コラム - 経営のルール

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経営のルール

会社の不正を防ぐには ~なんのために社長は会社を経営するのか?

またしても、大手企業による不正が発覚しました。

ビッグモーターによる自動車保険の不正請求。

外部弁護士による調査委員会が
まとめた報告書によると
多くの店舗で、修理の際、故意に車を傷つけ、
保険金を水増し請求していたとのことです。

傷をつける方法としては、

「ゴルフボールを靴下に入れて
振り回して車体をたたき、
雹(ひょう)害の痕跡を拡大させる」

「ローソク、サンドペーパーなどを
使って車体に擦過痕をつける」

「ドライバーで車体をひっかいて傷をつける」

「バンパーを力ずくで押し込むなどして
フェンダーに干渉傷をつける」

等々・・・

これだけ聞いていると
かなり悪質な行為が横行していたイメージを
持ってしまいます。


これらの行為による不正請求は、
修理件数全体の4割に相当し、
件数は1275件(計約4995万円)
に上るとのこと。

今後、調査が進めば、
もっと増えていきそうです。

保険金の水増し請求は
5年以上前から全国の修理工場で
横行していたらしいです。

ひとりの工場長だけでなく、
全国の工場長が同じ手口を
使って不正請求していたというのは、
ある意味ヨコの連携ができていることにはなりますね。

「どうしたら売上目標、達成できる?」

「うちは、こんな風に傷つければ、
水増し請求して、上手くやってるよ」

的な感じで。

どうせなら、もっとポジティブな
目標達成のノウハウを
情報共有できたらよかったのに・・・


調査委員会の報告書には、
こうした不正の具体的な内容やその規模、
そして、その原因が記されています。

報告内容を読んで思うのは、
こうした企業の不正は、
どこの企業の不正も内容は違っても、
その原因はほぼ一緒ということ。

なぜ、現場の社員は不正に手を
染めてしまうのでしょう?

社員は誰だって、不正をしたいと思って
仕事をしているわけではないはず。

にもかかわらず、不正をしてしまうとしたら・・・

それは、

『不正をする方がまだマシ』

という環境がその組織にあるからでしょう。

そして、その不正をする方がまだマシ、
と思わせてしまう状況は、たいていの場合、
これです。

「目標が達成できなかったときの
上位者による叱責(パワハラ)」。


今回のビッグモーターも同じ。

先の報告書によると、
不正の原因になったのは、

整備工場に不合理な目標設定を強いていたことや、
上司の裁量による不適切な降格処分が
あったと指摘しています。

従業員へアンケートを実施したところ、
回答者382人のうち261人が、
『会社が売上向上を最優先していたから』
と答えています。

また、167人が、
『上司からの不正な指示に
逆らえない雰囲気があったから』
と答えています。


叱責されるのが嫌で、
不正に手を染めるぐらいなら、
会社、辞めればいいのに、
と思いませんか?

「こんな会社では働けない」と
まともな感覚の持ち主は、
どんどん辞めていき、
不正をやれてしまう人が残っていくという
悪循環になったのでしょう。

ちなみに、ビッグモーターの
インセンティブ(成果報酬)は、
非常に高額な報酬が支払われていたようです。

店長は入社数年で2,000万円、
本部は4,000万円、5,000万円。
Webページにも、
未経験から月収15万円⇒月収150万円へ!
と謳ってあります。

では、どうしたらこうした不正を
防げるのでしょう?

一つは、やはり社長・経営層の
経営することに対する意識を
どう持つかだと思います。

自社は何のために存在しているのか?

自分は何のために会社を経営をしているのか?


この答えを間違えたら、
やっぱり不正につながりやすくなる。

ビッグモーターの経営理念は、
「常にお客様のニーズに合った
クオリティの高い商品、サービス、情報を提供する」
とあります。

目標を設定するのであれば、
この経営理念に沿った目標を、
そして、行動を徹底させる強さが
経営層には求められるでしょう。

それと併せて、
経営層は何のための自分たちは
会社経営をしているのか、
会社としてのお客様だけではなく、
「経営者のお客様は社員である」
認識することです。

「いやいや、経営者側が社員に
お金払ってるんだから、
逆じゃないのか?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでいう「お客様」は金銭のやり取りが
発生する相手ということではありません。

仕事を通して喜ばせるべき相手です。

経営者は社員を喜ばせなければならない。

経営層は、社員にいかに幸せを感じて働いてもらうか、
それを徹底的に考えることが大事ではないでしょうか?

社員が働く喜びを感じられる会社にすることが
社長の一番の役割と捉えることが
不正を防ぐだけでなく、
原理原則として大事だろうと考えています。

不正防止策のもう一つは、
社員の問題解決力を高められる教育の徹底でしょう。

問題解決力とはすなわち目標達成力です。

それも、現場の社員一人ひとりが
高めるのもありますが、
個人的には管理者による
部下の問題解決支援力の強化が
必要だろうと考えています。


下位者が目標が達成できなかったときに
上位者が叱責をするのは、
叱責でしか問題解決(=目標達成)を
させられないからです。

つまり部下を叱責する人は、
自分の目標は達成できるかもしれませんが、
部下の目標達成を
支援できるだけの力のない上司と言えます。

部下が目標を達成していくうえで、
何をどう考えて、どう取り組めばいいかを
ちゃんと指導できるだけの問題解決支援力、
それがあれば、少なくともパワハラは少なくなります。

今回のビッグモーターでいえば、
工場長が売上目標を達成できるように、
どのように考えて取り組めばいいのか、
そのあたりの指導が上位者からあれば、
不正は起きなかったかもしれません。

もちろん、適正な目標であることが
前提ではありますが。

不正が発覚したら、
今まで積み上げてきたものが全て消え去るわけで、
その重大さは認識しておかなければなりませんね。


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