徳川家康と中日井上新監督の共通点
2月になり、私が好きなプロ野球が
キャンプインしました。
もうすぐオープン戦も始まります。
そして、来月28日にペナントレース開幕です。
今年はどんなドラマが待っているのか・・・。
楽しみです。
中日ドラゴンズファンの私としては、
3年連続最下位という体たらくから
どれだけ盛り返してくれるかが、
何といっても気になるところです。
3年前に立浪監督が就任したときには、
あまり期待感が湧いてきませんでした。
前任の与田監督よりはマシかなぁ、
ぐらいの感じ。
やはり一番ワクワクさせてくれたのは、
2003年に就任した落合監督でした。
2004年のキャンプの様子を見てても、
「今年は優勝する」と確信が湧いていました。
例えば・・・
2月1日のキャンプ初日に紅白戦を行い、
それに向け自主トレで
体を仕上げてきていた選手に向かって、
『想像以上に仕上げてくれていた。
大人ということだ』とコメントしていました。
選手側からしたら、
監督から「大人」と評価されたわけです。
そう評価された選手は、それ以降も「大人」として
自ら考え、自ら行動せざるを得なくなります。
人は、他者からの評価を崩したくない、
という心理が働きますから。
心理学でいう「ラベリング効果」ですね。
また、当時ベテランの域に達していた
立浪選手と福留選手に対しては、
「練習メニューは白紙。
自分で考えてやればいい。
それができる選手なんだから」
とも言っていました。
こうした心理学を巧みに使う落合監督を見て、
きっと優勝する、と思っていたものです。
で、今年の中日ドラゴンズ井上新監督です。
落合監督のときのように
優勝を確信できる感じではありませんが、
でも、でも、何となくやってくれそうな、
3位以内に入って、
クライマックスシリーズには行ってくれそうな
そんなぐらいの期待感が湧いてはいます。
なぜそう感じているか・・・
その一つとして、
以下の発言が井上監督から
あったからです。
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『2軍の選手には簡単に言えば
「俺が好きな選手になれ」と言っています。
もっとやりたいです、
“俺ははもっと上を目指したいんです”、
っていう気持ちがある選手が好きだよ、
と僕は常々言っている。
2軍でできなかったことが
1軍でできるはずがない。
これは僕の口癖。
僕も2軍で自分の種をまいてきた。
選手が育ってくれれば、
活気づけるのかなとは思っています」
(以上)
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どのような人材が、
うちのチームにふさわしいのか、
それを明確にしています。
うちのチームにどのような人材が
ふさわしいのかを明確にすることは、
リーダーとして人を動かすうえで、
大事なことだと考えています。
なぜなら、それによって
チームとしての価値観(大事にする考え方・行動)を
共有しやすくなり、
メンバーとしてもどういう行動を
取ればいいかが分かり、
行動につながりやすくなるからです。
また、価値観が共有できれば、
意思決定が早くなります。
意思決定が早くできれば、
成果を効率的に出していけるようになります。
この井上監督のコメントを読んで、
思い出したのが、徳川家康。
司馬遼太郎が、徳川家康を主人公に描いた
「覇王の家」という小説があります。
その小説に以下の一節が出てきます。
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「素手で刃物を獲る馬鹿」
という咄(はなし)が、家康にある。
あるとき、浜松の場内で突如乱心した者があり、
太刀風も荒々しく棒振り回して廊下を飛び歩き、
人を見れば襲って傷つけた。
城内は大騒ぎになった。
それに対して、
遠州出身の兵法自慢の者がスルスルと前へ出、
その狂人の太刀を巧みにかわしながら
手もとにつけ入り、
素手でもってその狂人をとりおさえた。
当然、ほうびがさがるものと
その兵法自慢の者がおもい、
他の者も賞賛したが、家康は逆に怒り、
「その類の者、当家にとって無用である」
と、宣言するようにいったため、
城内は一時に酔いが醒めたような思いがした。
家康によれば、
刃物に対して素手で対(むか)うような者は
大事はまかされないというのがある。
家康はいう。
刃物には刃物、
もしくはしかるべき捕り道具を用意せよ、
かつは人数をあつめ、
捕りものの部署をし、工夫をこらせ、
しかるのち事無く捕えるのが
当家にとって有用の侍である、という。
素手で捕ってみせようという魂胆は
おのれ誇りのあほうのすることで、
そういう者に一手の軍勢をあずければ、
自分の綺羅を見せびらかすために
どういう抜け駆けをし、
勝手戦(いくさ)をし、
ついには全軍の崩壊をまねくような悪因を
つくるかもわからないというのである。
(以上)
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どうでしょう?
若干引くぐらいのブレの無さですよね。
リーダーってこれぐらいサイコパス的要素が
ないといけないのかと思わされたりもします。
ただ、とにかく徳川家康としては、
「徳川家に求められる人材像、ふさわしい人材像」
が明確にあり、それを伝えているわけです。
その点では、井上監督も同じ。
ただ、井上監督の場合は、
「チームに求められる人材像」を
自分の好き嫌いの観点で決めているのが、
若干気になるところではありますが・・・(^_^;)
本来は、「好き嫌い」という感情論ではなく、
家康のように「チームが勝つためには」
の観点で明確にしてもらえるといいかなとは思うのです。
家康も侍ですから、
きっと「兵法自慢の侍」の気持ちも
分かったことでしょう。
しかし、三河の弱小武家が
勝ち続けるためには、
「和(チームワーク)を大事にし、
頭を使って確実に勝てる方法を考える」ことが、
組織として共有すべき価値感だと
考えたのでしょう。
戦略的理由からの「ふさわしい人材像」です。
とここまで言ったら井上監督に
ちょっと酷ですかね。
いずれにしろ、井上監督のこうしたカラーが
2軍だけでなく1軍の選手にも
いい影響を与えつつある感が伝わってきます。
キャンプの様子をテレビで見てても、
なんとなく選手たちの心と体が軽いような・・・。
ということで、今年の中日ドラゴンズに
少しだけ期待をして、開幕を待ちたいと思います。