『ツキ』、『男気』・・・リーダーがそれを言ってはお終いです』
私の地元名古屋のプロ野球球団、
中日ドラゴンズ、超低迷状態です。
4月24日現在、4勝17敗、
首位とは11.5ゲーム差。
この時期ではあり得ないような
借金とゲーム差です。
今回は、そんな弱すぎる中日ドラゴンズの
井上監督を取り上げて、
お話をしたいと思います。
なお、今回の話は、
決して井上監督のリーダーとしての
資質がどうとか、
井上監督や選手、球団の批判をすることを
目的とするものではありません。
「リーダーとして、ちょっとした言動が
チームのパフォーマンスに影響する。
だからこそリーダーとして、
マネジメントや組織論、心理学等を学び、
自分を律しなければならない」
ということを自戒の意味も込めて
お伝えするものです。
まぁ、真の目的は・・・
私の憂さ晴らしです(-_-;)
今回は、組織論として
リーダーが言ってはいけないことを
2つお伝えします。
1)結果の原因を考えるとき
リーダーが言ってはいけないこと
仕事にしろ、何にしろ
何らかの結果が出たときに
「なぜ、このような結果になったのか」を
考えると思います。
いわゆるPlan-Do-Check-Actionの
マネジメントサイクルで言えば、
Check(検証)です。
アメリカの社会心理学者
ベルナルド・ワイナー(Bernard Weiner)が
提唱した「原因帰属理論」(Attribution Theory)
という心理学の理論があります。
その理論によると、失敗・成功の要因は
大きく次の4つに分類されます。
「努力」、「能力」、「課題の難易度」、「運」
例えば、仕事でいい成果を出せたとき、
「なぜ、いい成果を出せたのか?」
「努力」:頑張ったから。
「能力」:自分の才能だね。
「課題の難易度」:
仕事自体が簡単なことだったからね。
誰がやったってうまくいくよ。
「運」:今回はツイてたなぁ。
逆にいい結果を出せなかったなら、
「なぜ、いい結果を出せなかったのか?」
「努力」:努力が足りなかった。
「能力」:才能がないんだ・・・。
「課題の困難性」:
難しすぎ。こんな難しい仕事、
誰がやってもうまくいかない。
「運」:ツイてなかったぁ。
となります。
もちろん、複合的に考えることもあります。
「頑張ったし、ツキもあった」
というように。
ワイナー曰く、結果の要因を
「課題の難易度」・「運」に
求めていると人のモチベーションは
下がるとのことです。
なぜなら「課題の難易度」・「運」は
自分でコントロールしにくいものだからです。
また「能力」は、自分でコントロールできる
要因ではありますが、変えにくい要因です。
自分でコントロールできないこと、
変えにくいことが要因では、
次の行動を考えるモチベーションが
下がるというわけです。
どれだけPDCAだといって
「Check(検証)」をしても、
その要因に「運」「課題の困難性」「能力」を
挙げてしまうと次の行動が
促されにくくなります。
次の行動を促すためには、
「努力」に焦点を当てる
必要があるのです。
「うまくいった。
なぜならこうした努力をしたから。
次ももっと努力をしていこう」
「うまくいかなかった。
もう少し努力をしていればよかった。
次はどうしたらいいだろう」
と、「行動」が促されるわけです。
つまり、行動を変えるためには、
“努力”に原因を求める必要がある、
ということです。
行動が変わらなければ
結果は変わりません。
4月15日の中日対広島戦。
2対5で中日が広島に敗れた試合後の
井上監督のコメント。
「ツキがなかったと切り替えていくしかない」
(Yahoo! ニュース)
完全に「運」のせいにしています。
気持ちを切り替えるのは大事。
ただ、気持ちを切り替えるなら、
「なぜ、負けたのか」の要因を
「自分たちの努力のせい」として
徹底的に考えることによってです。
ツキ(運)がなかったと
思うことによってではありません。
リーダーが「運」と言ってしまうと、
チーム全体が「仕方なかった」で終わってしまう。
PDCAの「Check」が、
機能しなくなってしまうのです。
組織においてメンバーの行動を変えるためにも、
「運」「能力」「課題の難易度」を
失敗・成功の要因に挙げさせないようにするのが
リーダーとして求められることです。
2)意思決定の理由として
リーダーが言ってはいけないこと
中日ドラゴンズが、開幕5連敗を喫し、
今年6試合目で初めて勝った試合後の
井上監督のコメント。
そのコメントの前に、どんな試合だったかを
簡単にお伝えしておくと・・・
対巨人相手に、中日の先発大野投手が好投し、
8回まで2対0でリードしていました。
ところが9回表巨人の攻撃で、
大野投手が1点を失い、なおも
1アウト1塁3塁の大ピンチ。
ここで、井上監督は、
大野投手を続投させるか、
ピッチャーを交代させるかの
意思決定を迫られます。
結果、ピッチャーを交代させることなく
大野投手が続投し、
何とか2対1で今年初勝利を
納めることができました。
その試合後の監督コメント・・・
「信じるってことは、
信条としてやっていこうと思っているんですけど、
(9回のあのピンチの場面)
(大野)雄大の男気にかけてみた。
よくふんばってくれました」
(Yahoo!ニュース)
続投の意思決定の理由が、
「男気」だったのです。
論理的思考(ロジカルシンキング)的に言えば、
全くロジカルになっていません。
論理的思考とは、
「なぜ、そう決めたのか?」
その意思決定の理由・背景が、
「客観的事実」で
答えられなければなりません。
井上監督のコメントは
論理的ではなく「情緒的」。
以下のようであれば、論理的と言えます。
「あそこは続投でした。
なぜなら、次のバッターとの相性、
大野の状態や球数、
うちの中継ぎピッチャーの状況、
試合の展開を考慮して決めました」
もちろんインタビューで、細かい事実を
伝えることはないとは思います。
またインタビューですから、
ひょっとすると井上監督としては、
選手を鼓舞するための発言であり、
本気で男気にかけたわけでは
ないかもしれません。
しかし、インタビューの様子を見てて、
井上監督は本気で
言っているように見えました。
そこがなんとも悲しいところです。
もちろん、最後はリーダーとして
「勘」も「情緒」も
必要になるところはあるでしょう。
しかし、論理的に考える前に
「男気」だの「気合い」だの「勘」だのを
挙げているようではリーダーとして
ちょっと寂しいなぁと思うのです。
勘を頼りにしての意思決定は楽です。
考えなくてもいいですから。
ただ、再現性はありません。
なぜ、大野投手があそこで抑えられたのか、
「男気があったから」。
これでは再現性も横展開もできません。
また、選手が男気があるように
振舞っていれば起用してもらえる、
と考えるようになってしまったら・・・
そんなチームが勝てるとは思えません。
しかし、メンバーはリーダーの言動によって
ものすごく影響を受けます。
そこをリーダーは認識しなければなりません。
何度もいうようで恐縮ですが、
決して井上監督の批判を
しているわけではありません。
組織のリーダーたるもの、
こうした心理学にしろ、
マネジメントにしろ、
日ごろから学ぶことを怠ってはいけない
と思うのです。
井上監督が「原因帰属理論」や
「論理的思考」を勉強していれば、
このような発言はしていないと思うのですが、
いかがでしょう?
もちろん、私自身ができているかと
言われたら、全然まだまだです。
もっともっといろいろなことを
学ばなければいけないです。
もっと自分を律して、
運や能力、課題の難易度のせいに
してはいけないと自覚しています。
追伸:
大谷翔平選手は、
自分でコントロールしにくく、
外的な要因でもある「運」すら
高校生の時にコントロールしようとしていました。
運を高めるために、
「あいさつ」、「ゴミを拾う」、
「部屋そうじ」、「道具を大切に使う」、
「審判さんへの態度」、「プラス思考」
「応援される人間になる」、「本を読む」
の8つを挙げています。
大谷翔平選手がいう「運」とは、
「自分がどういう人間であるかによって決まる」
と考えているようです。
また、「運」と「ツキ」は別物と
考えているようでもあります。
これは私の勝手な推測ですが・・・
とあるインタビューで、
こんな発言をしています。
(Number Web)
『打球が抜けるかどうかは、
野球の神様のみぞ知るところで、
その要素を験担ぎによって広げよう
ということはありません。
ただツキがなかったな、と解釈したほうが、
自分がやろうとしていることは
間違ってないと正確に測れますからね」
深すぎます・・・

