マネをするなら他業種から
先日、とあるテレビ番組を見ていて
思ったこと・・・
「なるほどなぁ。
会社の戦略として、
他業種で普通にやっていることを
意識して真似てみる、
確かに有効だわな・・・。
うまくいっている会社は、
他業種を真似てるケース多いかも。
確かにトヨタだって、
あの生産方式は他業種を
参考にしたわけだし・・・」。
とある番組とは、
テレビ東京系で放映されている
経済番組の「カンブリア宮殿」。
4月6日の放送分では
日の丸自動車興業という
観光バス事業を運営する会社が
取り上げられていました。
新型コロナの影響で。
インバウンド需要がなくなり、
団体客も観光バスに乗らなくなり、
観光業は非常に大きな打撃を受けました。
日の丸自動車興業も売上が80%マイナス
となってしまう危機に直面したようです。
この危機を日の丸自動車興業は、
どう乗り越えたのか?
その原動力となったのが、
「東京ディズニーランド化戦略」
だったとのこと。
会長の 富田浩安氏曰く、
『東京の町をディズニーランドにする』。
この戦略のもと、
具体的にどのような取り組みを
行ったのかというと・・・
ディズニーランドと言えばパレード
ということで、
屋根のないバス(スカイバス)に乗って
東京オリンピックで活躍した選手を
凱旋させる、
ディズニーランドのスプラッシュマウンテンと
同じような乗り物を町の中で走らせられないか、
ということで、
水陸両用バス(スカイダック)を開発し、
陸路で横浜の町を観光した後、
水路で横浜港のなかを走るツアーを売り出す、
等々。
観光バスの会社が、
競合の観光バス会社で成功している事例を
真似るのではなく、他業種を参考にする。
これは、企業経営的には
非常に有効な手法だと思います。
かのトヨタ自動車のトヨタ生産方式も
もともと何を参考にしたかと言えば、
フォード生産方式ではなく、
GMの生産方式でもなく、
当時(1950年代)のアメリカの
スーパーマーケットですから。
トヨタ生産方式を体系化した大野耐一氏が、
アメリカへ行った友人から
アメリカのスーパーマーケットの話を
聞いていた時のことがヒントになりました。
野地秩嘉氏著の「トヨタ物語」(日経BP社)によれば、
大野耐一氏が、アメリカ帰りの友人から
スーパーマーケットの話を聞いて、
『アメリカ人は合理的だ。
客は冷蔵庫の大きさを考えて、
今晩食べるモノだけを買って、
持ち帰ればいい。
アメリカにはモノがある。
いつでもある。
だから、欲しくなったら取りに行けばいい。
店の方は持っていかれたら、
そこだけ補充すればいいんだ。
必要ななモノは必要なときにあればいいわけだ・・・
(中略)
「(豊田)喜一郎さんが言った
ジャスト・イン・タイムもこの方式なら
できるかもしらん。
・・・なるほど、そういうことか」』
とジャスト・イン・タイムを実現する
イメージが閃いたと記してあります。
他業種からヒントを得る、
同業他社の成功事例を取り入れるのではなく、
あえて他業種を真似てみる。
こう考えると、
私たちの周りには他業種の取り組み事例だらけで、
色々なヒントがいっぱいあるということですね。
コンビニエンス・ストアに入ったら、
いっぱいヒントがあるし、
ファスト・フード店に入っても、
居酒屋入っても、
美容院に行っても、
電車に乗っていても、
テレビ見てても、
ネットニュース読んでても、
きっとたくさんのヒントがあるはず。
ただ、一つ条件があると思うのです。
ヒントとするための。
何か?
それは、
常に「どうしたら〇〇を✕✕できるか?」
という課題を考え続けていること、です。
日の丸自動車興業も、
「他のバス会社と同じことやっていたら、
勝てない、どうしたら差別化し、
生き残っていけるのか?
どうしたら旅行会社の下請け的仕事ではなく、
自社オリジナルの企画の商品を
売り出していけるのか?」
を考えていたからこそ、
「そうか、東京の町全体を東京ディズニーランド
にするイメージでバスを走らせてみたらどうだろう」
という発想が湧いたのではないでしょうか?
トヨタの大野耐一氏も、
「どうしたら、ジャスト・イン・タイムを
実現することができるだろう?」
と考えていたからこそ、
フォード生産システムでは参考にならない、
ということで、
スーパーマーケットから閃きを得たのだと思います。
よく言われるアンテナの感度を上げる、
ということですね。