コラム - マーケティングのルール

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マーケティングのルール

富山の恩を北海道で返す~返報性の法則


先週は、2月23日(水)から26日(土)まで

札幌へ出張しておりました。





出発前日の22日まで

北海道は記録的な暴風雪となっていました。





メディアでも取り上げられていたので、

記憶にある方も多いと思います。





22日は、新千歳空港発着の全便が

欠航になる状況。





地震で全便欠航は過去にあったそうですが、

雪の影響での全便欠航は、



新千歳空港開港以来初めてとのことでした。



除雪しても除雪しても、

すぐに雪が降り積もってしまう・・・



それぐらい大変な雪だったわけです。







私も、22日の時点で23日の飛行機が

無事に飛ぶかどうか気が気ではありませんでした。







YouTubeで新千歳のライブ映像を

祈るような気持ちで見ていました。







出発当日の朝、ネットで確認をすると、

私が乗る予定の「中部国際空港⇒新千歳便」は

「欠航」ではなく、「搭乗手続き中」との表示!







本当にほっとしました。



12:05発の便でしたが、

それよりも前の8時台に出発する便は、

欠航になっていました。



ギリギリ間に合ったという感じです。



14:00、無事に新千歳空港に着いて、

手荷物を受け取り、ロビーに出ると、

長蛇の列が目に入りました。



『昨夜、ここで一晩夜を明かした人たちが、

出発を待っているのかな?こりゃ大変だ』



と他人事のように

その長蛇の列を横目で見ながら、

JRの駅に向かおうとしたら・・・



なんとJRが不通になっている!!( ゚Д゚)



「新千歳⇔札幌間 全線不通」



一瞬目を疑いました。



昨日の情報では、

23日の午後にはJRが

復旧しているはずだったのです。



新千歳から札幌までは、

JRの「快速エアポート」で

移動するのが一般的です。



時間にすると39分、

距離でいえば約65㎞。



「どうやって移動しよう?」と思案しつつ、

よくよく先ほどの長蛇の列を見てみると、

なんと札幌へ向かうバスのチケットを

求めての列だったのです。



長さにして300mぐらいはあったでしょうか。


とりあえず、最後尾に並んだはいいけど、

全く動かない、動く様子もない!



列の後続にはどんどん人が増えてくる。



「これは、何ともならん!」



ふと左手に目をやると、



「タクシー乗り場」の案内が。



「そうだ、タクシーで行こう!」



しかし、ある意味賭けでした。



タクシーを見つけに行って、

もしそこでも長蛇の列だったり、

タクシーが無かったりしたら、

また最後尾に並びなおさなければなりません。



私の後ろに並んでいた女性(40代だと思います)と

その息子さん親子に声をかけさせてもらいました。



「大変申し訳ないですが、タクシーの様子を

見てきたいので、ここの順番、確保しておいて

頂けませんでしょうか?」



と。





「いいですよ」と笑顔で快く

引き受けていただけ、

タクシー乗り場の様子を見に外へ出ました。



タクシー乗り場は、思ったほど人はおらず、

また、札幌から来た人を降ろすタクシーが

そこそこ入ってきているところでした。



ちょうど私の目の前で

札幌からのビジネスマンを

降ろすタクシーがあり、

なんとか確保することができました。



荷物をトランクに入れ、

先ほど声を掛けさてもらった親子のところへ戻り、

「タクシーで札幌まで移動することにしました」

と告げ、

「もし、よかったら一緒に乗っていきます?」

と提案。



自分でいうのもなんですが、

本当に純粋に自然に出た言葉でした。



邪な気持ちは1㎜もありませんでした(キッパリ)。



本当はコロナのことも

考えなきゃいけないんでしょうけど、

一応3回目の接種を済ませているってことで。



タクシーに3人で乗り込み、

そこから札幌までの移動が始まりました。



高速は閉鎖、

雪で道路はガタガタ、

雪の影響で通常の運転は不可能、

道路は至るところで渋滞・・・



そんな状況で、新千歳空港を出発してから

約4時間半をかけての札幌着。



でも、同乗した親子との会話や

タクシーの運転手さんとの会話もありつつ、

また見慣れない大雪の景色を眺めつつ、

途中2度コンビニでトイレ休憩を入れつつ

あっという間の4時間半だった気もします。


↑ 札幌へ向かう道中でのワンショット





同情した親子は気さくで素敵な方で、

タクシー(MKタクシー)の運転手さんも

紳士的な方で気持ちのいい旅になったと

感謝しています。



ちなみに、同乗した息子さんは、

北海道大学の受験で札幌に来たとのこと。



親子が泊まるホテルの前で

「試験、健闘を祈ってますね」

ってことで、お別れをして、

無事、私のホテルに着きました。





バスを待っていたら

恐らく着いても12時ごろだったと思います。



通常40分で着くとこが、

10時間以上かかってはなかなか辛い。



翌朝、テレビニュースを見ていたら、

JRが午前3時にようやく復旧して

札幌に午前4時頃着いた人たちの

映像が流れていました。



改めてタクシーで移動できたことに

感謝していました。





話は変わりますが、数年前(2017年10月下旬)、

出張先でこんな経験があります。



岐阜県の高山市での仕事でした。



台風が近づいているということで、

仕事の前日に移動しました。



仕事は無事終えたのですが、

台風の影響でJR高山線が不通となっていました。



仕事が終わるころには復旧すると

思っていたのですが、

期待むなしく不通のまま・・・



高山の仕事を終えて、

富山に移動予定だったのですが、

富山に移動する電車が途中の猪谷駅までしか

動いていない状況となっていました。



名古屋に戻る電車も不通。



こうなったらとりあえず猪谷まで行こう、

ってことで猪谷駅まで電車で移動。



猪谷駅・・・

名前からもイメージ湧くと思いますが、

凄い山間部の周りに何もないひっそりした駅でした。

↑ そのときの猪谷駅





タクシーを呼ぶにも道が寸断されていて、

なかなか来られないとのこと。



猪谷駅から富山市まで約30㎞。

歩いていくか。

もしくは、タクシーが来るのをひたすら待つか、

と思案していると・・・



ひとりの男性の方(70代だと思う)が、



「どうした?」と声をかけてきたのです。



「いやぁ、富山まで行かなきゃいけないんですけど、

タクシーも拾えなくて・・・」



「だったら、途中までだけど乗ってく?」



「えぇ!?いいんですか!

めちゃくちゃありがたいです。

ぜひ、お願いします!」



と二つ返事で乗せてもらいました。



富山県に入ったすぐぐらいのとこの

市街地まで送っていただき、

そこからタクシーでホテルに着けたのです。



そんな経験があります。



世の中にはええ人がいるなぁと、



で、その時に思ったんです。



お名前もお伺いできませんでしたから、

直接このおじいさんに恩返しをすることは

できないけど、

『いつか自分もこんな感じで、

人の助けになりたいなぁ』と。



そのおじいさんへの恩返しが

北海道で返せた気がします。





人間心理には、

「返報性の法則」というのがあります。



自分のために何かをしてもらったら、

それに報いたくなるという心理。



例えば、旅行のお土産をもらったら、

今度自分が旅行に行ったときには、

お土産をその人に買っていきたくなる、



スーパーマーケットで試食させてもらったら、

その商品を買ってしまう、



等々・・・



マーケティングに関する有名な著書に

「影響力の武器」というのがあります。

(誠信書房 ロバート・B・チャルディーニ著)



この本によると、

「人間を人間たらしめているものは、

この返報性の法則による社会システムであり、

このシステムは人間文化だけにある特徴」

とのことです。



「人から受けた恩に報いるという

感情が人間にあるからこそ、

ある人間が食料とか、労力、世話といったものを

他の人間に与えても、それが決して無駄に

なってしまわないと確信できるようになった」

らしい・・・。





この「返報性の法則」は、

マーケティングに応用されることが多いです。



企業側としては、お客様に対して、

無料で情報やモノを提供する。



その情報やモノに対する返報を

期待しているわけです。



が、現代は様々な情報が行き交う時代です、

下心見え見えの情報提供や試供品提供は、

お客様に見透かされてしまうでしょう。



純粋な気持ちがそこには必要だと思うのです。



「お客様を喜ばせたい」という純粋な気持ち。



ビジネスですから、

「喜んでもらうだけでOK」とは、

なかなか行きにくいとは思います。



でも、そこができてこそビジネスの成功に

繋がるのではないでしょうか。



よくよく考えたら、

「タクシーに一緒に乗ります?」

と声を掛けたのは、

「列の順番を確保しておいてもらったこと」

への報恩の心理が働いていたのだと思います。



私の順番を確保することに女性の方は、

全く邪念はなかったはずです。



「確保しておいてやるから、

缶コーヒーの一つでも買って来いよ」

なんて絶対に思っていなかったでしょう。



もしそんな気持ちがみてとれたり、

いやいやなんで私が赤の他人の順番確保なんてこと

しなきゃいけないの、って顔されていたら、

「一緒に」とは、声を掛けていなかったでしょうから。



国際政治の世界にも

「返報性の法則」が機能してもらえると

いいのにと思うのです・・・



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