もしも部下が緊張していたら・・・『何に緊張しているの?』~平井コーチの質問力
●もしも部下が緊張していたら・・・。
もし、あなたが何かのスポーツのコーチで、
試合前に選手が、緊張して顔をこわばらせているのを見たら、
何と言って声をかけますか?
選手のところを部下に置き換えていただいても構いません。
部下が、大切なプレゼンテーションを前にして、緊張している。
その様子を見たとき、何と言って声をかけるか?
●平井コーチの場合
先日(4月26日)の日本経済新聞スポーツ面に、
あの北島康介を育てた水泳の名コーチ、
平井伯昌(ひらい のりまさ)コーチの記事が載っていました。
以下、その中からの抜粋します。
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4月の代表選考会、緊張で顔がこわばる加藤(ゆか)に声をかけた。
※加藤ゆか:
ロンドン五輪、女子メドレーリレーのバタフライの選手
「何に緊張してるの?」
「自分にです」。
「自分の何に?」
「自分に対する期待」
「何の期待なの?」
問いかけ、選手に考えさせることを平井は大事にする。
加藤は緊張の正体を分析するきっかけをつかんだのだろう。
100メートルバタフライを日本新で制した。
以上
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う~ん、まさにコーチング! しびれます!
こんなふうに信頼関係の築けているコーチから問いかけられたら、
選手は幸せですね。
自分の本来持っている力を引き出してもらえます。
●コーチングできない上司だったら・・・
ここで、コーチングとは何かを考えるために、
コーチングできない上司だったら、どんな対応をするかを
考えてみましょう。
こんな感じでしょうか?
大事なプレゼンを前に、緊張している部下を見て・・・。
「○○君、緊張してるなぁ~。
まぁ、命取られるわけじゃないんだから、楽しんでやればいいよ。
はい、もっとリラックスして!笑顔、笑顔!」
これならコーチングにはなっていませんが、まだいいかもしれません。
普通の上司って感じです。
コーチングできずに、もっと良くないのは、こんな感じでしょうか。
「そんな緊張していては、
聞いている人に言いたいことが伝わらないぞ。
とにかく、今回のプレゼンはうちにとって大事なプレゼンなんだから、
しっかりやってくれよ!」
プレッシャー与えて、余計に緊張させてしまったりして・・・。
しかも、「言いたいことが伝わらない」と否定的な表現を使って、
できない自分を暗にイメージさせてしまっています。
では、普通の上司が少しコーチングをかじるとどうなるか?
緊張している部下を見て・・・
(心の中で『そうだ、コーチングだ、コーチングしなきゃ、
ええっと、コーチングは、質問だったな』)。
「○○君、緊張しているようだけど、何に緊張してるの?」
「自分にです」。
「そっかぁ、自分にかぁ・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「まぁ、とにかくリラックスしていこうや!」
質問はするんだけど、質問力不足のせいで、
深く部下に考えさせることができない。
考えさせる深度が浅いんですね。
まぁ、質問投げかけないよりはいいですけど。
恥ずかしながら、私もコーチングを勉強し始めたころは、
こんな感じでした。
●深く考えさせるコツ
この深く考えさせるコツは、そんなに難しいことではありません。
平井コーチの質問の流れを見てください。
選手の言ったことをより具体的にしようとしているだけです。
“だけです”と言っては、身も蓋もありませんが、
あえてそう言わせていただきます。
では、どうしたら、具体的にできるか。
相手の言ったことを受けて、
「具体的に」という一言を入れた質問をしようとすると、
質問が出てきやすくなります。
「具体的に自分の何に?」
「具体的には何に対する期待なの?」
って感じで。
いかがでしょう?
コーチング的に言えば、良い上司、悪い上司、普通の上司は、
質問力の差ってことでしょうか。
ぜひ、「具体的には?」って質問を意識的に投げかけてみましょう。
意識して投げかけるのが、やっぱり大事です。
最後に、平井コーチの記事から、抜粋をもう一つ。
「コーチングとは選手自身が気付かぬ本質を見抜き、気付かせること。
平井はそう考える。
『選手の目標、その答えに行き着く正しい『式』を
見つけてあげるのがコーチ』。
遠い夢への道のりを、一つ一つの手順に落とし込む。
『普通にこなせる簡単な作業に落とし込むことが大切』。
このドリルで君はこう変わる、この器具で練習すればこうなる、
とかみ砕いて説く」。
ロンドンオリンピック、平井コーチに育てられた選手たちの
活躍が楽しみです。
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