トヨタ、利益2兆2900億円の理由(わけ)
トヨタ自動車が11月6日、2014年3月期の連結税引き前利益が
前期比63%増の2兆2900億円になると発表しました。
売上高は、13%増の25兆円、営業利益は67%増の2兆2000億円になるとのこと。
素直にすごいと思います。
で、そのすごさってどこから来るのか?
本日は、私が考える「トヨタの強さの源」について、
お伝えしたいと思います。
11月6日の決算会見で小平副社長は、次のように協調していました。
「2008年以降、原価低減に取り組んできた。
その上に今回の結果がある」。
このコメントの中に、トヨタの強さが見え隠れしている気もします。
トヨタのコスト削減のシビアさは、
ときに「乾いた雑巾を絞る」なんて揶揄されることもあります。
しかし、私がお伝えしたい「強さの源」は、
その原価低減を推進する力というわけではありません。
私が思う「トヨタの強さの源」は、
「短期的な結果を求めずに、
継続して結果を出し続けられる“しくみ”を
構築しようとする」ところにあると考えています。
例えば、短期的な売上目標や営業利益目標を達成しようと思えば、
それなりの原価低減の方法を取ればいいはずです。
取引先に値下げ要求するとか。
しかし、その場合は、短期的に目標達成できても、
継続性が保てるかどうかは、怪しくなります。
短期的な目標を達成することを目的とするのではなく、
継続的に利益を出し続けられる“しくみ”を
構築していくことを目的とするのです。
これは、原価低減に限らず、あらゆる仕事において、
その考え方が浸透していることに強さがあると考えています。
これって、当たり前のことじゃないかと思われるかもしれません。
でも、その当たり前のことができている会社がどれぐらいあるでしょうか?
例えば、製造現場で「原価低減」の年間目標を決めて取り組む。
1年間、現場の人たちは一生懸命、頑張って達成するわけです。
目標達成して、良かったと思うのも束の間。
社長からは、さらなる原価低減の目標が通達される。
現場の人たちは思うわけです。
「今年あれだけ頑張って、やっとこの目標を達成できたのに、
来年もさらにやれって、それは無理だよ」って。
営業もしかりです。
売上目標があって、営業マンは一生懸命、飛び込み訪問もし、
新規を開拓し、なんとか頑張ってその目標を達成するわけです。
が、会社からは、「来年は今年の10%アップの売上目標ね」って
指示が出され、営業マンたちは思うわけです。
「今年あんなに必死にやってなんとか達成できたのに、
来年はさらに10%アップって、これじゃキリがないよ」って。
そして、みんな疲弊していってしまうんです。
結果ばかり追い求めている会社の社員は疲弊しています。
このように社員が疲弊しないようにするためには、
今年達成できた目標は、来年、楽に達成できる“しくみ”を
作っておく必要があります。
ただ単に目標が達成できたらOKということではなく、
目標を達成できるだけのしくみを作っておく。
それを目的に目標達成を目指すのです。
念を押します。
目標の数値を達成することを目的にするのではなく、
その数値を達成できるだけのしくみを構築することを目的にするんです。
この考えが管理者に教育され、浸透していることが、
トヨタの強さの源だと、私は考えています。
小平副社長のコメント、
「2008年以降、原価低減に取り組んできた。
その上に今回の結果がある」には、
短期的な利益目標を追求したわけではなく、
原価低減の仕組みを作った、その結果、
この利益を達成できるのだ、という想いが込められている気がします。
ちなみに、トヨタの関連子会社に今年仕事で伺った際、
こんなことが明文化されていました。
「管理者は、方針管理と目標管理と日常管理の違いを
明確に部下に説明できなければならない」。
これらの違い分かりますか?
追伸
日本経済新聞(11月7日)によれば、
トヨタ(連結)の2014年3月期の売上高は25兆円の予想で、
世界販売台数は996万台を目指しています。
と言うことは、25兆円÷約1000万台=約250万円で、
1台あたりだいたい250万円ぐらいの売上があるってことですね。