コラム - リーダーのルール

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リーダーのルール

森保監督に学ぶマネジメント術

2026年W杯。

惜しくも決勝トーナメント1回戦で
ブラジルに敗退。

今回の日本代表の戦いぶりを見て、
「日本、強くなったなぁ」
と感じられた方も多かったのではないでしょうか。

間違いなく日本サッカーのレベルは
上がっていますよね。

日本サッカーの目標が「W杯優勝」と言っても、
今では全く恥ずかしくないですから。
世界のサッカー界から見ても・・・。


以前、本田圭佑選手が「優勝」と口にしたときは、
ビッグマウスだの、現実を見ていないだの、
いろいろと揶揄されていたことを
思うと本当に隔世の感があります。

本気で優勝を目指せるところまで、
日本代表は成長してきました。

今回は、そんな日本代表を約8年間率いてきた
森保監督を取り上げて、
マネジメントについて学んでみたいと思います。

「企業経営・部門経営にも通じるなぁ」と
感じたことを二つご紹介します。

一つ目は、「権限委譲」について。

今回の日本代表には、
7人の専属コーチが配置されていました。

攻撃の名波コーチ、中村俊輔コーチ。
守備の長谷部誠コーチ。
セットプレー担当の前田コーチ
等々。

サッカージャーナリストの小澤一郎氏によると、
「これだけ細かく役割分担された
コーチングスタッフは、海外でも珍しい」
とのことです。

なぜ、森保監督はこのような
コーチによる分業体制を敷いたのか、
細かく役割を任せたのか。

監督という仕事は、
視察、分析、練習メニューの立案、練習指導、
ミーティング・・・と本当にやることが
たくさんある。

森保監督は、
「自分自身が全てやっていると
全てが薄くなってしまう」と
考えたそうです。

そこで、コーチ陣に権限を委譲し、
自分は監督として大局的な視点での
意思決定を行うようにした。

全体の方向性は監督が決める。

その方向性に沿って、専門コーチが練習内容や
ミーティングを考え、選手たちに落とし込んでいく。

これにより監督が一人でやっていたら、
薄い内容になっていた一つ一つのことが
濃い内容になっていったわけです。


森保監督自身がこう語っています。

「監督が一人でやるより、
間違いなくすべての質が高くなり、
選手も思い切ってプレーできるようになった」


しかし、組織において
権限を委譲すればうまくいくかといえば、
決してそうではありません。

権限委譲するときのポイントは何か。

森保監督が意識していたのは、
「委譲した分だけ、
コーチ陣と徹底的に議論すること」

だったそうです。

ここがポイントなのでしょう。

企業でも同じですよね。
社長や部長が全部自分で考え、
全部チェックし、全部修正し、
全部指示を出していたら、
間違いなく、全部が薄くなってしまいます。

それに何より社長や管理職がやらなければ
ならない大局的な視点での仕事をする時間が
無くなってしまいます。

でも実際には、権限委譲をしようとしても、

「任せたら自分の思いと
違う方向へいってしまうのではないか」

「好き勝手やられてしまったら面倒だ」

「結局、自分でやった方が早い」

「そもそも仕事を任せたら、
 自分のやることが無くなってしまう」

そんな恐怖心が湧いてくるのではないでしょうか。

こうした恐怖心に打ち勝ち、
権限を委譲し、組織力を高めるには
どうしたらいいか。

大きくは2つあると考えています。

一つは森保監督も言っている通り、
委譲した先の人と意識や方向性を合わせるための
コミュニケーションをしっかり取れる
仕組みを作る
ことですね。

もう一つは、
組織の長として自分自身の役割と責任を
明確に自覚する
ことです。

森保監督の場合でいえば、
監督の責任は勝つことです。
それが全て。

企業のトップで言えば、
望ましい成果を出し続け、
社員とその家族を、お客様を、取引先を、
地域社会をより幸せにしていくことです。

そのためにはどうしたらいいかを考える。
そこに多くの時間を使う必要があります。

時折、末端社員の育成までやらないと
気が済まないような経営者の方って
いらっしゃるんですが、
やはりそれでは本来の責任を
果たしにくくなってしまうはずです。

時間は限られていますから。

ちなみに先述の小澤一郎氏は、
こんなことも言っています。

「専属コーチを据えることで、
次の代表監督候補層にも
厚みをもたらしたのではないか・・・」

権限委譲が自身の後継者を
育成することにもなりますね。

とはいえ、こんなことを考える経営者・管理者の方も
いらっしゃるのではないでしょうか?

「そりゃ、日本代表のようにコーチに
任命できる人材が豊富にいればいいよ。

うちなんか権限委譲したくても、
権限委譲できる人がいないんだから
なんともならないよ」と。

そうした場合は、
権限委譲を図っていくための具体的な行動計画を
立てることが求められるでしょう。

自分の仕事を棚卸し、
どのような業務(責任)を、
誰に、いつまでに委譲するか、
その責任を全うするために必要な能力は何か?
その能力をどのように高めていくのか・・・

少なくとも、こうした権限委譲計画を
策定されるといいでしょう。


森保監督に学ぶマネジメント術の二つ目は、
「人への気遣い」です。

今回のW杯アジア最終予選の際、
試合後、ベンチ入りメンバーから外れた選手の
ホテルの部屋を、森保監督自ら
一人ひとり訪ねていたそうです。

権限委譲しているとはいえ、大事なところ、
あまりやりたくない役回りのところは
しっかりと引き受けているのでしょう。

なにより選手一人ひとりを
大事にしているのが分かります。

だからこそ選手も、
「この人のため、このチームのために頑張ろう」と
貢献意欲を高められるのではないかと思いますし、
チームの団結を促せていると思います。

人は、論理だけでは動きません。
頭で分かっても、心が動かされなければ
人は動かない。

論理的であり、かつ情緒的。

その両方が備わってこそ
リーダーシップが発揮されるのだと思います。

では、どうすれば、森保監督のような
気遣いができるのでしょう。

実際に森保監督がどのように考えて、
このような気遣いができているのかは分かりません。

ですので、あくまでも私の一見解として
受け取っていただきたいと思います。


リーダーが人への気遣い力を高めるには、
メンバー一人ひとりを
単なる戦力・駒として見るのではなく、
感情を持った一人の人間として見ること
だと思っています。

そして、常に感謝を忘れないこと


人が感謝の対象としないようなことまで、
意識して感謝することで、
感謝の言葉を伝えるのが癖になる
ぐらいだといいですね。

オランダ戦後の記者会見で、
森保監督はこんなことを話されていました。

『オランダの方々に感謝を申し上げたい。
私自身、ハンス・オフトさんという
オランダ人のコーチに育てていただいた。

ビム・ヤンセンさんは亡くなられて、
去年お参りさせていただいた。

たくさんの指導者、選手が
日本のために貢献してくれた。
感謝申し上げたい』


権限を委譲する。
しかし、任せっぱなしにはしない。

相手を理解し、対話を重ね、
感謝を忘れない。

強いチームは、優れたマネジメントによって
作られるのだということを改めて感じます。

せっかくのW杯での日本の健闘です。

こうした素晴らしいマネージャーの見本が
日本の代表監督として存在することに感謝し、
そこから学んで、実践していけたらと思います。


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