理解できない相手を前にしたときすべきこと
唐突ですが、
息子(高校1年)との会話がありません。
小学生のころまでは「パパ、パパ」と
あんなにかわいかったのに・・・。
今では、ほとんど話もしていません・・・。
まぁ、私自身が高校生の頃、
父親とどんな会話をしていたのか、
全然思い出せませんからね。
親と会話をしなくなる年頃
なのだろうとは思います。
そう頭では理解しています。
が、やっぱり寂しいわけです。
で、何とかしようということで、
先日家族で食事をしているときに、
こんな提案をしてみました。
「K(息子の名前のイニシャル)、
何か読みたい漫画あるか?
それ、買ってあげる。
ただ、パパにも読ませて」と。
狙いは、共通の話題を持つことで、
それをネタに会話ができるようになること。
読みたい漫画を買ってもらえるということで、
息子も乗り気になってくれ、
いろいろな漫画のタイトルを伝えてきました。
で、最終的に絞られたのが、
「HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)」
という漫画でした。
聞いたことも目にしたこともない漫画・・・。
ただ、息子が言うには
「めちゃくちゃおもろい」
とのこと。
では、ということで、数千円を出して、
全巻(中古ですが)アマゾンで購入。
早速読み始めたのです。
息子との会話が弾むことを夢見て・・・
しかし、しかしです。
私にとっては・・・
どこがどう面白いのか、
全然理解できない・・・(涙)。
全36巻あるうちの7巻までは
何とか読み進めました。
が、全然ときめかない、
次の展開も全く気にならない・・・
1対1の武闘戦で敵に手を切断されても、
試合後には、
「念の糸」とかいう訳の分からない糸で
筋肉も毛細血管までもあっという間に
縫い付けられて、元通りになってしまう。
さすがにそれはあかんやろ!
と、ツッコミを入れてしまうわけです。
さすがに55歳の男が
読む漫画ではない気がしてしまいまして・・・。
この漫画のどこがどうおもしろいのか、
理解に苦しむ状況なのです。
そういえば、以前、息子や娘(大学1年)が
「進撃の巨人」がおもしろいというので、
少しテレビで見てみたことがあったんです。
人間を食べてしまう巨人と人間との
闘いを描いた漫画です。
そのときも同じでした。
見てみたんです。
でも、見ながらついつい考えてしまうのです。
なんでこんな電気も通ってなさそうな村で
こんな精密な武器を作れるんだ?
鋳造技術はどうなってんの?
精密に切削できる工作機械があるわけ?
誰が作ってるの?
と。
そんなことばかりが気になって、
巨人を倒している主人公を見ても、
全然カッコいいとも思えず、
数回見ただけで結局、子ども達と
同じ話題を持つこともできなかったという
苦い経験でした。
と、長々と書いてきたのですが、
ここから何をお伝えしたいのかというと・・・
こうした自分では理解できない相手を
前にしたときにやってはいけないことと
やるべきことがあるとしたら、
どういうことなのか、
ということです。
特に経営者や管理者・リーダーの方は
気を付けなければなりません。
例えば、経営者・事業主であれば、
お客様の感性が理解できない、
なぜこんな要望をされるのか理解できない、
世の中の価値観が理解できない、
世の中でなぜこんなものが
流行っているのか理解できない、
管理者・リーダーで言えば、
部下の感性・考えが理解できない、
言動が理解できない、
ということ、あると思うのです。
私の場合でいえば、
なんでこんな漫画が面白いのか、
息子の感性が理解できない・・・
ちなみに、「HUNTER×HUNTER」は、
Wikipediaによると、
1998年(平成10年)から「週刊少年ジャンプ」で
連載開始され、2019年時点で、
単行本も36巻まで発刊され、
累計発行部数はなんと7,800万部以上
を売り上げているようです。
かなり人気の漫画であることは間違いありません。
なぜこんな漫画が流行っているのか、
理解できない・・・
こうしたときに、
無理に理解もできないですし、
無理に好きになることもできません。
一番やってはいけないのは、
「なんで世の中でこんなものが
流行っているのか私には理解できない」
と切り捨ててしまうこと。
少し前でいえば、
「なんでタピオカなんてのが
流行っているのか理解できない」
と切り捨ててしまってはよくない。
昨今でいえば、
「なんで世の中こんなに
コロナを気にしているのか分からない。
車の中でもマスクしている人いるし。
一人で運転していて、
車の中でマスクする必要ないのに。
私には理解できない」
と言ってしまってもよくないと思うのです。
自分も同じ価値観になれということではありません。
経営者であれば、自分が理解できないからと言って、
他人や世間を揶揄してしまうのではなく、
ただただ、「世の中ではそういう人もいる」
という事実を理解する必要はあると思うのです。
そして、その次に考えなければならないのは、
「なぜ、相手はこのような感性・考えなのか?」
「なぜ、世の中でこのようなことが流行っているのか?」
「なぜ、このような考え方をする人がいるのか?」
と、その背景・理由を考えることだろうと思います。
私と息子のケースでいえば、
「HUNTER×HUNTER」の面白さを
理解する必要はないと思います。
しかし、息子がこういう「HUNTER×HUNTER」を
好きであることは理解しなければいけない。
「なんでこんなもんが面白いんだ、全く情けない」
とかって言ってしまってはおしまいです。
そして「なぜ、息子を含め多くの人たちが、
この漫画が好きなのか?
どこに魅力を感じているのか?」を
考えるべきだろうとは思います。
特に経営者は、
「私ならこうする、私ならこうしない。
だからこうする」的な
自分の価値観だけで判断してはいけません。
くどいようですが、その違った価値観を
理解しろ、受け入れろというのではありません。
経営者は、自分の好き嫌いで判断するのではなく、
お客様各々の価値観が存在することを
理解する必要があります。
もちろん、経営者に限らずあらゆるビジネスマンは、
お客様や他者の価値観の存在を
理解する必要があるでしょう。
なぜならビジネスというのは、
お客様の気持ちを分かることが何より大事ですし、
環境の変化に対応してこそ勝ち残れるのですから。
追伸①:
交通事故を起こして、ひき逃げしたことを
受け入れたり、理解する必要はありません。
でも、そういうことをしてしまう人が
世の中に入るんだ、ということを理解すると、
ひょっとするとそこから、何かビジネスの
ヒントが出てくるかもしれないってことですね。
追伸②:
ちなみに、私が好きな漫画は、
「男一匹ガキ大将」、「俺の空」、「大と大」、
「天地を喰らう」、「赤龍王」、「硬派銀次郎」、
「サラリーマン金太郎」、「男樹」、
「愛と誠」、「野球狂の詩」
って感じです。
うちの子ども達にはこの面白さ、
全く理解できないだろうなぁ~。