コラム - 経営者へのラブレター

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経営者へのラブレター

管理者に「そだねー」はいらない

今年の「新語・流行語大賞」は、
平昌オリンピックで銅メダルを獲得した
カーリング女子の「そだねー」が選ばれました。



「こっち曲がってないんだよね」
「そだねー」

「こっち取った方がいいと思う」
「そだねー」

と、プレイ中にこんなやり取りが
選手間で交わされ、

緊迫感の中で、なんとも温かさを感じるというか、
ゆるさを感じるというか・・・

ほんわかした気持ちにさせてくれたのが、
世間に受けた理由かもしれません。


「そだねー」というのは、
相手の発言を肯定して、受け入れるということですから、
コミュニケーションや人間関係、更には
チームワークの形成に非常に重要な
「受け応えの言葉」だと思います。


ただ、勘違いしてはいけないことがあります。

特に部下とのコミュニケーション力向上系の研修を
受けた管理者の方が、
よく勘違いされることがあるんです。

例えばコーチング研修などでこんな風に
講師から言われるわけです。

「部下の話を聞くときは、決して否定してはいけません」

と。

で、管理者としてこう考えてしまう。

「どう考えても間違っていることを部下が言ってきても、
 否定せず、受け入れなければいけないのか」

と。


これは、勘違いです。

決してそんな必要はありません。

ただ、否定はしてはいけない。


「えっ?相手の言っていることを
 受け入れなくてもいいけど、否定はダメ、
 どういうこと?」

って思われたかもしれません。

なんだか矛盾していることを言っているようですが、
そうではありません。

どういうことかと言いますと・・・


例えば、次のような発言を部下がしてきたとします。

部下:「仕事なんて所詮お金のためですよ。
    お客様に喜んでもらうためなんてきれいごとです」

これに対して、上司としては、
それは違うと心の中で思いながら、
否定してはいけないってことで、こう言います。

上司:「そだねー。
    仕事は確かにお金のためで、
    お客様に喜んでもらうためなんてことではないね」


これは、否定せず、
部下の発言に賛同してしまって、
自分の考えを曲げてしまった状態です。


そうではなく、相手(部下)の考えていることを
否定せずに、受け止めればいい。

受け入れるじゃないです。


部下:「仕事なんて所詮お金のためですよ。
    お客様に喜んでもらうためなんてきれいごとです」

上司:「なるほど、○○さんは、仕事は所詮お金のためで、
    お客様に喜んでもらうためってのはきれいごとに
    すぎないって考えてるんだね」

これは、肯定や賛同をしているわけではありません。

受け止めているだけ。

そのうえで、

上司:「ということでいえば、お客様に喜んでもらって、
    喜んでもらった人から更にお金を頂くってことを
    考えるのもありだよね」

と伝えれば、上司として自分の見解を
曲げることなく、伝えられます。



なお、相手の意見が自分の意見と違う場合に、
次のように言ってしまうと、それは否定です。


部下:「仕事なんて所詮お金のためですよ。
    お客様に喜んでもらうためなんてきれいごとです」

上司:「いや、そんなことない。
    仕事の本質ってのは人を喜ばせることなんだから、
    お客様に喜んでいただいて、その結果として
    お金をもらえるということなんだよ。
    ○○さんの考えは間違っている」


受け止める、受け入れる(肯定・賛同)、否定する

この3つの違いをしっかりと認識して、
コミュニケーションを取れるようになるといい人間関係、
いいチームワークを作りやすくなります。


ちなみに、カーリング女子、傍から見ていて、
素晴らしいチームワークだったように思えました。

それも流行語大賞に選ばれた要因かもしれません。


お互いの能力を信じあえているから、
相手の判断したことに「そだねー」と言えるし、
言われた方も自分の意見に確信を持てるのではないでしょうか。

ちなみに、もし、これが、
相手の力を信じていないと、

「こっち曲がってないんだよね」

「いや、曲がってないことないよ。
 ほんの少し右に曲がってる」



「こっち取った方がいいと思う」

「いや、そっちじゃなく、先にこっちだと思う」

ってなっちゃうでしょう。


カーリング女子も、きっとこのレベルで
「そだねー」と言えるまでには、
自分の力を高め、信じてもらえるまで
ものすごい努力をしたと思います。


またお互いに「そだねー」だけじゃなく、
練習中にはいろいろな意見を
ぶつけ合ったんじゃないかと思います。


それこそ、「そだねー」ではなく、
「いや、違う」ってことでやり合ったことも
あるんじゃないでしょうか?


勝手な想像ですが・・・。


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