コラム - 経営者へのラブレター

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経営者へのラブレター

この三つを合はせしは大智の流なり

山内一豊。

ご存知の方も多いと思いますが、豊臣秀吉に仕え、掛川6万石から、

関ヶ原の戦いを経て、土佐24万石の大名までになった戦国武将。


私の知人の経営コンサルタントで、

この山内一豊を彷彿とさせる人がいます。



山内一豊とその妻千代が主人公の小説「功名が辻」に、

こんなくだりがあります。

「功名が辻」司馬遼太郎著


関ヶ原の戦いを控えた東軍の徳川家康が、軍議を開きます。

が、徳川方につくのか、西軍の石田三成方につくのか、

家康の東征にしたがった諸将の中でも、迷っている者が多くいました。


もし、石田方に諸将の多くが走れば、徳川方は当然不利になります。

その軍議で、山内一豊が、家康の前に進み出て、

「掛川の城を空にして、家康に明け渡す。自由に使ってほしい」

と申し出るのです。

それに呼応するように東海道筋の諸大名が、

我も我もと城を明け渡すことを申し出ます。

これによって諸将の大半が徳川方に味方する意思を固めるわけです。


また家康は難なく東海道筋の五つの城を手に入れ、

東海道を難なく通ることができるようになるのです。



が、問題は、山内一豊の「城を家康に明け渡す」といった発言です。


実は、この「城明け渡し」の案は、山内一豊が発案したのではなく、

一緒に軍議に向かった堀尾忠氏が、その道中で山内一豊に語った案でした。


「功名が辻」では、軍議からの帰り道、一豊が堀尾忠氏にこう語っています。


『緒川出発のときに貴殿の御宿陣に立ちよりお誘い申したのも、聞こえた知恵者ゆえ

なにかよきお智恵をいただえけぬものかと思ったからでありました。

きょうの発議も、貴殿のお口真似をそのまま口うつしにて申したまででござる。

元来それがしは、善いと思えばそのまま用いるのがくせでござって』。



江戸時代の大学者、新井白石は、このくだりを通して山内一豊をこう評しています。

『堀尾大いに笑ひしかば、山内も同じく笑ひて帰りしといふ。

これを古き人の評して、

我が及ばぬところをみづから知る事まず難し。

よき人見知る事、もつとも難し。

善き人の言を能(よ)く用ゐる事、次に難し。

この三つを合はせしは大智の流なり。

一豊は誠にただ人ならずと、いひしなり』


自分の足りないところを知ることは難しいが、

最も難しいのは、自分の足りないところを補ってくれる良い人を見つけること。

その次に難しいのは、その人のアドバイスを活用すること、

この3つができる人はただ人ではない、という意味でしょう。


「よいと思えばそのまま用いる」。

私の知人のコンサルタントも、どんどん人のアイデアを

取り入れて、自分のものにし、オリジナリティを高めている感じです。

それと何より、驕ったところがなく常に自分はまだまだという謙虚な態度でいます。

自分の及ばぬところを知っているんですね。


確かに「ただ人」ではないようです。


私も、今年は意識的に自分の足りないところを補ってくれる人を見つけて、

相互補完できる関係を作っていけるようにしたいと思います。


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