コラム - 組織のルール

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組織のルール

人と組織を変える問いかけ

5月14日から5日間、
日本経済新聞にこんな記事が載っていました。


東京都板橋区にある都立大山高校。

学力レベルは偏差値40のいわゆる"底辺校"。

茶髪、ピアス、濃い化粧は当たり前、

授業が始まってもスマホを見て大声で笑ったり、
音楽に合わせて踊りだす生徒も・・・


そんな大山高校から、この3年、
上智など有名私大に加え、
国公立大への合格者が相次いでいる。


記事には、その変化の軌跡が
ドキュメンタリー風に書かれていました。


何が大山高校を変えたのか?

その記事によると数年前から始めた

「生徒同士の対話」

とのことでした。

どのような対話かというと・・・

生徒が10人から20人ほど、輪になって座り、
自分たちで話し合うテーマを決め、
そのテーマについて意見を伝え合う、
というシンプルなものです。


ただ、対話にはルールがあります。

「この場では何を言っても自由」。

「ただし、誰かの言うことに対して、
否定的な態度をとってはいけない」。

「『変なこと言うな』と非難したり、
からかったりするのもダメ」。


ちなみに、過去にあったテーマとしては、

「校則は必要なのか」
「なぜ勉強をしなければならないのか」
「LoveとLikeの違いはなにか」
「人を好きになるとはどういうことか」

等、高校生らしいテーマがあったそうです。


生徒同士で対話を始めたぐらいで、
そんな劇的に変わるものかと思いながらも、

こうした周りからいい評価を受けてこなかった生徒、
周りから認められてこなかった生徒だからこそ、
こうした対話の効果が大きいのかなとも思います。


お互いの意見を否定しない対話で学校が変わった、
生徒の能力が上がった、というわけです。

しかし、否定し合わない対話が、
学校と生徒に変化をもたらした本質ではない
と思うのです。


企業組織においても、
部下の話を上司は否定せずに、傾聴しましょう、
とはよく言われます。

私もよく言っています。

が、部下の能力を上げる、組織の力を引き出すのは、
そこが本質ではありません。


大事なのは、部下が話した内容に関して、
問いかけ、考えさせること。

部下の話を否定せず、聞くだけでは足りない。

聴いて、問うて、考えさせる、これが大事。


その中でも、最も重要な問いは、
次の問いかけだと思っています。


「なぜ、そう考えるの?」


この問いによって徹底的に考えさせる。


大山高校でも、意見を言うと、

「なぜ、そう思うのか」、
「根拠を具体的に言って」

と求められるそうです。

記事によると、

『そうすることで、いや応なく、
物事を筋道たてて話すことになる。
訓練を繰り返すうちに、
いつも「なぜ?」を考えるようになった』

とのことです。


私が、数年前から関わらせていただいている
静岡の企業でも、今年度、若手社員(3~5年目)による
対話を進めている企業があります。


目的は、組織の活性化とか、
若手社員のつながり強化とか、
そういった類のものではありません。


若手社員が

「自分の考えを持って仕事に
取り組めるようになること」

更に、

「周りから反対されようが、
否定されようが、批判されようが、
その自分の考えを主張し、
周りを動かせるだけの強さを持つこと」

が目的です。


ですから、大山高校と違って、
人の意見を否定せずに聞く、
というルールはありません。


むしろ、批判的に人の意見を聞こう、
というルール。


例えば、

「うちの会社の社員は、こうあるべきだと思う。
なぜなら・・・」

と誰かが発言したら、

他の人は、

「それは、お客様の視点でいえばOKかもしれないけど、
利益のことを考えたら、どうなのかな?」とか、

「個人のレベルならいいけど、チームで仕事をして、
成果を出すことにはなってないよね」

等々、批判的な意見を伝える。


そうした批判的な意見にもめげず、
主張できるだけの論拠を持って自分の考えを
展開しよう、というわけです。

なかなかタフです。

私も対話の場面で、若手社員にぶつけます。

「○○という考えのようだけど、
 他の会社の事例で言ったら、その逆の考えで、
 こんな風にうまくいているところもあるよ。
 その点はどう思う?」と。



そして、そんな批判的な見解を
伝え合おうとすると自然に出てくるのが、

「なぜ、そう思うの?」

という質問だったりします。


私から社員さんに、

「他の人の意見を聞いたら、
『なぜ、そう思うのか』って聞いてくださいね」、

なんてわざわざ言わなくても自然に出てきます。


こうして自分の考えを発信し、
周りからの批判にさらされることで、
自分の考えの足りない部分が見えてくる。

そして、常にその足りない部分を
埋めるために、「なぜ?」と
自問自答するようになる。

そして、論理的に物事を考え、
論理的に主張できるようになる。



「なぜ、そう考えるの?」

この問いが社内で頻繁に飛び交うように
してもらえるといいと思います。

ちなみに静岡の会社、
これから半年間、自分の考えを周りに伝え、
その主張した考えとその考えに対する周りの反応を
エクセルフォームにログとして残すことを課しています。


半年後、どんな変化が起こっているか、
非常に楽しみです。

大山高校のように劇的に変わったりして(^_^;)


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