コラム - 人材育成のルール

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人材育成のルール

トヨタの強さの理由がわかりました

この時期、多くの企業での
決算発表が行われています。

国内自動車メーカー3社で言う
以下のような数値が発表されています。

トヨタ自動車
売上高 48兆367億円
営業4利益兆7,955億円、
純利益4兆7,650億円

日産自動車
売上高:12兆6,332億円
営業6利益98億円
純損失▲6,709億円(損失)

本田技研工業
売上収益:21兆6,887億円
営業利益 1兆2,134億円
純利益8,358億円

やっぱりトヨタは強い・・・。


トヨタの営業利益は、
2024年3月期が5兆3,529億円でしたので
覚悟しますが、
それにしてもすごい数字ですよね。

同じ自動車メーカーとして
どうしてもこんなに差が開くのか・・・。

現在の経営陣がどう判断してきたのか、
その積み重ねの結果が
大きな貢献だと思います。


例、14年前の2011年6月、
日産自動車は、当時のゴーン社長のもと、
6年の経営計画「パワー88」をまとめました。

ブラジルやアメリカ、中国市場を攻略し、
世界シェアの8%を目指す拡大路線。

ひとつそのころ(2014年)のトヨタは、
どうだったというと、
今回の豊田章男社長が打ち出したのが、
「今期は意志を持った踊り場だ」
という日産とは真逆の戦略。

新規の工場建設など生産能力の目安は
凍結すると宣言し、
その結果、リーマン・ショック時との比較、
2020年には、利益分岐点を6〜7割まで
下げるということです。
(参照:日本経済新聞電子版2025年5月15日の)

『日産とトヨタ、明暗分けた10年前の「ストップorゴー」』)


と、経営戦略面での差の結果は
大きいと思いますが、
今回は、経営戦略的な話ではなく、
簡単泥臭い話。


昨日(4月30日)、とある企業さんで
新入社員向けの研修をさせていただきました。

業種は、情報・通信業。
システム開発、システム運用などの
情報サービス事業を展開している企業さんです。

その新入社員向けの研修を通して、
トヨタ自動車がなぜ強いのか、
その理由が少し分かりました気がしたのです。
新入社員研修のつもりで、
ビジネスマナーとか報連相の仕方とか
というテーマではありません。

内容は「問題解決手法」。

ぜひ、トヨタ自動車が取り組んでいます
「8ステップによる問題解決手法」。

さて、この内容を新入社員に
学ばせたいかというと・・・

この企業さんがトヨタ自動車と取引があり、
かつトヨタ自動車に自社の社員を
エンジニアとして派遣しているからなのです。

会社の想いとしてはこうです。

『エンジニアの新入社員がトヨタ自動車に
派遣された際に、トヨタの社員が使っている
問題解決の手法が理解できないとか、
トヨタの社員が使っている言葉が分からない、
となったら辛い思いをさせてしまう。

では、新入社員もかわいそうだし、
会社としても信頼を損なうことはありません。
派遣する前にトヨタの共通の用語だけでも
ご理解させて頂きたい』。

まあ、学んだ問題解決手法を使いこなして、
業務効率を上げてほしい
とまでは考えていません。

「新入社員に問題手法解決を学ばせたい」という
お話をいただいた際には、
依頼を受けた企業さんに対して、
仕事をしたことのない新入社員では
イメージが湧かなさ過ぎて、
あまり効果がないのではないかと
お話をさせて頂きました。

が、まさに杞憂でした。

研修の途中で、内容を振り返りつつ、
講師の私の方から受講者に
質問させていただきますが、
正しく答えられました。


宇井:今までの内容をちょっと振り返るために
 皆さんに質問しますね。
 そもそも“問題とは”なんでしたっけ?
 Aさんいかがですか?」

受講者Aさん:
 問題とは、現状とあるべき姿のギャップです。

宇井:おぉ!素晴らしい!完璧です。
 では、次の問い。
 チームで問題解決を進める際は、
 問題を明確にする必要があるとお伝えしました。
 “問題を明確にするとは”
 どういうことでしたっけ?
 今度は、Bさんいかがですか?」

受講者B:現状とあるべき姿を事実である数値で表し、
 ギャップも数値で表すということです。

宇井:おぉ!これまた素晴らしい!
 完璧じゃないですかぁ!

という感じで、私が講義中に伝えたことを
しっかりと答えてくれたのです。

会社としての「用語」を理解させたい
という想いにしっかりと応えてくれていました。


これが、実は、係長さんや課長さんを
対象にした問題解決研修で
同じように投げかけたとしても・・・

講義内で伝えたことを答えられるかといえば、
実は、そうじゃなかったりするケースが多いのです!


これは勝手な私の解釈ですが、
係長さん、課長さん、部長さんレベルになると、
どうしても自己流の仕事の進め方、
問題解決の進め方があるわけです。

その自己流があるばかりに
「問題とは」、
「問題を明確にするとはどういうことか」、
「目的と手段を共有して、問題を定義するとは」、
「現状把握と要因解析の違いは」と
いう仕事においてものすごく大事なことが
素直に頭に入ってこないんじゃないかと。

それに比べ新入社員は
仕事の進め方とか問題解決の仕方に関しては、
まっさらな状態なわけです。

だからこそ、素直に頭に入れていただけるのかなと
感じたわけです。


で、トヨタ自動車では、
この8ステップによる問題解決の考え方・手法を
徹底的に新入社員のころから叩き込まれるわけです。

その結果どうなるか?

社員全員が、会社として共通の
仕事の進め方・考え方を身につけるわけです。
仕事の進め方が自己流になる前に・・・。

みんなが同じ仕事の仕方ができるようになる。

これは仕事の効率の面で非常に大きな差が
生まれると思うのです。

例えば、
会議の場だとか、上司が部下に指示を出す場で
「問題を明確にしよう」といえば、
ちゃんと通じるわけですから。

「現状をちゃんとデータで把握しよう」
といえば通じるのです。

共通言語になっていなくて、
「えっ、問題を明確にするって、
どういうことですか?」

とか

「現状把握ってこういうことじゃないんですか?
じゃあ、現状把握って何をすることですか?」

なんていうムダはないわけです。


また、この問題解決手法が
ものすごくロジカルで納得感があるものなのです。


例えば、上司が部下に向かって、
「これは手段であって目的ではない」
といっても、問題解決手法が共有されていれば、
部下も「あぁ、確かに!」となるわけです。

「えっ、どういうことですか?」とはなりません。


ちなみに、私自身も
このトヨタの問題解決手法を学んでから、
仕事をすごく進めやすくなっています。

まとめると・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


トヨタでは、仕事の進め方として
「問題解決の8ステップ」を
まっさらの状態の新入社員のときから叩き込む。

その結果、社内で共通の仕事の進め方、
共通言語によって仕事を進められるようになる。

仕事にムダがなくなり生産性を上げられる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


もし、トヨタの問題解決手法を社員さんに学んでもらい、
仕事の効率を上げて、仕事の成果を高めていきたい
という経営者の方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、以下のお問い合わせフォームからご一報ください。

お問い合わせフォーム


一応、認定講師なんで、
トヨタの問題解決手法を
お伝えできる立場ではあります。


ただ、忘れないでください。
大事なのは、共通思考・共通言語にすること。


ですから、一部の社員さんだけに
問題解決手法を学ばせて、他は学ばせない
ということがあれば、
効果は思ったほどには出ないと思います。


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