コラム - 仕事のルール

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仕事のルール

二つのコミュニケーションスキルで人を動かすケアマネのお話

ほんのちょっとコミュニケーションを
変えることで、相手の反応が大きく変わる。

今回は、そんな体験をされた
とあるケアマネージャーさん(30代、女性)の
事例をご紹介します。

私が講師を務めた中小企業大学校瀬戸校での研修、
タイトルは「実践から学ぶ!提案営業の進め方」。


全4日間の研修で、
7月10日・11日に前半2日間、
そして8月21日・22日に後半2日間、
で開催されました。

後半の研修時には、
前半で学んだスキルを実際に
現場で試してみてどうだったかを
受講者の方々にご報告いただきました。

その中で印象的だったのが、
このケアマネさんの取り組み。

伝えた講師の私が、
「たったこれだけで、
こんな成果があるものですかぁ!?」
と思えてしまう内容でした。


彼女が実践したのは、
「クッションフレーズ」と「共感」。

どのような変化・成果を得られたのか。

まず「クッションフレーズ」について・・・

「クッションフレーズ」とは、営業の場面でいえば、
営業担当者がお客様に対して問いかけるときに、
お客様がその問いを受け取りやすくする、
かつ、答えやすいように一言を添えるというもの。

彼女はこれを、
要介護者の方やそのご家族の方に対し
今後の介護プランを伝える“提案”の場面で実践しました。

こんな感じです。

(提案の前段階で)
「私などがしゃしゃり出て申し訳ないのですが、
○○に関してご提案させてもらってもいいですか?」

「若輩者の私なんかが言うのも
おこがましいのですが、
○○についてお伝えしてもいいですか?」

こうした一言を伝えてから、
相手に提案をする
(もしくは問いかける)。

このケアマネさんが実践されたところ
どのような変化があったかというと・・・

以前であれば、
「なぜあなたにそんなことを
言われなければならないの?」と
反発されたことも度々あったそうです。

ところが、クッションフレーズを使ったうえで
提案をするようにしたら、
要介護者の方やそのご家族の方から
「ぜひ聞かせてください」と
促されるようになり、
かつ提案をしっかりと聞き、
受け入れてくれるようになったとのことなのです。

大きな変化、大きな成果だと思うのですが、
いかがでしょう?

人って、上から目線で、
マウントを取ってくるような人からの
提案・アドバイスは聞きたいと思いません。

少し謙虚な態度を取って、伝えてみる、
それだけで聞こうともしてくれなかった人が
「聞かせてください」というようになる、
しっかりと受け取ってくれる。

なんとも人間心理って面白いです。

次に「共感のスキル」。

「共感のスキル」とは、
「それは辛いですね」、
「それは寂しいですよね」と、
相手が抱いている感情を言葉にして返すスキル。

奥様の入院について決めきれずにいた85歳の男性。

その男性に対して、ケアマネとして
何度も様々な提案をしていたそうです。

「こうしてはどうか?」、
「ああしてはどうか?」と。

しかし、その男性は首を縦には振らなかった。

で、7月の研修後、そのケアマネの方は、
研修で学んだ「共感のスキル」を駆使して、
その男性に対して徹底的に共感をし続けたそうです。

その結果、今までケアマネとして伝えるどの提案も
受け入れてくれなかったこの男性が、
自ら「これからはこうしていく」と
自分の意思を伝えてきたとのことなのです。

そのケアマネさん曰く、
「今までこの男性の辛さを
理解してくれる人はいなかったんだと思います。
で、私から共感してもらえたことで気持ちが落ち着き、
ようやく次を考えられるように
なったのではないでしょうか」
とのことでした。

いかがでしょう?

この事例を通して、
私があなたにお伝えしたいことが
二つあります。

クッションフレーズと共感を使おう、
ってことではありません。

一つは、
「行動した結果に好奇心を持とう」
ということ。

当たり前といえば当たり前なんですが・・・。

研修を受けたり、本を読んだりして
知識を得るだけではなく、
その得た知識に基づき、実際に行動に移して
初めて何らかの変化や成果が出ます。

研修を受けることも、本を読むこと自体も
それが目的ではありません。

目的はそこで学んだ新たなことを
実践して、成果につなげること。

では、どうしたら研修などで得た知識やスキルを
実践に移せるのか?

実践したときに起こるであろう
変化や成果に対する好奇心を持てると
いいのではないかと考えています。

「研修で講師の人がこんなことをすると
こんな成果が出る、って言っていたけど本当かな?

自分が実践してみたら、どんな成果が出るのだろう、
本当に講師の人が言っていたような
成果が出るのだろうか?

とにかくどんな変化が起こるか、もしくは
どんな成果が出るのかを楽しみにしてみよう」
という感じ。

もう一つは、
「人の考えを変えるには、
まず行動を変えることが有効」
ということ。

今回ご紹介したケアマネの方は、
要介護者の方やそのご家族の方への
“自分の態度”を少し変えてみました。

その小さな行動による変化や成果が実感できたとき、
それが成功事例となり、自分の考え・意識が
変わっていくのではないでしょうか?

例えば、今までは人の気持ちを汲むなんてことよりは、
とにかく合理的な理に叶った提案をすれば、
人は受け入てくれる、
という考え方を持っていたとしましょう。
(今回のケアマネの方がこうした考え方であった
ということではありません)

それが今回のような成功事例を得ることで、
「人は自分の気持ちを分かってくれる人の
いうことは聞いてくれる。
頭で分からせるだけでは人は動かない。
心を揺さぶることも人を動かすには必要」
という考え方に変わる、というイメージです。


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お考えの経営者、営業部長の方は
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