問題解決は足し算ではなく、引き算で
今週伺った弊社のクライアントさんでの話。
その会社さんでは、
業務のムダを挙げ、みんなで改善するという仕組みを構築して、
業務効率を上げていく活動に取り組んでいます。
その中で、先日こんな問題(ムダ)が挙げられました。
「倉庫で、必要なものがどこにあるか分からず、
ウロウロ探してしまうことがある」
これは、間違いなく業務における「ムダ」ですね。
チーム単位で行っている「ムダ取り会議」では、
対策案として、以下の策が決められました。
「倉庫内の整理・整頓をして、
どこに、何が、いくつあるか
ちゃんとわかるようにしよう」
1か月前のことです。
ちなみに、私はその場には同席していませんでした。
で、それから1か月が経ち、
どうなっているか?
なかなか思うように進んでいない、
とのことでした。
なぜか?
問題解決で一番大事な
「絞る」
というステップが抜けているからです。
この「倉庫でモノを探すムダ」に関していえば、
次のように絞ることが必要です。
リーダー:なるほど、なるほど、
倉庫で何がどこにあるか分からないんで、
ウロウロ探してしまうってことですね。
他の方にも伺いたいんですが、
何を探してウロウロしてしまうことが
一番多いですか?
データがあるわけではないんで、
感覚でいいんですけど、
最も探していることが多いモノって何です?
メンバー:それでいえば、○○じゃないかなと思うんですが。
リーダー:他の方いかがですか?
メンバー:はい、○○を探すことが多いです。
リーダー:では、まずは倉庫全体を一気に整理整頓し、
全てのモノがどこにあるかを明確にするのではなく、
○○についてだけ、
とにかく探すことがないようにしましょう。
というように「絞り込む」ことが大事なのです。
一気に理想とする姿にするのではなく、
第一歩としての優先順位をつけて、取り組んでいく、
これが大事。
このプロセスを入れるか、入れないかで、
問題解決のスピードは劇的に変わります。
この絞るというのは、
言い方を変えれば捨てることです。
倉庫の事例で言えば、
他にも探しているモノはあるでしょう。
でも、とにかく○○に絞り、
他の事は一旦捨てるわけです。
ただ、なかなか捨てることができないのが人間の性ですね。
人間の性(本能)に抗うと、仕事はうまくいくと思っています。
先日、5月9日(日)の日本経済新聞の26面に
こんな記事が載っていました。
『人は、問題解決をしようとするとき、
「足し算」を意識し「引き算」を軽視する傾向がある』
『人間は「引く」より「追加」で物事を解決する傾向がある』
事例として、
「エッセーを改善するように頼まれると、
多くの人は文章を長くした」
「旅程を整えるよう頼まれると、
多くの人は立ち寄る場所を追加した」
「レシピの改善をするように言われると、
人々はより多くの材料を投入した」
等々
が挙げられていました。
問題解決において、仕事において
「引き算すること(=絞ること)」
これが非常に大事。
こうした問題解決手法や問題解決会議の進め方を
公開研修でお伝えしています。
ぜひ、「引き算する」という概念を身につけ、
問題解決力を高めて、仕事力を高め、
より高い付加価値をお客様に、社会に
提供できるようになっていきましょう!