人間とサルの違いは、自発的な協力ができるか否か
人間と他の動物との根源的な違いとはなんでしょう?
人間にはできて、他の動物には出来ないこと。
つまり、人間を人間たらしめているものとは一体何なのでしょうか?
1月22日にNHKで放映された「ヒューマンなぜ人間になれたのか(4回シリーズの第1回)」を
ご覧になった方も多いのではないかと思います。
組織を勉強している身としては、かなり興味深い内容でした。
そもそも、なぜ、人は群れ(グループ)を作るのか、
なぜ、人は見ず知らずの人にも優しくできるのか、
なぜ、笑顔が大切なのか・・・
そんなことが人間誕生から20万年という太古の歴史を紐解くことで見えてくるのです。
いやぁ~、これは企業の組織論に活かせますよ!
番組の中では、こんな実験が紹介されていました。
2匹のチンパンジーを隣り合った部屋に別々に入れます。
部屋の壁は透明で、お互いの姿はお互いが確認できるようになっています。
一方のチンパンジーAの部屋には、
壁の一つの面の下の方に縦30cm横50cmほどの隙間があります。
チンパンジーAの部屋の前に好物であるジュースを置きます。
が、その隙間からどんなに手を伸ばしても、ジュースを取ることができません。
チンパンジーBの部屋には、スティック(杖)があり、
そのスティックを使えば、ジュースが取れそうです。
2匹の部屋にはそのスティックを受け渡しができる隙間が空いています。
チンパンジーAがチンパンジーBにスティックを渡すよう、
部屋を隔てた壁にある隙間から手を伸ばします。
するとチンパンジーBはスティックを「どうぞ」とAに渡すのです。
チンパンジーも人間と同じように協力行動ができたわけです。
その後、スティックを手に入れたチンパンジーAは、それを使ってジュースをゲットします。
で、そのジュースをBに分け与えたかと言えば、そんな行為は一切ありませんでした。
が、問題はここからです。
もう一度、同じ状況にチンパンジーAとBを置きました。
立場を入れ替えたということはありません。
当然、チンパンジーBはAがスティックを必要としていることは、
先ほどの状況から分かっています。
が、全くスティックを渡そうとはしません。
ひょっとして先ほどチンパンジーAがジュースを
一人占めにしてしまったからなのでは、と
思ったのですが、事実はそうではありませんでした。
チンパンジーAが同じように手を伸ばすと、
何の躊躇もなくBはスティックを手渡したのです。
番組の中では、これこそが人間と他の動物の決定的な違いだということでした。
チンパンジーの場合、協力はするけれども、
相手から明示的に要求されない限り、相手を自発的に助けることはしない、
人は人、自分は自分、ということ。
しかし、人間は、他の人が困った状況に置かれているのが分かれば、
自発的に協力行動をするのです。
この自発的協力行動ができるかどうかが、
人間を人間たらしめていると言えるのです。
自発的に協力できるか否かが、人間の証明とは・・・。
なんとも深い話です。
人に対する妬みや羨ましさ、さらには憎しみも人間の感情。
私自身も決してそれらの感情がないとはいえません。
きっとあなたも全くないとはいえないはずです。
でも、それらの感情を自覚しながらも、
他者への自発的な協力が出来ることが人間らしく生きることにつながるのでしょう。
番組の中では、次にこの疑問に答えていきます。
「なぜ、人間は自発的な協力ができるようになったのか?」
人類の歩んできた歴史から解説がなされていました。
これはまた明日以降のブログ記事で書きたいと思います。