与田監督、そのコメントはNGです~リーダーが言ってはいけない一言
6月19日(金)、待ちに待ったプロ野球が開幕。
開幕前は、こう思ってました。
「今年も中日が弱くていい
(私、中日ファンなんです)。
勝とうが負けようが、
プロ野球をやってくれたら、
それでいい。
プロ野球が普通に行われること、
それだけでも幸せなことだと分かったから」
と。
で、いざ、始まって1週間・・・。
いやぁ、中日弱いですねぇ~。
やっぱり弱い・・・、
とにかく弱い・・・。
結果的に負けているから弱い、
と言っているのではありません。
評論家を気取るつもりはありませんが、
素人目に見ていても、
相手が嫌がることをやれていない。
相手投手があっぷあっぷして、
「粘られたらイヤだなぁ」と
感じているであろう時に、
初球を打って平凡な内野フライ、とか・・・。
大体1アウト1塁3塁のチャンスでは、
そうです。
開幕前に、『どんだけ弱くてもいい』、
ってあれほど思っていたのに・・・
いざ始まると、
やっぱり感情が先立ってしまいます。
先日(6月23日)のDeNAベイスターズとの初戦、
11本の安打を打ちながら1点も取れず、完封負け(T_T)
そのあとの与田監督のコメント。
「絞り球というのも難しかったし、
分かっていてもなかなか攻略することができなかった。
素晴らしい投球をさせてしまいました」
また、チャンスでことごとく打てなかった
平田選手に対しては、
「打球はある程度の強さはありましたけど。
うーん、まだまだツキがないのかな
という感じはしました」
とコメント。
決して与田監督を批判するつもりも、
評論家になるつもりもありませんが、
ことマネジメントとかリーダーシップとかの
観点から言わせていただくと、
このコメントは、チームのリーダーとして
言ってはならないコメントです。
なぜか?
心理学に「原因帰属理論」なるものがあります。
どんな理論かというと、
『人が結果に対して、
「なぜ、こういう結果になったか?」
と原因を考えるときには4つのパターンがある。
どのパターンで考えるかによって、
人のモチベーションは変わってくる』、
というものです。
4つパターンとは、
①能力
②努力
③課題の困難性
④運
の4つ。
例えば、何かの資格試験を受けて
合格したとしましょう。
その合格という結果に対して、
「なぜ合格できたのか?」を考える場合、
①能力:「やっぱ俺(私)って天才!」
②努力:「努力したからなぁ。努力が報われた」
③課題の困難性:「問題が簡単だった」
④運:「ツイてたなぁ。前日に見た問題が出たんだもん」
となります。
逆に不合格だった場合は、
①「やっぱり自分には能力がないんだろうなぁ」
②「努力が足りなかった」
③「あんな問題、難しすぎて誰も解けるわけないじゃん」
④「ツイてなかった。前日に体調崩すなんて・・・」
という感じ。
で、原因帰属理論では、
どこに原因を持っていくのが、
一番モチベーションを維持・向上
させるのに効果的かというと・・・
②なのです。
いい結果になっても、悪い結果でも、
「努力」を原因として帰属させる。
なぜなら、他の
「能力」、「課題の困難性」、「運」の
せいにしてしまうと、
次の行動に繋がりにくいからです。
これは想像に難くないでしょう。
いい結果を出せたときに、
「天才だ、私」と考えても、
「こんなこと誰にとってもカンタン」でも、
「ツイてたぁ」でも、
次の行動や努力には繋がりにくい。
仕事で失敗した場合でも、
「自分には能力がないんだ」
「誰がやっても難しすぎてうまくいかない」
「運がなかった」
では、取り組み方を改善して、
次は良い結果を出そうという
行動や努力につながりにくいわけです。
と、ここで先述の与田監督のコメントを
見てみましょう。
一つ目の
「絞り球というのも難しかったし・・・」
というのは、敗因を完全に③の「課題の困難性」に
帰属させています。。
「あんないいピッチャー、
うちのチームだけじゃなくて、
どこのチームも打てないよ」
ってことですから。
子どもがテストで悪い点数取って、
「こんな難しい問題出すなんて、
先生、ズルいってぇ~」
って言っているのと同じ。
二つ目の
「まだまだツキがないのかな
という感じはしました」は、
もう完全に④の「運」のせいにしていますね。
マスコミに発する言葉と選手に対する言葉は
違うかもしれません。
さらに言えば、こういうコメントをした方が、
今の中日の選手にとってはモチベーションを
上げられると考えた上でのコメントなのかもしれません。
そのあたりは分かりません。
ただ、リーダーという立場の人は、
自分の発言には気を付けなければいけないと思うのです。
こうした心理学を勉強しておくことも
重要なことでしょう。
ただ、理論を学んだうえで難しいのは、
心で思っていることと違ったことを
あえて言う必要があるということですね。
部下が良い結果を出したとき、
決して、努力をしたからだと思っていなくても、
「努力の結果だね」と言ってあげる
必要もあるでしょうし・・・。
いずれにしろ、リーダーの発言は
メンバーやチームに対する影響が
大きいことは肝に銘じておかなければならないでしょう。
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