強い組織の条件とは・・・
3月8日に開幕した野球の世界大会、
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、
3月22日(日本時間)、日本の優勝で幕を閉じました。
日本代表、いいチームですよね。
なんかベンチの中の良い雰囲気が
画面越しに伝わってきました。
選手間でのコミュニケーションも
よく取れている感じでしたし、
お互いがリスペクトしているようにも見えました。
それと何より感じたのは、
各選手が自分の役割を分かっているということ。
まぁ、こうした選抜チームですから、
自分がなぜ選ばれたのか、
その理由を考えれば、
自ずと自分の役割は分かる、
ということはあると思いますが・・・。
今回は、WBCの日本代表チーム、侍ジャパンをネタに、
「強い組織の条件」についてお話をしたいと思います。
私が考える「強い組織になるための条件」は、
『マネージャーではなく、
プレイヤーの中にリーダーシップを取れる
存在の人がいる』
ということ。
ここで言う「リーダーシップ」とは、
他のメンバーにいい影響を与え、
いい行動を促す力を意味しています。
監督やコーチ、マネージャーが
リーダーシップを取るのではありません。
選手の中にリーダーシップを取れる人がいる。
今回の日本代表で言ったら大谷翔平選手であり、
ダルビッシュ有選手でしょう。
特に大谷選手の存在は大きかったと思います。
他の選手の「勝利(優勝)への意識」を高め、
諦めない気持ちを高め、
そのための行動を促していたと思います。
大谷選手、今回のWBCでどうしても優勝したい、
という勝利への執念がみなぎっているのが
伝わってきました。
観ている側にも伝わるぐらいですから、
間近にいるチームメイトはもっと
感じていたと思います。
大谷選手の意識や勝つための行動が
他の選手に良い影響を与えていたのも想像できます。
メキシコに勝利した準決勝、
大谷選手が9回裏、
サヨナラ勝ちのきっかけとなった
2塁打を打ったとき、1塁ベース前で
走りながらヘルメットを脱ぎ捨てる場面がありました。
元中日監督の落合博満氏は、YouTubeで
「あそこで(ヘルメットを)飛ばす必要、
どこにあるんだと思うけど」と
言っていました。
が、私は「必要ある」と思うのです。
チームメイトを鼓舞し、
「絶対勝つ!」という思いを強く
させるためにも・・・
更に言うと、
なぜ「日本が勝たなければいけないのか?」
という目的も共有できていたのではないかと
考えています。
チーム内で話し合って共有するのではなく、
大谷選手が自然と発していたように思うのです。
大谷選手、本当に野球が好きなんでしょう。
たぶん野球をものすごく楽しんでいる。
職業野球としての辛さなど全く感じてない気がします。
その大好きな野球の素晴らしさを
もっともっと世界に広めたい、
日本の子ども達に伝えたい、
だからこそ、このWBCという大会を盛り上げたい、
だからこそ、素晴らしいゲームをしたい、
だからこそ、日本代表チームが強くありたい、
そんな想いがあったのではないかと、
勝手に想像しています。
と、言うことで、もう一度お伝えすると、
強い組織の条件は、
監督やコーチではなく、
選手の中にリーダーシップを発揮できる人がいる
ということ。
会社組織で言うと、
社長や部署の役職者といったリーダーではなく、
一般の社員(プレイヤー)の中で、
リーダーシップを発揮して、
他の社員の意識を高め、行動を促せる、
良い影響を与えられる社員がいると
組織は強くなるのです。
思い起こすと、
WBC第1回大会(2006年)、第2回大会(2009年)は、
共に日本が優勝していますが、
そのときには、イチローという存在がありました。
2006年、当時大エースだった
松坂大輔投手に対して、
強化合宿の練習中、
イチローがこんなことを言っています。
「疲れて、なめてやってるだろ おまえ
分かるぞ、おまえ
深~いところでなめてやってるだろ、
なめてるな」
(参考までにその時の動画⇒YouTube)
※音声が流れます
松坂大輔にこんなこと言える人、
たぶんイチロー以外にいません。
この第1回大会での、松坂大輔は、
3戦3勝・防御率1.38で、
大会MVPに選出されています。
優勝を逃した第3回大会(2013年)と
第4回大会(2017年)には、
改めてメンバーを見てみると、
選手の中にリーダーシップを
発揮できる人っていなかったような気もしますが、
いかがでしょう?
参考までに
第3回大会メンバー
第4回大会メンバー
最後に大谷選手の話をもう一つだけ。
WBC決勝戦前のロッカールームで
円陣を組んだ時の大谷選手がメンバーに伝えた言葉。
「僕から一個だけ。
あの~、憧れるのをやめましょう。
ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、
センター見たらマイク・トラウトがいるし、
外野にムーキー・ベッツがいたりとか。
野球やっていれば誰しも聞いたことが
あるような選手たちがいると思うんですけど。
今日一日だけは。
やっぱ、憧れてしまったらね、
超えられないんで。
僕らは、今日、超えるために、
トップになるために来たんで、
今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、
勝つことだけを考えていきましょう。
さあ、いこう!」
決勝戦、5回の表、
中日の高橋宏斗投手(20歳)が
2番のマイク・トラウト、
3番のポール・ゴールドシュミットを
連続三振に打ち取ったのも、
この大谷選手の言葉があったからでは
と思えてしまいます。
【参考】
なぜ、中日の投手陣は毎年レベルが高いのか
(2012年9月18日配信のKPC通信)
追伸
今回、WBCに出た選手たちには、
シーズンに入ってから、
本当に活躍してほしいですね。