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項羽の伯父項梁の人を判断する基準

司馬遼太郎「項羽と劉邦」(上巻)より。

普段の何げない言動って、意外に人から見られていて、それがその人の評価に
つながっていくということってあると思います。

普段から特に人との調和というのは気をつけていないといけないなぁと感じる今日この頃です。

そんな一節を司馬遼太郎の「項羽と劉邦(上巻)」より紹介します。

項羽の伯父項梁が、呉の町で地元の有力者的立場になり、
人の葬儀などを取り仕切る役を果たしていたときの話。


「有力者が死んだ場合の大きな葬儀になると、項梁は一軍の総帥のように奥深く陣どり、配下を指揮した。

滑稽なことだが、こんな暮らしの項梁にもいつのまにか多くの配下ができていた。
葬儀のときにはかれらをひきつれてゆき、能に応じて仕事させた。

葬儀ごとに、あらたな人材を発見した。

(この男は百人ぐらいの長になれる)

と思うと、とくに目をかけ、さまざまなことを教えてやった。

人というのは、とりどりに出来ている。最初は人目をおどろかすほどに華やかな才を持った男のようにみえても、そのうち、

(あれはただ人目をひくだけの才で、とても多数の人間を統御できない)
となると、項梁はその程度のあつかいにしてしまう。

後日譚(ごじつたん)になるが、項梁が旗揚げしたとき、葬式や労役の現場で育てたり目をつけたりした右のような連中を能力に応じて役につけたが、選に洩れた者がいた。

その某なる者が、なぜ私をお軽んじになるのです、と苦情をいってきたとき、

「あなたは、ずっと以前、なにがしの葬式のときのことを憶えておられるか」

と鄭重にいった。あのとき公(あなた)をしてこういう役につけたが、それをあなたはうまくやれなかった、だからこのたびの任用から外した、というのである。

この某は能力よりもむしろ人との調和のうまくゆかない人物だったのであろう。

賭博的な挙兵をするとき、個々の指揮官の能力の上下はさほど重要ではない。

それよりも団結のほうが肝要で、そのことに害がありそうな人間はあらかじめといのぞいておく。

この一事でも項梁という人間がどういう男かがわかる。」


以上


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