コラム - 経営のルール

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経営のルール

ホワイト企業では勝てない、目指すは・・・

かれこれ20年以上お付き合いしている
企業さんがあります。

その企業さんで今年度から
新たなプロジェクトがスタートしました。

プロジェクトの具体的な内容を
お伝えするわけにはいきませんが、

そのプロジェクトに
参加されている方の部署で
不思議な部署があるのです。

参加されているのはその部署のリーダーで、
部下の方は5名いらっしゃいます。


どう不思議かというと・・・

まず、そこの部署がめちゃくちゃ忙しい。

残業は当たり前。

しかも、その残業時間が
(ここでは具体的な時間をお伝え出来ませんが)、
聞いたら、「マジですか!」「昭和ですか?」
という反応になってしまうような残業時間。

また、会社として「重点顧客」と
位置づけられたお客様を担当する部署で、
かなりプレッシャーが掛かる仕事をしています。

しかも、そのお客様の要求が非常に高く、
無理難題を突き付けられ、
頭を抱えるケースも多い、とのこと。

にもかかわらず、

この部署のメンバーの方々のエンゲージメント度を
測定したところ、他部署と比較しても非常に高いのです。

「エンゲージメント(engagement)」とは、
従業員の会社に対する愛着心や思い入れといった意味。


今回は、会社に対するエンゲージメントというよりは、
所属部署に関するエンゲージメントを確認しました。


つまり、残業がめちゃくちゃ多くて、
お客様からは無理難題を突き付けられ、
プレッシャーも非常に強い職場、にもかかわらず、
その部署のメンバー人たちは、
「この部署、好きだ」と感じているのです。

リーダーの方自身も不思議というぐらい・・・。

なぜ、このようになっているのでしょう?

私の推測の域を脱しませんが、
その部署のリーダーの方から聞いた内容も踏まえ、
少し考察してみたいと思います。


一つは、メンバー間で助け合える風土が
できていることでしょう。

人間、どういうときにストレスが
溜まって疲弊してしまうかというと、
次の二つが揃ったときだと考えています。

・この大変な状況がいつまで続くのだろうと、
  終わりが見えないとき

・大変な状況にあって、
  誰も助けてくれる人がいないと感じたとき

です。

大変な状況にあっても
この状況はあと半年後には何とかなる、
と先が見えれば頑張れます。

また、この大変な状況にあっても、
誰かが助けてくれる
と感じられれば頑張れます。

この部署でいえば、
実は、先が見えない状況だったりするのです。

終わりの見えない大変さだったりします。

なぜなら、重点顧客である
お客様の要求がとどまることがないから。


となると、もう一つの要素です。

誰かが助けてくれる

これが実現できているのだろうと思うのです。

実際、リーダーの方からも

「お互いに頑張りながら、
お互いに助け合っている。

誰々さんが頑張っているから、
自分もやらなきゃ、という気持ちになれている。
また、助け合える雰囲気もできている」

とのことでした。

あと、この職場で、社員さんは「働きがい」を
感じられているのではないかと思うのです。

お客さまからの無理難題に対して、
残業してでも、無理してでも、
対応していることに喜び(=働きがい)を
感じているのではないかと。

仕事に働きがいを求める社員さんが
集まっていると言ってもいいでしょう。

もしも、仕事に働きがいではなく、
働きやすさを求める社員さんが
この部署に集まっていたら、

恐らくエンゲージメント測定の結果は
低くなっていたと思います。


企業(職場)を
「働きがい」と「働きやすさ」の軸で
区分けするとこうなります。

※出典:日本経済新聞「NEO-COMPANY モードチェンジ」


目標を達成したり、お客様の期待に応えたりして、
喜びを感じることは少ない(=働きがいは低い)。

しかし、時差出勤はできる、有給は自由に取れる、
育休制度も充実している、残業はほぼない、
というワークライフバランスが実現した
働きやすい職場、これはホワイト企業。

働きやすさは低いけど、働き甲斐のある職場、
これはモーレツ企業、

働きがいも低く、働きやすさも低いブラック企業、


そして、
働きがいも高く、働きやすさも高い
プラチナ企業。


あなたの会社・職場は
どこに当てはまりそうでしょうか?

現代の理想は、「働きがい」も「働きやすさ」も高い
プラチナ企業。

今回のご紹介した部署でいえば、
どう考えても「モーレツ」なんです。

でも、エンゲージメントのレベルは高い。

それはこの部署のメンバーが働きやすさよりも
働きがいを求めているメンバー
だからというのはあるでしょう。


とはいえ、やはり目指すべきは
プラチナ企業・プラチナ職場。

なぜなら、企業の業績でいえば、

ブラック < ホワイト < モーレツ < プラチナ

となるから。


また短期的な成果であれば、
モーレツ企業でもいいかもしれませんが、
長期的には続きにくいでしょう。

長期的な成果を求めるなら
プラチナ企業・プラチナ職場を目指すべきです。


モーレツ企業、ホワイト企業、プラチナ企業
の業績(売上伸び率)や
PBR(株価純資産倍率)を比べると、
一番高いのは、プラチナ企業。

モーレツ企業とホワイト企業の業績を比べると
モーレツ企業の方がホワイト企業よりも高いのです。

今回ご紹介した部署の課題は、
「いかに働きやすさを両立させていくか」
ですね。

難しい課題ではありますが、
なにか方法はあるはずです。



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