コラム - 経営者へのラブレター

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経営者へのラブレター

社長から言われたことのない一言

遅ればせながら、百田尚樹氏の書いた

「海賊と呼ばれた男」、読みました。

出光興産の創業者出光佐三をモデルとした歴史小説。

小説の中では、出光佐三は国岡鐡造、出光興産は国岡商店となっていて、

その創業から昭和56年に国岡鐡造が亡くなるまでの生涯が描かれています。

2013年の本屋大賞を受賞するなど、高い評価を受けている作品です。

2012年にハードカバーで出版されていましたが、

今年の7月に単行本化されたのを機に手に取ってみました。

(私、ハードカバーの本ってあまり読まないんです。読むのは大抵単行本)


内容について、感動したとか、どうだったかという話は

差し控えさせていただきますが、、

この本の中で、最も印象に残ったことをお伝えしたいと思います。


国岡商店の三代目社長、東雲忠司が社長を退任し、

その挨拶に、国岡鐵造の自宅に行く場面があります。

国岡鐡造も既に92歳のときです。

東雲忠司が、創業者の国岡と一緒に働いてきた年月を述懐して、

以下のことを思うのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分は三十九年も仕えてきたにもかかわらず、

一度も言われたことがない言葉がある。

それは、「儲けよ」という言葉だった――――。

(下巻P430)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この一説を読んだとき、少々恥ずかしくなってしまいました。

「うわっ、俺、めちゃくちゃ言ってるわぁ。

『儲けたい』とか『儲けよう』って。

『儲かる営業会議』なんてメルマガも出しているしぃ」と・・・。


「儲かる営業会議9つのルール」

http://goo.gl/AuBF20


じゃあ、東雲や国岡商店の社員は、国岡からなんと言われていたのか?

一貫して「国のため、未来の日本のためになることをしろ」ってことでした。


しかし、国岡商店が儲けていなかったかと言ったら、

決してそうではありません。

モデルは大企業に成長した出光興産ですから、

大いに儲けているわけです。

決して非営利団体ではありませんし、

ボランティアで石油を売っているわけでもありません。


そう考えると、大事なのは、

「何のために儲けるのか」という儲ける目的なんでしょう。

あなたは、会社にとって利益を出す目的って何だと思いますか?


私は、企業が利益を得る目的は、

「今よりももっとお客様に喜んでいただける商品やサービス、

社会の発展に貢献できる商品やサービスを実現するため、

そして社員を幸せにするため」だと考えています。


きっと、多くの経営者も、こうした考えを持っていることと思います。

ただ、いざという局面に立たされた時に、

本当に儲けることの目的をお客様のため、社会のため、

って言えるかどうかです。


いざとなったとき、世の中ためにならないことと知りながら、

自社が生き残るため、ってことで利益を得ようとしてしまうことが

あるかもしれません。


また、いい車に乗りたい、いい家に住みたい、美味いものを食いたい、

いい女と一緒にいたい・・・、だから儲けたい、

って気持ちが先に立つこともあるかもしれません。


「公」の心か、「私」の心か、ってことで言えば、

これらは「私」の心ですね。


清濁併せ呑む、ってことで言えば、こんな感情も人間だからあるはずです。

ただ、それを公に言ってしまっては、

通用しない世の中にはなっているんでしょうね。


経営者として、大事なのは、

そうした「私」の心を持っていることを自分なりに認識し、

そのうえで、もっとお客様に喜んでいただくために、

もっと社会に貢献をするために、儲けるんだと心から思えるようになること。

そうした「公」の心をより高めていき、

心からそのように行動をすることができるようになっていくことだと思います。


それが、経営者としての、一人の人間としての修行なのかもしれません。

東雲忠治の述懐の中にこんな一節も出てきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

世の人々は国岡鐡造を一代で財をなした大立者と見做すが、それは違う。

店主の生涯はむしろ行者の一生だった。

その生き方は修行に励む禅僧に似ている。

(下巻P430)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

国岡鐵造は、根っから社員のため、国のためなら

自分はどれだけ犠牲になってもいいという考えの持ち主ではあったと思います。

そういう考えで事業を行うからこそ、修行だったのでしょう。

利益は俺のためのものって、事業を行っていたら、楽ですもんね。

長続きはしないと思いますが・・・。


追伸

百田尚樹氏作品を読むのは、

「永遠の0」、「影法師」に次いで3作目でしたが、

正直、一番、読みづらかったです。

小説としての内容が、面白かったかどうかではなく、

読みやすかったかどうか、でいうと読みづからかったんです。

私なんかが言うのもおこがましいんですが、

「永遠の0」、「影法師」がスラスラ読めて面白かっただけに、

「あれ?百田尚樹ってこんな文章書く人だったかな?」って随所で感じてました。

事実をベースに描いた小説だからなんでしょうかね?

起こった事柄の羅列があるばかりで、

しかも、その羅列も文体が単調なんです。

まぁ、ホント拙い文章しか書けない私なんかが、

こんな感想を持つこと自体、おこがましいと思ってますが、

それは十分承知の上で、あえて感想を述べさせてもらいました。


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