リーダーシップは誰が決める?
先日、とある企業の係長への教育の場。
ある一人の係長と休憩中に
雑談をしていました。
その係長の上司(Aさんとしましょう)とは、
私と15年来の長い付き合いですので、
「どう、Aさんのもとでなら
仕事しやすいんじゃない?」
なんて話しをしていたのです。
係長:「そうですね、しっかりマネジメントは
してもらえますからやりやすいのは、
やりやすいですね」
私 :「Aさんならきめ細かに
ちゃんとやりそうだわな」
係長:「でも、最近はちょっと違った仕事も
やっていて、その仕事では、
Bさんからの指示で動いているんですよ。
AさんとBさん二人の上司がいるって
感じになってます。」
※Bさんも私が知っている方です。
私 :「へぇ、Bさんの部下的な立場でもあるんだ。
AさんとBさんでは、
タイプ的には結構違う感じだよね。
どっちが仕事しやすい?」
係長:「そうですね、Bさんは、どちらかというと、
『好きにやっていいよ』って感じで、
かなりフリーなんですよ。
かたやAさんは、
きっちり、いつまでに、どこまでやるのかを
決めてやらなきゃいけない感じですね。
僕の場合は、いい加減なところがあるんで、
きっちり管理してくれるAさんの方が
仕事はしやすいですね。
ここだけの話にしておいてくださいよ!」
と、まぁ、こんな話をしていました。
で、内心少々驚きではあったんです。
『へぇ、そうなんだ、
俺なら自由に仕事させてくれる
Bさんが上司でいてくれた方が、
嬉しいけどなぁ』と・・・。
この係長にとっては、
「放任系のBさんよりも
きっちり系のAさんの方が
仕事しやすいリーダーであり、
リーダーシップのあるリーダー」
ということになります。
が、私が部下の場合であれば、
「きっちり系のAさんよりも
放任系のBさんの方が
仕事しやすいリーダーであり、
リーダーシップのあるリーダー」
となるわけです。
こう考えると、
「リーダーシップ」というのは、
「リーダーがどうあるか」というよりも、
「部下がどうあるか」によって決まると
言えそうです。
リーダーシップ理論の中に、
「リーダーの状況適応理論
(コンティンジェンシー理論)」
なんてのがあります。
「リーダーシップ」というのは、唯一絶対の型が
あるわけではなく、
「組織の状況によって、良いリーダーの条件は
変わってくる」というものです。
もう少し分かりやすく言うと、
経験も知識もまだまだ未熟な部下の場合は、
しっかりと管理してあげられるリーダーの方が、
高いリーダーシップが発揮される。
逆に、経験も知識も豊富で、自分で問題を
どんどん解決していける部下の場合は、
『自分の好きなようにやってくれ』という
放任的なリーダーの方が、高いリーダーシップが
発揮されやすい。
そんな理論です。
まぁ、当たり前じゃん、って感じではあるんですが、
リーダーシップというと、押し出しが強く、
どんどん部下を引っ張って、
ガンガン進めていくという
力強いイメージが湧きますが、
現実では、有効なリーダーシップは
一律ではないということですね。
そう考えると、少し楽になる方も
いらっしゃるかもしれません。
自分のリーダーシップがないと
嘆くのではなく、自分のリーダーシップのスタイルが、
部下の状況に合っていないだけ、って考えれば、
いいわけですから。
もちろん、部下の状況や組織の状況に応じて、
自分のリーダーとしてのスタイルを変えられるのが、
一番だとは思いますが・・・。