研修で垣間見える会社の性格
研修講師として、企業内での研修を行っていて、
ふと感じることがあります。
『研修という人の集まる場だからこそ、
会社の風土が垣間見えるなぁ』
と。
もちろん、1日の研修でその会社の風土が
完璧に分かるわけではありません。
が、研修のいろいろな場面で
その会社の風土が
垣間見えることがあるのです。
人と会って、少し話をしていれば、
その人の性格がどんなものか
なんとなく汲み取れるのと同じです。
会社の風土は、人に例えれば、
その会社の性格みたいなものですから、
研修のような場でその会社の風土が
垣間見えたりするのです。
今回は、組織風土が研修のどのような場面で、
垣間見えるのかをお話してみたいと思います。
その前に、私が考える「良い組織風土」とは
どのような風土かをお伝えさせてください。
私が考える良い組織風土とは、
「他者を尊重し、
人を喜ばせることが働くことの目的として共有され、
その目的を高いレベルで実現するためには
安心して意見をぶつけ合い、自発的に行動する。
他の人の努力を無駄にしないためにも、
自分の持てる力を出していこう、
しっかりと努力していこうという気持ちで
仕事に向き合えている。
経験から学んで成長できていることを称え合い、
人を幸せにできていることに自らの幸せを感じ、
この組織で働けていることに誇りを感じている風土」
長いんですけど、要素をまとめると、
・互いの尊重
・目的の共有
・意見や異論の歓迎
・挑戦と学習・成長に対する称賛(PDCAの実践)
・組織の一員でいることの誇りの実感
って感じです。
ついでにお伝えすると、
逆に組織風土が悪い会社はどんな感じか・・・
『社員の働く目的はお金のため。
人を喜ばせることが仕事なんて思ったこともない。
経営層からは“売上上げろ、利益出せ”の圧が強く、
とにかく何をやってでもいいから売上・利益を
出せばいいという考えが蔓延している。
お互いの努力を労うこともない。
人の成長を称えることもない。
自分が成長すること、努力することに
煩わしさを感じているため、
人が努力すること、成長することの足を引っ張る。
(そんなことやっても意味ねぇぞ的な発言)
成果が出なくても、
プロセスを振り返ることもなく、
そこから何かを学ぼうともしない。
また成果が出ないのは常に人のせい。
淡々と感動もない仕事をする雰囲気が
蔓延している」
ちょっと両極端ではありますが、
こんな感じかなぁと私としては考えております。
では、この組織風土が研修の
どのような場面で垣間見えるのか、
二つの場面をお伝えしたいと思います。
一つ目は、
グループでの自己紹介の場です。
研修がスタートした段階で、
グループ単位(だいたい4~5人ほど)で
自己紹介なり、挨拶をしていただく時間を
設けています。
大きな企業さんであれば、
同じ会社の社員さんでも、
初対面というのは珍しくなく、
自己紹介をしていただきます。
日ごろから顔を合わせている人たちの場合は、
ちょっとした挨拶と今日の研修に期待すること
等をテーマに話してもらいます。
例えばこうした時間を5分取ったとします。
自己紹介といっても、
それほど時間が掛かるわけでもないですから、
2~3分ほどで終わってしまいます。
この自己紹介が終わった後の残った時間に
組織風土が現れるのです。
組織風土のいい会社は、
その残った時間で自然と「雑談」が始まります。
かっこよく言えば「情報交換」が始まります。
「〇〇部だと✕✕さんっていますよね」
とか
「以前、△△営業所に行ったことありますよ」
とか
「□□部ってどんなお仕事をされているんですか?」
とか・・・
もうほんとに雑談。他愛もない話です。
でも、このちょっとした時間で
自然と雑談ができる会社の風土は良いことが多い。
逆に、雑談を全くしない会社があります。
グループが4つ、5つあっても、
自己紹介が終わったら、誰もしゃべらない。
「し~~~~~ん」
です。
これだけで組織風土が悪いと断言してしまっては
身も蓋もない気もしますが、
ただ、「日ごろあまりコミュニケーションが
職場で取れていないのかなぁ」と
想像してしまうわけです。
こうした場面で自然に会話が始まるということは、
普段から人とコミュニケーションを取ることに
慣れているからだと思います。
自分の伝えたいことを伝えられる。
相手に関心を持って話ができる。
相手から情報を引き出すための質問ができる。
こうしたことが日常になっているからこそ、
自然と雑談ができるのではないかと思います。
日ごろ、自分のことを伝えることに慣れていない、
人から話を引き出すことにも慣れていない、
人に対する関心もない、ってことであれば、
こうした場面で雑談を始められないだろうと思うのです。
二つ目はこんな場面です。
研修の中で個人ワーク、グループワークで
考えてもらった内容を発表(プレゼンテーション)
していただくことがあります。
この発表(プレゼンテーション)にも
会社ごとの風土が現れると思っています。
総じて発表(プレゼンテーション)が
上手な会社は風土が良いことが多いです。
研修でいきなり「プレゼンしてくれ」と言われて、
上手に話せるというのは、
日ごろから自分の考えを話す機会がある、
日ごろから話慣れている証拠です。
そして、それは同時に、
組織の中に「人を尊重し、人の話を聴く文化」が
あるということだと思うのです。
人は、聴いてもらえていると感じれば、
うまく話せますが、
聴いてもらえていないと感じると、
なかなかうまく話せなくなるものです。
自分の考えていること、
自分の思っていること、感じていることを
伝えるのって意外に難しい。
でも、人の話を聴く文化があるからこそ、
伝えることに慣れていて、
それが研修のプレゼンの場で
現れるのでしょう。
人の話を聴くという風土は、
間違いなく良い組織風土につながります。
なぜなら、人の考えていることを聴くということは、
その人のことを尊重していることですから。
相手のことを尊重していなかったら、
相手の考えや意見、発想を聴こうとしません。
自己紹介を終えた後の雑談が多い会社の
社員さんは基本的にプレゼンが上手です。
組織風土とは、PCで喩えるのなら、
OSみたいなものだと考えています。
OSが時代にそぐわない、
古いタイプのものであれば、
どんなにいいアプリをインストールしても、
十分に機能を発揮することができません。
OSが今の環境に合ったものであれば、
インストールしたアプリが機能するわけです。
組織も同じ。
組織風土が時代にそぐわない、旧式のものであれば、
どんなにいい経営戦略を構築しようが、
どんなにいい人事制度を導入しようが、
どんなにいい目標管理制度を導入しようが、
それらが本来持っている機能を
発揮させることができません。
それらが持つ機能を発揮させるには、
やはり今の時代に合った組織風土が
必要なのです。
では、どうしたら、
そんないい風土が作れるのか?
基本的にまず最初の一歩は、
自分以外の人を常に喜ばせるよう
意識することではないかと思っています。
そして、それを誰が実践するかと言ったら、
組織のトップです。
社長に限らず、各部門のトップ。
で、人を喜ばせる意識を持つのは、
仕事上だけではありません。
例えば、居酒屋に行ったら、
お店の人をいかに喜ばせるか、
を考える。
食事を終えてテーブルを離れる時には、
食器をまとめて通路側に寄せておく、
テーブルはおしぼりでちょっと拭いておく、
そんなことができるように社員がなったら、
組織風土もよくなっていくと思います。
そのためには、
「隗より始めよ」
ですね。
組織風土は、経営者が掛け声をかけただけで
変わるものではありません。
一人ひとりが、
目の前の人を少しでも喜ばせようとする。
相手の話を聴く。
努力や成長を称え合う。
困っている人がいたら手を差し伸べる。
こうした日々の小さな行動の積み重ねによって、
会社の性格であり、PCのOSとも言える
組織風土がつくられていくのだと思います。

