理念や価値観を浸透させるために必要なこと・・・。
2011年10月13日放送 「カンブリア宮殿」より
ゲストは、ヤマトホールディングス会長の瀬戸 薫(せと かおる)氏
ヤマトホールディングスとは、言わずと知れた宅配便の国内最大手の企業。
2010年度の売上は、1兆2,365億円。
1976年に宅急便をスタートさせたのが、2代目社長の小倉昌男氏。
その小倉昌男氏の薫陶を受けて育ったのが現会長の瀬戸薫氏。
番組中の瀬戸氏の言葉をいくつかピックアップしてみました。
●教えないからこそ、できるようになる
セールスドライバーをどう教育しているのですか?
との質問に対して。
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以下、瀬戸氏の言葉
『まず、エリアに密着しないといけないということで、
ドライバーはエリア担当制で、お客さんのことを一番よく知っている人が、
まぁ、そのドライバーであるというふうにまずしています。
その人たちへの教育なんですけどもね、ま、あまり大した教育はしていないですよね。
我々が教育するのは、「サービス第一ですよ」、あるいは、
「世のため人のためになることをしなさい」というふうな概略のことは教えますけども、
こと細かに小さいことは絶対に教えていない。
ま、お客様に対して反応するというのは、自分で考えてやっているんですね。
ですから、多分お客様が教育してくれたんで、
これほどになってくれたんじゃないかなと思っています。
ただ、我々もお客さんに喜ばれる新しい商品づくりはどんどんどんどんしているわけですね。
で、ドライバーが持っていくと、喜んでもらえる。
そうすると、喜んでもらえると、セールスドライバーとしては嬉しいから、
またもっといいサービスしようということで、
その繰り返しでだんだんだんだんこの応対の仕方も良くなったし、
サービスもよくなったんじゃないかなと思っています』
以上
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●どうしたら経営理念は浸透するのか?
よくいわれることですが、サービスマニュアルのようなものを作って、
それを徹底させようとすると、実は効率的になりそうで、
効果は低下してしまう、ということがあります。
やっぱりサービスの基本は、個別対応なのですから、
現場の人たちが、その場その場で考える力がなければ、よりよいサービスはできません。
そのために必要なことが、現場で対応する時に
迷わないようにする軸です。
つまりは組織としての考え方や理念、価値観といったもの。
ヤマトの場合は、それが「サービス第一」と「世のために人のため」ということでしょう。
後は、これをいかに浸透させるかですね。
個人的には、現場で対応した具体的な事例を取り上げて、
それがどう組織の考え方や理念、価値観とつながっているかを
具体的に示してあげることが大切だと考えています。
「この○○さんの対応は、我々の理念の△△に合致しているよね。
なぜ、この対応が理念に合致していることなのか分かる?」
「はい、□□だからではないでしょうか?」
「なるほど、□□だからということね。いいですね!他には?」
のようなやり取りができる場を作ることです。
こんな手間暇かけてこそ、理念や価値観が浸透し、現場での対応力が高まっていくのです。
●一人ひとりの責任感を引き出すには?
もうひとつ瀬戸氏の言葉を掲載しておきます。
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『「みんなで決めて、みんなでやろう」というのが全員経営の趣旨なんですね。
そのためには、小グループ化して、少数精鋭でやろうじゃないかというふうな
労務管理の方法をとっています。
うちの場合の少数精鋭というのはですね、
「少数になると精鋭になる」と。
本当にそうなんです。やっぱりね、少数になるとその責任感がすごく出てくる。
要は影響力がすごく大きいですから。
自分が一人でもがんばりゃあ、またぐっといくし、そうすると数字が見えるし。
自分が悪いサービスするとクレームが来て、みんなが大変だと。
みんなが責任感持って意志の統一がすごく速いですから。
みんなが一丸となって進める』
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これもまた実に考えさせられる言葉ですね。
ちなみに、「少数」とは7~8人で、出勤してくるのが5人ぐらい、
とのことでした。