スゴ腕ボランティア尾畠春夫さんに見る「情緒的思考VS論理的思考」
山口県周防大島町で8月12日から
行方不明になっていた2歳男児が
3日ぶりに救出されました。
(って、もう既に発見されてから2週間以上
経っていて、このネタで書くのもかなり
時期を逸している感じではあります。
が、そこはご容赦いただき、
2週間前のニュースを
思い出していただきながら、
読み進めていただければ幸いです。)
発見したのが捜索に当たっていた
警察等の捜査関係者ではなく、
ボランティアで捜索に参加していた方
だったことでも話題になりました。
いやぁ、尾畠春夫さん、すごい方です。
本当に献身的というか、
見返りを一切求めず、いろいろなところの
ボランティアに参加されていらっしゃるんですね。
世の中には、こんなすごい人がいるのかと、
改めて感服させられました。
で、このニュースを見て改めて
感じたことがあります。
窮地に追い込まれたとき本当に力を
発揮できる人ってのは、
情緒的思考の人なんだろうということ。
仕事をするうえでは、
論理的思考が大切だとよく言われます。
論理的思考ができない人は、
仕事ができない人だとも・・・。
でも、今回の尾畠さん、論理的思考が強い人かと
言えば、失礼ながら、そうではないと思うんです。
どちらかと言えば、情緒的思考が強い人かなと・・・。
だからこそ、あれだけの力が発揮できている
のではないかとも思えるのです。
論理的思考とはどんな思考パターンかと言うと、
簡単に言えば、
A=C、B=C、だからA=C
というような思考で、誰が聞いても
理が通って、批判しようがない思考パターン。
例えば、仕事で、上司に提案をしたとして、
上司から「なぜ、この方策が必要なのか?」
と尋ねられたら、「なぜなら」と言って、
答えられる思考ですね。
上司:「なぜ、これを行う必要があるのか?」
部下:「はい、それには3つの理由があります。
一つ目は、顧客のニーズの変化です。
このグラフからも分かる通り・・・
二つ目は、競合企業A社の動向です。
・・・」
というような。
で、それに対して、情緒的思考とは、
感情が先立つ思考パターンなわけです。
好きだからやる、楽しそうだからやる、
という感じ。
上司:「なぜ、これを行う必要があるのか?」
部下:「なぜって、どうしてもやりたいんですよ。
やりたいからやる。
それじゃダメですか?
あえて言えば、お客さんの○○さんが
本当にいい人で、俺、あの人が大好きなんですよ。
何とかしてあげたいんです、○○さんのこと」
ってな感じでしょうか、情緒的思考とは。
これ、どちらが組織においては出世するかと
言えば、やっぱり論理的思考の人だと思います。
組織においては論理的思考の人のほうが、
周りを動かしやすいですから。
でも、心理学でいわれていることがあります。
論理的な思考の人は、
平常時にはコンスタントに成果を上げられるが、
窮地に追い込まれたときは弱い、
情緒的思考の強い人は、
平常時の成果にはムラがあるが、
窮地に追い込まれると強い。
窮地に追い込まれて、
もう打つ手がないって時に、
論理的思考の人は、「もうだめだ」と
諦めてしまう、でも、情緒的な人は、
「理屈じゃなく、どうしてもやり遂げたい」と
普通では考えられない力を発揮する、と。
今回の2歳児の行方不明の話でいえば、
2日経っても発見できない、となって、
ほとんどの人が諦めていたんじゃないかと思うんです。
私も、申し訳ありませんが、
「さすがに厳しいだろう」って思いは正直ありました。
“なぜなら”
140人体制であれだけ捜索していて
形跡すら見つからないのだから・・・
“なぜなら”
2歳児がこの暑さの中、飲まず食わずで
3日間も過ごせるわけがないのだから・・・
“なぜなら”
過去には猛禽類にさらわれたというケースも
あったのだから・・・
等々。
論理的に考えた結果、さすがに無事の生還は
難しいのではないかと・・・。
こんな風に論理的に考えたら、
窮地で行動はおぼつかないです。
行動しなければ、窮地を抜け出すこともできない。
でも、尾畠春夫さんは違ったわけです。
論理的思考なんかじゃなく、
「何としても助けたいから行くんだ」って
情緒に促されたのだと思います。
そうじゃなきゃ、あんな風に素早く行動できない。
やっぱり窮地に追い込まれたら、
理屈で考えるのではなく、
感情に任せた方がより大きな力が発揮できる
のでしょう。
仕事がうまくいかないときに、
「このお客様のために何とかしたい」とか
「この街が好きだからこの街のために
何とかしたいんだ」
とかって方が力が出る気はしますもんね。
ただ、尾畠さんも、捜索を始めてから20分で
発見できたとのことで、そこには論理的思考が
間違いなくあったと思います。
そういうことでいえば、
情緒的に心は熱く、
論理的に頭はクールに、
ってのが一番大事なのかも知れません。