プルデンシャル生命の不正から考える~働くとは・・・
プルデンシャル生命保険で不正が発覚しました。
同社は1月16日、100人以上の社員・元社員が、
総額約31億円を不適切に受け取っていたと発表。
不正は1991年から行われており、
顧客被害は500人超にのぼるといいます。
こうした企業の不正・不祥事の原因って、
だいたいが上層部からの
「売上上げろ!」、「利益を出せ!」、
「期日に間に合わせろ!」という
成果に対するプレッシャーが強すぎること
だと思っています。
記憶に新しく、その典型例で言えば、
ビッグモーター(現WECARS)でしょうか。
経営層からの数字至上主義の圧力のもと、
店長らが保険金を不正に得るために
顧客の車を意図的に傷つける、
といった行為にまで至っていました。
社員にとっては、
上層部からのプレッシャーを受けるより
不正を働いた方が楽ということなんでしょう。
不正をするほど追い込まれるまでの
プレッシャーって、社員さんにとって
本当に大変なものだったと思います。
それと、不正をするぐらいなら、
客観的に見たら、会社を辞めればいいのにと
思ったりもします。
が、もしも自分が同じ立場に置かれたら、
そのプレッシャーから逃げようとする
意志すら湧かず、同じように不正を
犯してしまうのではないかという恐怖感もあります。
で、今回のプルデンシャル生命。
日経電子版の記事によると、
今回の不正の背景にあるのは、
営業成績が収入に大きく影響する
報酬モデルとのこと。
フルコミッション(完全歩合)に近い体系で、
平均年収は1300万円強に達する一方、
実績次第では収入が大きく落ち込むリスクもある、
そんな報酬モデル。
その結果、収入が不安定になった社員が、
顧客に金銭の借用を依頼したり、
架空の投資話を持ちかけたりするケースが
発生した、ということのようです。
新任の得丸社長は、この報酬モデルについて、
「金銭に過度な執着を持つ人を
引きつけるリスクがある」と述べています。
その意味では、今回の不正は、
上位者からの圧迫に耐えられなかった、
という話ではなく、自分のお金欲しさ、
という側面が強い不正だった、
とも言えるのではないでしょうか。
だからといって、
プルデンシャルの方がより悪質で、
ビッグモーターには情状酌量の余地がある、
などと言いたいわけではありません。
ただ、個人的には、
今回のプルデンシャル生命の不正は、
一人のビジネスマンとして、
より許せない気持ちが湧いてしまいます。
自分の生活レベルを守るために
もしくは、
生活レベルを下げたくないがために
人を騙して、お金を搾取し、
人を不幸にするなんて・・・
本来、働くとは、人を喜ばせることです。
保険の営業で言えば、保険の契約者さんに
“安心して過ごせる人生”を提供し、
喜んでもらうのが本来のはず。
にもかかわらず、人を騙してでも、
自分の生活レベルを守ろうとしていたのでしょう。
では、どうしたら、
こうした不正を社員にさせないように
できるでしょうか?
少し偉そうに言わせてもらうと・・・
まずは、経営者が
「何のために、この会社を経営しているのか?」
を忘れないことです。
経営の目的は、
社員とその家族を幸せにするため、
お客様により高い価値を提供するため
取引先さんとその家族を幸せにするため、
社会にとって必要な存在になるためである、
と。
そして、社員さんに対しては、
「何のために働くのか」「仕事とは何か」を
繰り返し伝え、考えさせることだと思います。
仕事とは、
「お客様や社会のより良い未来を実現するお手伝い」。
仕事をする目的は、
「人を喜ばせること」と。
だからこそ、企業理念や社是、ミッション(使命)を
明文化し、それを行動の基準として
浸透させる必要があるのです。
どれだけ業績が厳しいときでも、
誰を、どう喜ばせるために
この仕事をしているのかを、
経営者が見失わず、社員にも見失わせない、
これが、不正を防ぐ一番の土台なのだと思うのです。
言うは易しというのは承知しています。
だから、これができた企業は
他の企業よりも頭一つ突き抜けられるはずです。
ときおり「企業の理念なんていらない!
大事なのは儲ける仕組みをつくることだ」
という方がいらっしゃいます。
儲ける仕組みづくりは本当に大事。
でも、何のために働くのか、
何のために儲けるのか、
そうした目的が共有できずに、
儲ける仕組みを作ろうとすると、
仕事本来の意味や人として大事なことを
欠いた仕組みを作りかねないのではないでしょうか?
プルデンシャル生命で言えば、
実績次第で報酬が大きく変動するという
儲ける営業モデルを構築していました。
しかし、100人以上の社員が
不正に手を染めていたという事実は
尋常ではありません。
やはり儲ける仕組みだけ作っても
そこに理念や哲学がなければ
いずれ、必ず破綻するのだと思います。
プルデンシャル生命の場合、
個人の問題として片づけるのではなく
それを防げなかった会社のガバナンスも、
厳しく問われるべきだと思います。

