確かに、①の目標設定のところでいえば、民間ではやってます。

目標設定すると自分の首を絞めますよ、なんてことは、

民間ではあまり言われないことでしょう。

目標設定することすら行政では当たり前ではないというのは、

林市長としても、相当に違和感あったでしょうね。


が、他の項目については、どうでしょう?

林市長からすると、どれも「民間企業では当たり前」とのことですが、

いやいや、どれもこれも

「やれていて当たり前」のことかどうかというと、

現実は、決してそんなことないのではないでしょうか?


特に、②のPDCAを回すこと、⑤の徹底した議論、あたりは

やるべきこととはは分かりつつ、

またやろうと思えばできることにもかかわらず、

できていない組織が多いのではないかと思います。

正直、これらのことが当たり前にできていれば、

相当強い組織になります。


民間企業のトップを歴任し、結果を残してきた林氏の言う言葉だけに、

重みがあります。

言い方を変えれば、

「こうした“当たり前”のことを徹底してやったからこそ、

林氏は、民間でも、市政でも結果を出してこられた」

と言えるのではないでしょうか?


私がお付き合いしている会社でも、

上記の①~⑤でいえば、

目標設定して、PDCAを徹底して回し、

縦割りではなく、部門をまたいで徹底した議論をしている企業は、

やっぱり強いです。

当たり前のことを、他ができないぐらいに徹底して行う。

凡事徹底ですね。

林市長の話を聞いていて、改めて感じさせられたのでした・・・。


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