先日（1月17日）の日本経済新聞15面の
「一目均衡（いちもくきんこう）」という
コラム欄に、次のタイトルの記事がありました。


『「競争戦略」とは何か』


確かに、「戦略」とか「戦略的商品」とか
「戦略市場」とか、そんな言葉を聞きます。

が、いざ、「戦略とは何か」と問われると、
人によって、その捉え方は様々で、
意外と明確に答えられなかったりする
のではないでしょうか？


この「一目均衡」の筆者は、
「戦略とは」ということで、
次のように書いています。


「戦略とは、その会社ならではの
『価値ある独自性』の追求である」。


ここでいう“価値ある”というのは、
自分たちの会社にとって価値が
あるものではありません。


あくまでも“お客様”にとって価値がある
ということです。


その『お客様にとって価値があると感じる独自性』
とはどういうことでしょう？

私なりの解説を少し加えてみたいと思います。


人にはそれぞれ、いろいろな問題があります。

「貯金したいけど、つい浪費してしまう・・・」
「痩せなきゃいけないのに、運動できない・・・」
「掃除ができずに、いつも部屋が汚い・・・」
等々

また会社でも同じで、様々な問題を抱えています。

「人がなかなか育ってくれない・・・」
「組織間の連携が取れない・・・」
「新規のお客様を開拓できない・・・」
等々


また問題ではなく、欲求というのもあるはずです。

「旨い寿司を、思いっきり食べたい！」
「どこそこへ旅行に行きたい！」
「何とかという資格を取りたい！」

「営業利益率を高めたい！」
「優秀な人材を採用したい！」
「設備を安く導入したい！」
等々

で、そうした問題や欲求に対して、
次のように言えるようになること、
これを追求するのが戦略です。


「うちの会社なら、
その問題、解決できますよ。
その欲求に対応できますよ。
他の会社では、できないですけどね。
うちなら大丈夫！なぜなら・・・」。


他の会社が、
「その欲求には応えるの、難しいです・・・」
と言っていることに
「うちならできます。なぜならば・・・」
と言えれば、お客様にとっては
非常に“価値がある”ことになりますよね。


例えば、

「痩せたいけど、運動が続かない。
食事制限の自己管理も難しい。
でも、何としても3か月で確実に痩せたい！
痩せなければならない！
しかも、筋肉をバランスよくつけて

きれいな体型になりたい！」

という問題・欲求に対して、

「他の会社は無理かもしれませんが、
うちならできます。なぜならば・・・」

と言っているのがライザップですよね。


日本経済新聞のコラムでは、
事例企業として、二つ挙げられていました。

一つがベビー用品大手のピジョン。

もう一つが、工場用品の販売会社ミスミグループ。


ピジョンは、
「生後18か月までの赤ちゃん」に
的を絞っています。

そのうえで、赤ちゃんを持つお母さんの
哺乳器に関する問題や欲求については、
「他では対応できないかもしれませんが、
うちなら対応できますよ。なぜなら・・・」
と言えるわけです。


ピジョンの場合、この「なぜなら・・・」の
ところは何かというと、

「他にはない独自の授乳セオリーを
持っているから」ということです。


創業期、創業者の仲田祐一氏は、
理想的な哺乳瓶を考案するために、
女性の乳首を実際に吸わせてもらいながら
全国を行脚した、というのは有名な話ですよね。

ちなみに、乳首を吸おうと決めるのが、
戦略ではありませんよ。

それは戦術。


「他のベビー用品は関係ない。
こと哺乳器に関してだけは、
他の会社では対応できないことを
うちだけはできるようにしよう」と
決めるのが戦略です。


ミスミグループに関しては、
お客様の「工場で使われるどんなモノでも
すぐに届けてほしい」という欲求に
対応しています。


他の会社が、
「どんなモノでもすぐにというのは難しいです」
と言っているところに、

「うちならできますよ。
なぜなら、取扱品目は8兆×1億点ありますし、
独自の素早く届けるサプライチェーンを
持っていますから」
と言えるわけです。


くどいようですが、まとめると、戦略とは、

「誰の」、
「どんな問題や欲求に対して」、
「何をもってして」、

他ではできないけど、うちならできる、
と言えるようにするかを決めることと言えます。

中期経営計画の売上目標数値や利益目標を
決めることが戦略ではありません。


戦略を考えるときに大切になること等について、
もう少しお話したいことがあります。


しかし、少々長くなってしまいましたので、
今回は、ここまでにして、
次回お話したいと思います。


では、良い週末をお過ごしください。