コラム - 仕事のルール

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仕事のルール

正常性バイアスに抗う方法

先日の集中豪雨では、
翌日の仕事に向けての移動で
少々難儀をしました。

今回のコラムでは、この経験から
「正常性バイアスの恐ろしさ」

「異常が見える仕組みをつくる」
ということをテーマに
お伝えしたいと思います。

翌日の仕事に向け、当日は
磐田市に移動しなければなりませんでした。

在来線も新幹線も止まっており、
電車での移動は諦め、
車での移動に変更。

最寄りのインターから
高速に乗ろうとしたら、
インター入り口で水没している車が1台!
ETCの直前で動けなくなっている車が1台!

そのとき、実はほんの一瞬思ったんです。
ほんの一瞬ですよ。

水没している車を見ながらも、
「あの車はいけなかったけど、
自分ならいけるんじゃないか」
「スピード出して突っ切れば
いけるんじゃないか」と。


これ、いわゆる「正常性バイアス」
ってやつですね。


危機的状況に直面しても、
「自分だけは大丈夫だろう」
「今回は大したことないだろう」と
危険を過小評価してしまう心理傾向です。

車を水没させてしまった人も、
この「正常性バイアス」が
働いていたのかもしれません。

「これぐらいの水位ならいけるだろう」と。

水没している車を目の当たりにしている私でも
思ったぐらいですから。

確かに、見たところ
車が止まってしまうほどの
水位には見えないんですよ。

では、正常性バイアスが働かず、
あそこで私が戻れたのはなぜか?

それはもう水没している車の存在が
あったからに他なりません。

水没している車があったからこそ
危険(異常状態)が目で見て分かったわけです。

失礼を承知で言わせていただくと、
私が水没せず、Uターンできたのは、
水没している車のおかげです。

私の前にもUターンしてくる車が数台ありました。

それらのUターンしている車を見て
「こんなところで何をしとるんだ」と
若干の怒りを込めて思っていたのですが、
その数秒後、私自身がUターンしてました。

Uターンした人みんなが異常(危険)を
察知できたのは、申し訳ないですが、
水没している車のおかげです。

目の前に水没している車がある。

つまり、「ここは正常ではない」
「この先に進むのは危険だ」
ということが、誰が見ても
明らかに分かる状態になっていた。

「異常(危険)が見える化」
されていたわけです。

こう考えると「正常性バイアス」によって
被害を出さないためには
「異常を見える化すること」が
一つの対策になるということです。


これはビジネスにおいても一緒。

「異常が起きたら、誰が見ても異常だと分かる」
「異常が発生したら、すぐにそれが顕在化する」

そんな仕組みを作っておくことがものすごく重要。

これを徹底的に実践し、文化にしているのが
トヨタ自動車でしょう。

トヨタの仕事の基本の一つは、
「異常があったらすぐ止めて改善」
「異常を潜在化させない。
ちょっとでも異常があったらすぐに顕在化させる」
ですから。
(トヨタでいう「ニンベンのついた自働化」です)

例えば、売上に関していえば、
「最近、ちょっと売上が悪いなぁ」
と感覚的に思っているうちは、
「そのうち回復するだろう」と
「正常性バイアス」が働きやすい。


そうではなく、
「前年同月比90%を下回ったら異常」
とあらかじめ基準を決めておく。

そして、その異常を目で見て分かるようにしておく。
さらにすぐに手を打つ。

品質や安全でも同じです。
大きなクレームや事故が起きてから
「大変だ!」ではなく、
手直し件数、不良率、ヒヤリハットなど、
大きな問題になる前の小さな異常を
見えるようにしておく。

人に関しても、突然、社員から
「会社を辞めます」と言われて初めて、
「えっ!?」では遅い。

残業時間が増えている、
有休を取らなくなった、
遅刻や欠勤が増えた、
面談での発言が変わった、
職場での会話が減った・・・


そんな小さな変化があったときに、
「いつもと違う」と気づける仕組みを
持っておく。

もうひとつ「異常を言える仕組み」も重要。

悪い情報を報告すると上司から怒られる。
問題を報告すると、
「そんなことぐらい自分で何とかしろ」
と言われる。

そんな職場だったら、異常は潜在化してしまいます。
問題がないのではなく、問題が表に出てこない。

なんとなくみんなが問題あるよなぁ
と思っていても、まぁ大丈夫かぁ
と正常性バイアスが働いてしまっては
水没してしまいます。

「異常を早く見つけた人」、
「異常を早く報告した人」
を評価する仕組みや風土も大事かなと思います。


人間には正常性バイアスがある。

これに抗うためには、
人間の感覚や注意力に頼るのではなく、
「異常が起きたら、嫌でも目に入ってくる」
そんな仕組みをつくっておく。

先日の豪雨で、
私にとってその役割を果たしてくれたのが、
目の前で水没していた一台の車でした。


もし、あの車がなかったら・・・。


きっと突っ込んでいたでしょう。


そう考えるとぞっとします。

というのも、昨年、息子(21歳)が沖縄旅行中に
アンダーパスの水たまりに突っ込み
レンタカーを水没させているのです。

息子には、「突っ込んだらダメだって分かるだろ!」
とさんざん言っていたので、
私が同じ目に遭うわけにはいかないんです。

もし水没させていたら、
息子に何を言われていたか・・・

鳥肌が立つぐらいにぞっとします。

あなたの職場では、
「正常」と「異常」が
誰が見ても分かるようになっていますでしょうか?

小さなところからでいいので、
正常と異常が分かるように
見える化を進めていただけると、
正常性バイアスに負けない、
異常・危険に敏感な組織を作っていけると思います。


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