考えるな、感情で仕事をしろ!~Don't think.Feel!
仕事においては、どうしても論理的に
考えることが求められます。
なぜなら、周りの人を巻き込んで
いかなければならないから。
論理的ではなく、感情で語っても、
なかなか周りの人を巻き込みにくい。
例えば、こんな感じ。
部下が上司に提案をしたとします。
「こんなことをやってみたいです」
と。
その提案に対して、
上司から「なぜ、それをやりたいんだ?」
と聞かれたとしましょう。
もし、その時に提案者である部下が、
こんな反応をしたとしたらどうでしょう?
「えっ、なぜ、やりたいか、ですか?
う~ん、私がやりたいからやりたいんです!
ダメですか?」
もしくは、
「面白そうだから、やりたいんです!」
「好きだからやりたいんです」
「こんな経験があって、
そのとき悔しい思いをしたからです」
とか・・・。
これは、提案の理由・背景が
自分の好きとか嫌いとかの感情によるもので、
論理的思考ではなく情緒的思考。
恐らく、上司しては、
なかなか「Go」とは言いにくいでしょう。
上司の立場でなくても、この提案を聞いた人が納得して、
協力してくれることは、あまり期待できないと思います。
逆に論理的に答えるとしたら、
こんな感じになります。
上司:「なぜ、それをやりたいんだ?」
部下:「なぜなら、理由は3つあります。
一つ目は、○○、
二つ目は、××、
三つ目は、△△です。」
上司:「それは本当なのか?」
部下:「本当です。一つ目の○○に関しては、
こんなデータがあります。
このデータからすると・・・と言えます。
二つ目の××に関しては、
事実、お客様からこんな声をいただいております。
三つ目の○○については、こんな事例があります」。
論理的思考とは、「なぜ?」に対して、
「客観的な事実・事例・データ」で
理由・背景を示す思考パターンなのです。
組織においては、どうしても周りの人を
巻き込んで仕事をせざるを得ず、
そのためには情緒的思考ではなく、
論理的思考が求められるケースが多くなります。
しかし、しかしです・・・
仕事は論理的思考だけでうまくいくかと言ったら、
そうではない。
それがまた仕事の面白さでしょう。
やはり人間が行うことですから、
そこに感情が介在するわけです。
7月21日(火)の日本経済新聞にこんな記事がありました。
「水道工事業を営む会社が開発したスーツ型の作業着が、
いま、アパレル業界で非常に注目を集めている。」
ワークウェアスーツ
↓
https://www.workwearsuit.com/
この開発のきっかけはこんなことだったそうです。
とある女性社員が水道工事会社で働き始めた頃、
東京・丸の内ですれ違った大学時代の友人に
声を掛けるのをためらった。
ビジネス街に溶け込んだ相手に気後れした。
自分が作業着を着ていたから・・・。
そこで、その女性社員が考えたのが、
「デートに着ていけるぐらいの作業着を作りたい」
ということ。
新聞には次のようなことまでは書いてありませんでしたが、
その女性社員が会社に提案した場面は
こんな感じだったのではないでしょうか?
女性社員:
「デートに着ていけるぐらいの作業着を作りたいんです」
上司:
「なぜだ?」
女性社員:
「悔しい思いをしたんです。
先日、丸の内で友人を見かけたんですが・・・」
完全に情緒的です。
以下のような論理的な提案ではなかったと思います。
女性社員:
「理由は、若い人たちの間で仕事着のカジュアル化が
進んでいるからです。
スーツを外出のたびに丸洗いして、
2~3着で着回したい人が増えているんです。」
上司:
「本当か?」
女性社員:
「本当です。このデータを見てください。
それと、実際にアンケートを取った結果もあります」
この女性社員にしてみたら、
世の中の動きがこうだから、
どうしても開発したいんだという
モチベーションよりは、
悔しい思いをした、その時に閃いた「作業着スーツ」・・・
悔しさを晴らしたいし、作業着スーツなんてあったら、
自分だったら嬉しい・・・
面白そう・・・
何としても形にしてみたい・・・
そんなところからのモチベーションが
大きかったのではないかと思います。
心理学的に言うと、
「情緒的思考の傾向が強い人の方が、
危機的状況においては、力を発揮する」
とも言われています。
結果、2018年にブランドを立ち上げ、
2019年度は売上3億円を達成しているそうです。
2020年度は売上10億円を見込んでもいるようです。
論理的思考と情緒的思考を兼ね備え、
それを使い分けられる。
これが大事なんだろうと思います。
それと、もう一つ大事なことがあるとしたら、
情緒的思考による提案を
受け止められる組織風土や上司の力量ですね。