コラム - 組織のルール

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組織のルール

祝 慶應高校 夏の甲子園優勝~何のための野球?

慶應義塾高校が夏の甲子園大会で優勝しました。


慶應義塾のチーム作りから

つくづく感じていることがあります。


「自分が行っていることの目的を考えること、

また、その目的をどのように定義するかが、

何につけても大事」



ということ。



スポーツにおいても、仕事においても、

「何のために行うのか?」、

目的をより高い次元で

描くが大事だと考えています。



目的は、ミッション(使命)と言われたり、

会社組織でいえば、存在意義と言われたり、

色々な言われ方がしますが、

今回のコラムでは、

そのあたりはこだわらずにお伝えします。



ご存知の通り、今年の夏の甲子園大会、

決勝戦で神奈川県代表の慶應義塾高校が、

宮城県代表の仙台育英高校を8-2で破り、

107年ぶり2度目の優勝を果たしました。



慶應義塾高校に関しては、

髪型のこと、出塁後のパフォーマンスのこと、

応援のこと等々、賛否両論はあると思います。




慶應義塾高校の森林貴彦監督の2020年の著書

『Thinking Baseball ―慶應義塾高校が目指す

"野球を通じて引き出す価値"』(東洋館出版社)

にこんな内容が書かれています。



自分自身が高校野球の監督として、

選手を指導するのは何のためか・・・



自分自身の指導者としての使命とは・・・


森林監督曰く、


『選手一人ひとりを、

真のスポーツマンシップを持った人間に

育てていくことが指導者としての使命。


スポーツマンシップとは

尊重、勇気、覚悟の3つの要素で構成される。

“尊重”とは仲間、対戦相手、審判、ルールを尊重すること。


“勇気”とは失敗を恐れずに挑戦すること。


“覚悟”とは最後まで全力を尽くして

どんな結果も受け入れること。

これらを複合してスポーツマンシップと呼ぶ』。


このスポーツマンシップの定義は、

日本スポーツマンシップ協会の

代表理事を務める中村聡宏氏から

教わったとのことでした。




もし、森林監督が、以下のような目的を

設定していたとしたらどうでしょう?


「なんのために選手を指導するか?

そりゃ、とにかく勝たせて、

自分の指導者としての資質の高さを

広く世に知らしめるためだね」


とか


「自分が高校生の時しごかれたから、

そのときの腹いせのためだね」


とか・・・


いくら目的を考えていても、

この目的では、きっと成果は出せないと思います。


なぜなら、

目的は「自分のため」ではなく、

「人(他者)のため」「世の中のため」

である方が力が出るからです。



自分のためだけの目的では行動に対する

モチベーションは長く続きません。


また、チームとして何のために野球をやるのか

さらに言えば、何のために甲子園で優勝するのか、

こうしたことも共有できていたのではないでしょうか?


以下は、先述の森林監督の著書からの

引用ではありません。


今大会でのインタビューで森林監督が

答えた内容から、私が感じていることです。



何のために甲子園で優勝するのか?


「高校野球の常識を覆し、

野球本来の楽しさを

感じて野球ができる高校球児を増やしたい。

そのための影響力を得る」


こんなことをミッションとして

掲げていたのではないかと思うのです。


県予選の1回戦で負けるような弱いチームが、

どれだけ、

「選手の自主性を大切に!野球を楽しもう!

Enjoy Baseball!」と言っていても、

ほとんど影響力はないでしょう。


甲子園優勝という成果を出せるチームが

言ってこそ、影響力があるはずです。


その影響力を得ることが、

甲子園で優勝する意味。


決勝戦の前に行われたインタビューで

森林監督は以下のように答えています。



「たとえば、うちは、髪は自由だし、

寮はなくて基本的に通いです。

また、監督がすべてを決めるとか支配するのではなく、

自分で考える余地、決める余地がある。

それは今までの高校野球の常識からは

少し違う部分だと思うんで。

うちが活躍することで、

高校野球における多様性とか、チームの個性とか、

もっともっと認められるようになればいいと思います。」

このインタビューの内容からも察して、

間違いないでしょう。


監督として、指導する目的(使命)、

チームとして、甲子園で勝つ目的(使命)、


これらが一人ひとりに明確に描かれ、

共有されていたのが、

慶應義塾高校の強さの源泉ではないかと思うのです。

これは会社組織でも同じです。


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