コラム - 経営者へのラブレター

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経営者へのラブレター

入社式での社長訓示の使い方

4月1日、多くの企業で、「入社式」が催されました。

で、そこでは、必ずと言っていいほど

「社長の訓示」が行われています。


その社長訓示、どこまで新入社員に届いているんでしょうか?

まぁ、当然、一通りは新入社員も聞いているはずですが、

緊張もありますし、

当然まだ会社の状況も分かっていないでしょうから、

なかなか「理解しろ」という方が酷かもしれませんが・・・。


この入社式での社長訓示、

テレビや新聞で、社長訓示を見聞きしていると、

そこには、新入社員へのメッセージであると同時に、

現在の社長の想いや会社の課題がかなり色濃く反映されているようです。


ですから、このせっかくの社長訓示、

新入社員だけに聞かせるのではもったいないですよね。


全ての社員に直接は聞かせられないにしても、

「入社式で、社長はこんな話をしていた」ということを

伝えてもいいのではないかと思います。


決して、「普段から社員には、言い続けていることだから、

それをまた社員に伝えるなんて意味がない」なんて言わずに。

それが社員の教育にもつながりますから。


ただし、伝えるときには注意が必要です。

文字に起こして「入社式での社長訓示」として配布しても、

まぁ、悲しいかなあまり読まれることはないでしょう。


社長訓示を活かして、社員教育を行うのであれば、

ちゃんと管理者が部下に対して、

「考えさせる」と言う場が必要になります。


例えば、管理者が部下を集めて、次のように言うわけです。


「今日の入社式では、新入社員向かって、

社長が話されていたこと、

文書で配布されていたんで、みんなも読んだと思うけど、

少しそれについて考えてみようか。

入社式で、社長は、『しっかりと自己研鑚(けんさん)に取り組み、

変化にも果敢に挑戦してほしい』って言っていたようだけど、

どうだろう、我々はどれぐらい自己研鑚できているだろう?

もっともっと変化に挑戦していこうとしたら、どうしたらいいだろう?

また『「やりがい」「働きがい」「生きがい」を持ち、

充実した人生を送ってほしい』とも言っていたようだけど、

「やりがい」と「働きがい」と「生きがい」の違いって何だろう?

我々として、もっと働きがいを高めるのはどうしたらいいだろう?」

と言うように。

かなり重たいテーマになって、

ちょっと話をしようって感じにはならないかもしれませんね。

でもいいんです。

答えをしっかりと出さなくてもいいという前提で、

考えさせ、関心を持たせられれば。


そもそも、入社式での社長訓示に限らず、

社長が大勢の社員を前にして語ることって、

社員はあまり聞いていませんからね。


こうした「社長の言ったこと」について考えさせる場を

管理者が持つようにすることは、

トップの考えを浸透させ、ベクトルを合わせていくのに、

有効な手段だと考えています。


ちなみに、先述の「しっかりと自己研鑚」と言うのは、

十六銀行の堀江博海頭取の訓示で、

「やりがい、働きがい、生きがい」は、

ユニーグループ・ホールディングスの前村哲路会長の訓示です。

ともに4月2日付の日経新聞から引用しました。


以下、参考までではありますが、

4月1日のテレビ東京のニュース番組、

ワールド・ビジネス・サテライトで取り上げられていた

社長訓示です。


JAL日本航空 植木義晴社長

『皆さんには新しい息吹を
このJALグループの中に注ぎ込んでいただきたい』


ANAホールディングス 伊東信一郎社長

『私達の一つひとつの行動の積み重ねの中で
安全が守られていることを肝に銘じていただきたい』


トヨタ自動車 豊田章男社長

『桜の花のように厳しい冬を乗り越えられる底力を持ち、
その美しい花で世界から愛される存在になりたい。
りボーンしたいと願っております』


パナソニック 津賀一宏社長

『社外の方だけでなく従業員の方も
またその家族もパナソニックに勤め、
自らファンなんですと声が上がる会社を目指したい』


ローソン 新浪剛史社長

『きっと皆さん同期の中で話してみると考え方が違うなぁと。
違うということをどうやって受け入れるかと言うのが
ローソンの大きな課題であり、また可能性だと思っています。
これが新しいイノベーションを生む一番重要なポイントです。』


イオン 岡田元也社長

『これまで日本で行ってきたことを、
これをアジア全域でやっていく。皆さんの仕事です』


どれもこれも、新入社員に聞かせるだけでは、

もったいない訓示ばかりではないでしょうか。


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