コラム - 人材育成のルール

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人材育成のルール

部下が存在する長所を知る方法

前回「部下の長所をどう解釈するか・・・」
では、以下の内容をお伝えしました。


『人間関係の良さと企業業績には
プラスの相関がある。


であれば、社内の人間関係は良い方がいい。


では、どうすれば良い人間関係を作れるのか?


人は、自分が長所と自覚していることを
ポジティブに捉えて伝えてくれる人に対して、
悪い感情は湧かない。


なので、特に上司と部下の関係性でいうと、
部下が自分の長所と自覚しているところを見つけ、
それを上司がポジティブに
フィードバックしてあげるとよい』


こんな内容でした。


で、次に課題になるのは、
「どうしたら部下本人が自覚している
部下自身の長所を、
上司が把握することができるか」

なわけです。


くどいですが、あくまでも部下本人が
自分の長所として自覚していることです。


上司が勝手にこの部下、ここが長所だ、
と思うということではありません。


手っ取り早く
「〇〇さんは、自分の長所を
どんなことだと思ってる?」
と聞くのもありでしょう。


しかし、それだと部下からしたら、
「自分が上司に長所を伝えた途端、
急にその長所について褒め始めた」
となってしまう恐れがあります。


それでは、人間関係を良くするという
効果が薄らいでしまいますよね、きっと。



今回のブログでは、直接聞くのではなく、
「部下の長所を把握する方法」を
弊社のクライアント先さん2社の事例で
お伝えしたいと思います。


弊社のクライアント先企業さんで、
目標管理制度・人事考課制度における
「上司(課長)の部下に対する面談の進め方標準」
の作成をお手伝いさせていただいた先があります。


その「面談実施標準」の中の一つに、
上司が部下と評価面談を行う際には、
以下の質問を投げかけることを標準として
盛り込んであります。



「私(上司)からのプラスの評価以外で、
○○さん(部下)が自分として、この半年間で、
『もっとこんなことを評価してほしい』と
思うことがあるとしたら何かあるかな?」



実はかなりの手前味噌になりますが、
この質問を入れられたことは、
コンサルタントの立場として、
自画自賛しております。


なぜなら、この質問をして返ってきた答えの中に、
部下自身が「自分の長所」と自覚している部分が
見えてくる可能性が高いからです。

 

例えば、上記の質問に対して、
以下のような答えが部下から
返ってきたとしましょう。


「細かい話ですが、〇月の会議で、
話が複雑になって混迷したことがありました。
その際に、私がホワイトボードに
業務プロセスの全体像を描き、
どこの手順をまず解決すべきかを目で見て、
議論できるようにしたんです。


それがきっかけになって、
ちゃんと結論を出せたことがありました。
そんなことを評価してもらえると嬉しかったりします」


もし、こんな回答があれば、
きっとその部下は論理的に物事を考えること、
優先順位を付けて仕事に取り組むこと、
問題解決力が高いこと等を
自分の長所(強み)と自覚していると思われます。


また、以下のような回答であれば・・・


「先輩のAさんが残業が続いて大変なときに
私の方でお手伝いさせていただきました」


この部下は、
人への支援をいとわないことが
自分の長所(強み)と捉えている可能性があります。


「後輩が悩んでいるときに、
それなりに話を聞いてやって、
飲みにも連れて行ってやったり、
それで少しは気を楽にしてやれたかなぁと
思っているんですが」


であれば、後輩への面倒見の良さや
リーダーシップの高さを長所(強み)と
自覚している可能性は高いでしょう。


部下からの具体的な回答を抽象化して、
部下の長所として認識する。


これがポイントです。

 
こうして、まずは上司として、
部下が本人の長所と捉えていることを把握する。

 
そのうえで、その長所と捉えていることを
ちゃんとポジティブに解釈して、
フィードバックすることを意識する。

 
これによって上司と部下との
いい人間関係が作れていくと思います。


ただ、実際に課長から部下に、
「他に評価してもらいたいことは?」と
投げかけては頂きましたが、
部下の反応としては、
はっきりと「ここを評価してほしい」と言ってくる人は
いなかったようです。


でも、その課長さん曰く、
「この質問を投げかけ続ければ、
いずれはちゃんと自分が評価してほしいことを
準備して面談に臨んでくれるようになると思う」
とのことでした。


もう1社の事例をお伝えします。


そこの会社さんでは、
上司と部下との査定面談の前段階で、
部下自身が記入する「自己申告シート」という
制度があります。


実際にどのような内容が書かれるかというと・・・


例えば、
『客先の現場で、自分は営業ではなくメンテサービスを
行う身ではあるが、お客さまと世間話をしながら、
「何か困っていることありませんか?」と
営業的なことを行って、実際に見積依頼を
もらったことがある』


とか


『Excelのフォームを変更し、
自分なりに計算式を考えて、
それを追加しておいたおかげで、
事前にトラブルを防げたことがある」


とか・・・


これらも、抽象化すれば、
部下本人が自分の長所(強み)と
捉えていることが見えてきます。


一つ目の事例であれば、
「コミュニケーション力の高さ」
「お客さまとの人間関係構築力の高さ」
なんかを自分の長所(強み)と
捉えている可能性はあるでしょう。


2つ目の事例でいえば、
「自発的に行動できること」
「Excel能力の高さ」
を自分の長所と捉えていると思われます。


こんな感じで、部下本人が認めてもらいたいことを
自己申告シートや面談の場での質問を通して
上司が知れるような仕組みがあるといいです。


伝えられた上司は、その具体的な行動の内容から
その行動を促している能力や考え方に
抽象化して部下の長所を把握しておく。


で、その把握した部下の強みを
ポジティブに解釈してあげる。


これにより部下との人間関係を
より効率的かつ効果的に良くしていけます。


いかがでしょう?


追伸:
事例の1つ目で
ご紹介させていただきました企業さんでは、
上司が部下と面談をするにあたっての
面談実施標準を策定しました。
(今年2月に完成)


面談の準備段階で何をどうしておくといいのか、
準備しておくべき情報はなにか
面談では、どんな質問を、どのようにしたらいいのか、


また面談の場だけではなく、
日頃のコミュニケーションをどのようにしたらいいか、
また、事実で部下を評価しフィードバックするためには
日頃どのようにする必要があるか、等、
一年間の時系列で
いつ、何を、どうしたらいいかを
標準としてまとめました。


プロジェクト的に課長さん方々に参加いただきながら、
かなり実態に沿った形で作り上げられたのではないかと
自負しております。


今後は、この標準に基づき教育をし、
標準に基づいた行動がとれているか
モニタリングしていく段階に移っていきます。


もし、上司と部下の「面談実施標準」の作成に
興味のある方は、ぜひ、お問い合わせフォームから
ご一報いただければと存じます。


実際に作成した面談実施標準はお見せできませんが、
どのように作成したかをお伝えし、
ニーズをお伺いさせていただきます。


「問い合わせフォーム」


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