コラム - マーケティングのルール

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マーケティングのルール

お客様に一番近い社員は誰だ!?

こんなシーンをテレビで見たことはないでしょうか?


新商品を開発するにあたって、

開発担当の社員が一生懸命企画した商品を

社長が吟味をし、「ああだ」「こうだ」と

言いながら、「商品化OK」だの、

「やり直し」だのの決定をくだす、というシーン。


確かに、最終的な意思決定は、社長が行うってことで、

当然なんでしょうけど、こういうシーンを見てると、

あたかも社長の感性、感覚が一番正しい、というようで、

すごく違和感を覚えるんです。


例えば、某大手コンビニチェーンの「お弁当」の商品開発。

テレビでドキュメンタリーとして、紹介されていました。

会長がいろいろコメントをして、そのコメントに沿って、

商品開発が進められていく。

会長に試食してもらい、

OKと言わせられるかどうかが、最終関門なわけです。

その時に思いました。

「会長が試食して、弁当の味が、塩っ辛いだの、

お米が堅いだの言っているけど、80歳近い人の味覚と、

想定している顧客層(若い人たち)の

味覚って、ちょっと違うんじゃないの?!」って。


で、先日(6月27日)、見ていた「カンブリア宮殿」。

モンテール社長の鈴木徹哉氏が出演していました。

http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20130627.html


モンテールは、洋菓子メーカーで、

商品は、チルドデザートを中心に、

スーパーやコンビニ、ドラッグストアで販売されているようです。


モンテール

https://www.monteur.co.jp/



モンテールでは、新入社員研修の一環で、

新商品を考えさせているとのことでした。


新入社員が、自分たちで企画した洋菓子を

社長はじめ役員や開発担当の係長などに、

模造紙を使って、プレゼンテーションをしていきます。

まぁ、ここまでは、どこの会社でもよくあるシーンですが、

モンテールの場合は、この新入社員のアイデアを実際に、

商品化しているとのこと。

毎年、新入社員のアイデアを商品化しているかどうかは、

分かりませんが、鈴木社長としては、

「新入社員は、消費者に一番近い存在。

だから意見を聞かなければもったいない」という

考えを持っているようです。

以下、番組内で鈴木社長が語っていたこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

会社に入って2ヵ月ということは会社に染まっていない。

間違いなく誰よりも消費者に近い考えで物事を考えられる。

だからこういう意見を聞かない手はないわけであって、

そういう子たちが入ってきたときに「こんなことを考えてます」、

「あんなことを考えてます」ってそういうことを

聞くのって楽しいことじゃないですか。

我々には考えられないちょっと凝り固まってきているかも

しれないところに頭が非常に柔らかいお客様の目線で純粋にこうしたい、

ああしたいと言われるとすごく楽しく聞けるんですよね。

(以上)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


新入社員が、最も自分たちの顧客層に近いと考えているからこそ、

新入社員に新商品を真剣に考えさせて、

それを研修の一環として、発表させているんです。


単なる研修のプログラムではないからこそ、

新入社員も真剣味を持って取り組むんじゃないでしょうか。


話は少し変わりますが、

6月28日の日経新聞1面の特集記事「Wの未来」の第4回目に、

こんな一文がありました。

りそな銀行の一例です。

2003年に経営統合で誕生した「りそな銀行」。

その統合の際に社外から会長に就任した細谷英二氏、

就任にあたり、こう言ったそうです。


「顧客の半分は女性。女性の視点を取り入れて、

企業価値を上げる」。


お客さまに女性が多いからこそ、女性の視点を取り組んで、

商品価値を高めていく。

そのために、女性管理職を多く登用するようにしたとのことです。

(現在、りそなホールディングスの課長以上の

女性管理職比率は、14%。10年前の細谷氏就任時の約3倍)


このモンテールとりそな銀行の事例で学べることは、

自分たちの社員のなかで、

もっとも「お客さま」に近い人たちの意見を聞き、

それを商品・サービスに反映させようということ。


マーケティングで顧客調査をする必要もありますが、

もっと低コストで高い効果を生み出せるのが、

“顧客の立場に一番近い社員”の意見を聞く、ってことなんですね。


冒頭で触れた大手コンビニでも、

社長へのプレゼンの前段階で、色々な人の意見を

聞いているとは思います。

でも、最終的に、社長や会長の意見だけで、

商品化されたり、されなかったり、

ってちょっとさみしい気もするんです。

経営層の最終的なチェックだけではなく、

もっと違う人たちの意見を尊重した商品開発が

されると社内が活性化していくでしょう。


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