コラム - 仕事のルール

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仕事のルール

追悼ミスタープロ野球~長嶋茂雄氏に学ぶプロとしての哲学

2025年6月3日、
ミスターこと長嶋茂雄さんが逝去されました。
享年89歳。

テレビでも連日、長嶋茂雄さんの特集番組が組まれ、
現役のころの華やかなプレー映像や面白エピソード、
監督時代のインタビュー映像などが放映されています。

本当に万人から愛された稀代の方だったんだなと
思わされます。

まさにスーパースターです。


ただ、残念ながら、
私自身は、長嶋茂雄さんの現役のころの
記憶はほぼありません。

引退されたのが、私が小学3年生の時で、
中日が20年ぶりに優勝をし、
巨人のV10を阻んだ年です。

ちょうどこの年から野球に興味を持ったのですが、
記憶にあることでいえば、
中日が優勝した後のダブルヘッダーでの
引退試合での姿ぐらい。

その記憶もかなり怪しい・・・

で、テレビの特番を見ていて、
改めて思ったのは、

『長嶋茂雄さんは、とにかく
人の期待に応える、人を喜ばせる
ということに徹した方だったなぁ』

ということ。

その『人の期待に応えたい、喜ばせたい』という
想いの背景には、
長嶋茂雄さんにとっての『プロとは何か?』
という哲学があったのだと感じています。

長嶋茂雄さんにとってのプロとは、
『お客さんの期待に応え、喜ばせる人』
という哲学があったと思うのです。

テレビでの発言をそのまま引用させていただくと、

長嶋茂雄さん:
「やっぱり野球に対するものはね、
“ファンがあっての野球”であると」

長嶋茂雄さんの著書『野球は人生そのもの』
にもこう記されています。

『プロとは表現力、観客に感動を抱かせる、
それがプロたるものの使命であり、姿勢である』

巨人のV9を共に支えた柴田勲氏も
テレビでこう語っていました。

『まずは観客席を観るんですよね。
「今日はお客さん入っているな。
よし頑張るぞ」というんです。
常に長嶋茂雄という人間を
どうやってお客さんに見てもらおうか
を考えていましたね。
だから、人一倍体調とかには気を付けていた』

長嶋茂雄さんの場合、
お客さんの期待に応えるだけではなく、
その期待をはるかに超えるパフォーマンスを
提供していました。

お客さんの期待に応えられなければ不満、
お客さんの期待に応えるだけなら満足、
お客さんの期待を超えると感動

長嶋茂雄さんは常にお客さんの
期待を超えたプレイを見せて、
感動をファンに与えていたのでしょう。

ファンがここで打ってほしいと思うときに、
ちゃんと打つ。

天覧試合でのサヨナラホームランなんて
最たるものではないでしょうか。

こうした結果を出すことだけではなく、
ファンの期待を超えることを常に
考えていたのだと思います。

例えば、有名なエピソードでいうと
空振りしたときのヘルメット飛ばし。

少し大きめのヘルメットをかぶり
フルスイングした時に脱げやすくしていた
というのは有名な話です。

『ぼくはヘルメットの飛ばし方まで研究したんですよ。
三振はバッターにとって
いちばんダメな醜いシーンでしょ。

でも、三振しても何か光るものを
お客さんに与えにゃならんと思って。
グラウンドに出ている2時間半なり3時間は、
お金をとって見せる自己表現ですよ』
『伝説の長嶋茂雄語。』(小林信也・編/小学館・刊)

そして、こうした期待を超えた感動を与えるために
ものすごい努力をされていたと思います。

しかし、その努力をお客様に見せないのもプロである
という哲学も持っていたのだと思います。

長嶋茂雄さん曰く
『努力は人に見せなくていいんだ。
グランドで姿を見てもらえればいいので
努力は隠れてやるものだ。
野球選手は努力をファンに見てもらうために
野球をやっているんじゃない』


そしてこうしたプロ像を実現するだけでなく
「仕事を楽しくやる」。

長嶋茂雄さんの場合、
これはなんか意識をしていなくても
できていたんじゃないかという気もします。

とはいえ、長嶋茂雄さんだって大変な時も
あったでしょう。

でも、そうした大変な時、辛い時に
辛そうな顔をするのなら誰だってできます。

大変な時、辛い時に
辛そうな顔を見せるのではなく笑顔を見せる、
なかなかできることではないですよね。

私個人的には、これこそが人間力だと思っています。

辛い時に辛そうな顔をする、
気に入らないことがあったら不機嫌な顔をする、
腹立たしいことがあったら怒りの表情をする、
これは誰にだってできることですからね。

こうした万人に愛された長嶋茂雄さんの思考と言動、
学ぶべきことは多い気がします。

以下の問いに私も答えを
出して続けていきたいと思います。

『自分自身にとってプロとは・・・』

『プロとして、最も喜ばせたい人/人たちはだれか?』

『その人/人たちは、自分のこの仕事に
どんなことを期待してくれているか?』

『その期待に応えるためにはどうしたらいいか?』

『その人/人たちに、単なる満足ではなく、
感動を与えるとしたらどうしたらいいか?』

『(長嶋茂雄さんのヘルメット飛ばしのように)
仕事そのものの質で喜ばせるのではなく、
そのほかの付随的なことで
喜ばせることができるとしたら何ができるか?』

『辛い時に辛い表情をせず
仕事を楽しくやっている印象を
与えるにはどうしたらいいか?』

追伸
翻って、我が中日ドラゴンズの選手たち・・・
ファンの期待にまったく応えられません。

打ってほしいところでことごとく打たない。
期待に応えない。

しかも、応えられなくても、
全く意に介する感じもない。

ファンの期待に応えられない自分たちを
責めることもなし。

選手だけでなく親会社も
「プロとは?」を問い直してもらいたい。

これだけ弱くてファンの期待に10年以上も
背き続けているのに何も手を打つ気もなし。

長嶋イズムを少しでも見習ってほしいものです。


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