なぜ、俺の言うことが分からない?!(前編)
会議の場などで、意見がぶつかり合って、
お互いの主張を譲らず、
平行線のまま時間が過ぎてしまった経験ってありませんか?
先日(6月2日)のNHKスペシャルで、「雇用の劣化を食い止めろ」
と題して、日本の雇用問題が取り上げられていました。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0602_1/
番組中、なぜ、日本経済がここまで追い込まれているのか、と言うことで、
日本総合研究所の主席研究員 藻谷浩介さんが、
自論をプレゼン形式で披露していました。
どんな内容だったか?
さすがに「理路整然としてて、分かりやすいなぁ」と、
唸らされるプレゼンテーションでしたので、
ある程度そのままの形で、下記に掲載したいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本がここまで追い込まれているのは、なんのせいなのか?
国際競争だ、不況だ、若者に根性がない、いや、年寄りのせいだ、
政治家だと、こう誰かのせいにするんですが、
実は、誰のせいでもない。
人口が減っていることが、
最初の原因であると言うのが私の考えなんです。
15歳から64歳の方(生産年齢人口)が、減り始めているんですね。
今後、加速度的に減っていく。
生産年齢人口が減ると働いている人が受け取っている給料の総額が減る。
日本人が受け取る給料の総額が減れば、商品販売額が減る。
国内で物が売れませんので、ほとんどの企業というのは、
経営が苦しくなっていきます。
人口が減る→総人件費が減る→消費が減る→
企業業績が悪化する→給料が減る→さらに総人件費が減る→さらに消費が減る→・・・
という負のスパイラル。
対策は、ズバリ「働き盛りの給料を上げるということ」。
そんなお金はあるのだろうか?
あるんです。
10年間で日本の人件費は、7.7兆円下がっている。
でもですね。人件費を増やす方法があります。
まず第一に内部留保。
内部留保とは、企業が何かあったときのために
使わずに貯めてある余分の資本なんですが、
2000年から2010年度で5.5兆円増えています。
さらに、配当金が、5.5兆円あるんです。
配当金は、株主に配当されているからいいじゃないかという気がしますが、
配当されている先の人たちは、いわゆる働き盛りの人たちではないんですね。
この内部留保と配当金の分を給料に回すのです。
それによって企業の業績は一時的に悪くなる可能性はありますが、
社会全体の総人件費が少し上がる。
それによって消費するお金が増えて、企業の業績が上がる。
これを行えば、30年かけて日本を立て直すことができます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この意見に対して、「賛成」の人と「異議あり」の人に分かれて、
それぞれの見解を述べ合うというのが、次に続いたのですが、
当然、お互いの考えを主張して、相容れないわけです。
まずは異議ありの人の発言。
とある和菓子店経営者。
「会社経営している立場としては、人件費が一番経費がかかるので、
会社の業績が上がって初めて人件費を上げられるという発想になる。
逆の発想はなかなかできないのが本音」。
とある弁当会社経営者。
「内部留保と配当金がある企業は、日本の大企業。
うちも一生懸命やってるが、内部留保10%あるかなって感じ。
法定福利の負担も増えている状況で、
そんなことができるんですかというのが正直なところ」
などなど。
それに対して、藻谷さん。
「世の中の100%近い会社がそんな余裕はない思うんですね。
ごもっともで、余裕のある一部の会社から
あげていく必要があると思います」。
さらに賛成の方の意見。
「これは、以前の公害と同じ考え方で取り組んでほしい。
高度経済成長で公害がひどくなったときに、
そのときにいくらお金を掛けたくないからといって、
公害対策をしなかったら、みんなが住めない世の中になっていたと思う」
などなど。
異議ありの人と賛成の人とでは、譲り合う、分かり合うなんてことはなく、
お互いが納得し合うということはないわけです。
こういうケースって、社内の会議でもありますよね。
そのときに、どう対処したらいいかが問題です。
今回は、そこまで書くと長くなりそうなんで、
ここまでにしておきます。
次回、原因と対策についてお話していきます。