日本の亜熱帯化は、チャンスかピンチか?
今年6月に環境省が発表した内容によると、
地球温暖化の影響で、今世紀末には日本は「亜熱帯化」するとのこと。
平均気温は全国平均で4.4度上昇、
東京都では現在の約16.3度から4.2度上昇し、奄美大島並みになるらしい。
どこまでこの予測が当たるかどうかは、分からないですし、
また人間の知恵で、地球温暖化を防ぐことができるかもしれません。
が、一企業としては、このような外部環境の変化は、
織り込んでおく必要はあるでしょう。
あなたの会社にとって、この「日本の亜熱帯化」という
外部環境の変化は、チャンス(機会)になるでしょうか、
それともピンチ(脅威)になるでしょうか?
日本の亜熱帯化という外部環境の変化に限らず、
外部環境の変化を
「うちの会社にとってのチャンス(機会)!」
と捉えるか
「うちの会社にとっては向かい風、ピンチ(脅威)!」
と捉えるかは、何で判断すべきなのでしょうか?
ただ単に、
「この外部環境の変化は、うちの会社にとって業績にプラスになりそう、
だから機会」とか
「うちにとっては、この変化で業績が下がりそう、だから脅威」と、
単純に判断できるものではありません。
2014年7月7日にWBSで紹介されていた
綜合警備保障(ALSOK)の例で考えてみましょう。
日本でも地球温暖化の影響はさまざまな場所で出ていて、
群馬県にある神津牧場では、
ニホンジカが大量発生し、牧場の草を食い荒らす被害が出ているようです。
どういうメカニズムで大量発生しているかというと次の通り。
温暖化
↓
降雪量が減少
↓
ニホンジカの冬に死ぬ数が減少
↓
ニホンジカ大量発生
ちなみに、シカの数は、
この20年間で9倍、2011年度には約260万頭となっているとのことです。
その増えたシカが牧場に入って、牧草を食い荒らす被害が増えているのです。
神津牧場での被害は、年間2,000万円ほど。
売上2億円のうちの2,000万円ですからかなり厳しいですよね。
※神津牧場→http://www.kouzubokujyo.or.jp/
温暖化によって、このような問題が発生しているんですね。
この問題に対しALSOKは、
2015年度に有害鳥獣の捕獲事業へ参入を予定していて、
現在、捕獲ができるまでの体制を整備中とのことなのです。
ALSOKにとっては、「地球温暖化」は「機会」といえるでしょう。
地球温暖化という環境変化によって生じた問題に対して、
自社の警備ノウハウという強みを活かし、
顧客にとって喜んでもらえる対応(=価値の創造)が
できるわけですから。
外部環境変化の一つ一つの事象は、それだけを捉えれば、
「機会」でも「脅威」でもなく、単なる事象。
自分たちにとって、機会になるか、脅威になるかは、
その外部環境の変化に対応できる力
(技術力や開発力、マーケティング力や営業力など)が
競争相手よりも勝っているかどうか、
また競争相手よりもその力を使って先に対応できるかどうか、
ということにかかっているのです。
繰り返しになりますが、
ALSOKの場合、今まで培ってきた警備のノウハウによって、
温暖化が招く一つの問題を解決できる力が、
競争相手よりも勝っているからこそ、
「温暖化」という外部環境の変化は、
「機会」と捉えることができるわけです。
7月7日のWBSでは、フマキラーも紹介されていましたが、
フマキラーも、温暖化を「機会」と捉えている企業でいえます。
以下のロジックです。
温暖化すると熱帯に住む蚊が日本に入ってくる
↓
熱帯に住む蚊は、日本の蚊よりも生命力が強い
↓
日本で売られている蚊取り線香では熱帯の蚊は殺せない
↓
熱帯の蚊にも効く蚊取り線香を既に開発している
(商品化して海外で販売している)
熱帯の蚊にも効く薬剤を開発できる力が競争相手よりもあり、
先に対応しているからこそ「温暖化」は「機会」になりうるわけです。
もしもフマキラーが、日本の蚊だけを相手にしていて、
熱帯の蚊に効く薬剤を開発しておらず、
他の競争相手が先に熱帯の蚊に効く薬剤を開発していたら、
「温暖化」は「脅威」になっていたかもしれません。
環境の変化をすぐに「機会だ」、「脅威だ」と決めてしまうのではなく、
ぜひ、「自社の強みは何か?」、
「それをこの環境変化の対応にどうしたら活かせるか?」
と考えてみましょう。