コラム - 経営者へのラブレター

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経営者へのラブレター

道徳の時間は何をする時間ですか?

先日、息子(小学2年)の授業参観へ行ったときのことです。

授業の科目は「道徳」でした。


キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。

日直:「きり~っつ。お願いします」

先生は、今年1年目の若い女性の先生。


先生:「今日は、道徳です。
 
   道徳の時間は何をする時間ですかぁ?」

生徒:「心を成長させる時間です!」

   ※生徒全員が一斉に答えているわけではなく、

    答えられる生徒が、各々答えているという形です。

先生:「そうですね、心を成長させる時間ですね。
 
   どうしたら心は成長しますか?」

生徒:「考える」

先生:「そう、考える。どう考えますか?」

生徒:「一生懸命考える!」

先生:「そうですね、一生懸命考えて、心を成長させていきましょうね」


この先生と生徒のやり取りで授業が始まったんですが、これ、どう思われます?


私は、率直に思いました。「先生、スゴイ!」って。

軽い感動を覚えたほどです。

感動のあまり、授業後に、

「先生!いつも息子がお世話になってます。

先生の冒頭のお話、感動しました。

メルマガに書かせてもらってもいいですか?」ってことで、

お願いをし、了解してもらったのです。

(実は、もう一つ先生にお願いして、了解を得たことがありますが、

それは、改めてご紹介したいと思います)


確かに、先生として答えて欲しい答えがあって、

それを質問形式で答えさせている対話です。

そういうことで言えば、コーチング的ではありません。


しかし、小学2年生の子供達にしてみたら、

自分で考えて出した答えよりも、先生が求めている答えを

答えられたこと(正解できていること)に

喜びを感じているのではないでしょうか?


ちょっと、理屈っぽく言うと、その喜びによって、

自己説得感も高まっているのかなという気もします。


先生から「道徳の時間は、一生懸命考えてくださいね。

それが心の成長につながりますから」

って説明されるより、

たとえ先生の頭にある“答え”

であっても、それを自分の口で答えている方が、

「一生懸命考えよう」という行動につながると思うんです。


これ、部下育成に応用するとしたら、どうでしょうか?


コーチング的な観点から言うと、

上司の頭の中にある答えを言わせよう、言わせようと

誘導するように質問をしても効果がない、

と、私自身もよく研修等で伝えています。


上司の頭に、部下に言わせたいことが浮かんだのであれば、

その場合は、質問をして答えさせようとするのではなく、

ストレートに、アドバイスをしたほうがいい、と言っています。


しかし、部下の成熟度合いによっては、

上司が持っている“答え”を言えたことに

喜びを感じる部下もいるはずです。


私自身のことを思い浮かべてみると、

入社間もない頃、上司や先輩と同じような考えができたことに、

喜びを感じていたなぁという気がします。


答えは、相手の中だけにあるわけじゃないです。


これは、思わぬところでの気づきを息子の先生から頂けました。

あえて、上司が求める答えを質問形式で答えさせてみる、

これで、部下の行動が促されるのであれば、

十分部下育成に有効なコミュニケーションとなります。


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