『どうしたら』の前に『どこ』を考える
ファシリテーションは狭い意味でいえば、
会議とか打ち合わせ、ミーティング。
それをうまく進められるための
考え方やスキルを身につけよう、
という内容です。
例えばですが、もしあなたが参加されている
何かの会議で、以下のテーマが挙げられたとしましょう。
「若手の離職率が高まっている。
どうしたら若手の離職を防げるか?」
あなたなら
どんな発言をされると思いますか?
発言のタイミングとしては、
会議がスタートしてすぐぐらいの
イメージです。
もしも、会議がスタートしてすぐに
「若手社員の離職を防ぎ、定着されるには、
先輩社員や上司とのコミュニケーション量を増やし、
若手社員の孤独感を解消しなければいけないと思います」
とか
「そもそも採用段階で、
うちの状況ももっと詳細に伝えて、
入ってからのがっかり感をなくす必要が
あるのではないでしょうか?」
と「対策系」の発言をしているとしたら
会議としては、あまりいい成果が
出せないのではないかと思います。
なぜなら、この発言は、
人としての心理というか本能のままに
発言をしていることになるからです。
会議に限らず、問題解決、組織運営、
マネジメントは、
人の心理というか根源的欲求というか、
本能的なものに従っているとうまくいかない、
逆に、こうした人の心理・本能に反することを
行うとうまくいく。
これ、私の持論。
では、対策を考える前に
すべきことは何か?
それをお伝えする前に、
心理・本能に従っているとうまくいかない、
心理・本能の逆をやるとうまくいく、
という事例をいくつか紹介させてください。
例えば、人の心理、本能でいえば、
人の話を聞くよりも、自分のことを伝えたい、
という欲求があるでしょう。
しかし、人の話を聞かないより
仕事においては人の話を聞いた方が
人間関係もよくなるし、
仕事も効率化されて
うまくいきやすいでしょう。
上司が部下の話を聞きなさいと、
管理者教育か何かで言われたとしても、
なかなか部下の話を
しっかり聞けるようにならないのは、
本能に従っているからだと思います。
他にも、人間の心理・本能としては、
何かを変えるということは、
あまり好きではありません。
人間は基本、変化を好まないものです。
でも、やっぱり変化をしていかないと、
組織も人もいずれは衰退していってしまう。
変化したくないという本能に抗って
チャレンジして、変化させられてこそ
うまくいくと思うのです。
他にも、人間の本能で言ったら
足りていないところばかりが気になる、
というのもあります。
自分自身に対しても、
ひょっとすると身近な人に対しても
できていないところが気になる。
組織においても
うまくいっていないことばかりが気になる。
でも、このできていないところが
気になるという本能に抗って、
うまくいっているところ、
できていることに意識を向けることで、
うまくいくことは多いでしょう。
また、人間一旦手にしたものを
手放すことってなかなか難しいことです。
でも、それに抗い捨てるべきものを
捨てられた方がうまくいく。
仕事における課題にしても、
あれもこれも取り組みたいという本能に抗い、
重点指向で課題を絞るほうがうまくいく。
と長々と本能に抗うとうまくいく事例を
ご紹介しました。
いろいろと人間の本能に反することを
行うとうまくいくことが多いのです。
会議の話に戻りましょう。
「どうしたらいいか」と対策を
考える前に考えるべきことは何か?
「なぜ、若手社員の離職が多いのか?」
と「原因系」を考えるのではありません。
これもある意味、本能に従ってます。
ではなく、「どこ」を考えると
うまくいきやすくなります。
例えば・・・
「職種別でいったら、
特にどの職種の離職者が多いのか?」
「時期でいったら
特にどの時期の離職者数が多いのか?」
「地域でいったら
特にどの地域の離職者が多いのか?」
「性別でいったら男性、女性どちらの
離職者が多いのか?」
等々・・・
「どこ」を考え、絞ってから、
その絞った部分について
「なぜ」、「どうしたら」を
考えていく。
こうした方がより具体的な「なぜ」が
考えられるようになり、
より具体的な「どうしたら」が
考えられるようになっていけるのです。
ぜひ、本能のままに生きるのではなく、
本能に抗ってみることを意識してみましょう。
私も意識だけはしています。
とはいえ、
本能に抗わなければならないからこそ、
仕事、いえ人生というのは、
難しいのでしょうけど・・・