集団こそが最大の強み
別に、組織にチームワークなんかなくなっていいじゃないか?
組織の中でスーパーマン的な人材がいて、
その人がどんどんおもしろい企画をして、開発すれば、
組織は生きていけるのではないか?
むしろ、そういうスーパーマン的な存在の人にとっては、
組織のしがらみとかって邪魔になるんじゃない?
日亜科学で青色発光ダイオードを開発した
中村修二氏だって、そうだったはずだ。
こんなことを考えている人がいるかもしれません。
確かに、組織の中で異端児的な人こそがおもしろい発想をしたり、
会社を救うような発明をしたりする事例は多く存在します。
組織の中では異端児たれ、社会の異端児たれ!
という言葉もよく耳にします。
短期的な成果を出すには、それでもいいかもしれません。
が、やっぱり組織として、コンスタントに成果を出し続けるには、
チームワークが大切だと考えています。
1月29日にNHKスペシャルで放映された
「ヒューマン~なぜ人間になれたのか(第2集)」は、
そのあたりのことについて、ひとつの答えを与えてくるものでした。
20万年前、アフリカで生まれた人類(ホモサピエンス)は、
6万年前にアフリカを離れ世界へ広がり始めます。
グレートジャーニーと呼ばれるものです。
4万2千年前には、ヨーロッパへと進出。
そのヨーロッパでホモサピエンスの前に立ちはだかったのが、
強力なライバルのネアンデルタール人。
ネアンデルタール人は、ホモサピエンスと違い、
寒さにも強く、とにかく力が強かったようです。
もし、現代にネアンデルタール人が生きていれば、
ほぼ間違いなくオリンピックのどの種目でも
金メダルが取れるだろうとのこと。
(どんだけすごいんだっての!)
ネアンデルタール人 VS ホモサピエンス!
もちろん勝ち残ったのは、我々ホモサピエンスだったわけですが、
なぜ、こんな、寒さにも強く、屈強な
すご過ぎるネアンデルタール人に勝てたのか?
ロンドン自然史博物館 クリストファー・ストリンガー博士は語ります。
以下、博士の言葉。
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「集団のネットワークの大きさこそホモサピエンス最大の強みでした」。
ネアンデルタール人は、それぞれの場所で孤立していて、
他の集団との交流はほとんどなかった。
寒さにも強く、力が強いがゆえに、ネットワークも組まなかったし、
変化しなかった。
それに対して、ホモサピエンスは、
大きな集団のネットワークを持っていた。
ネットワークが大きくなれば問題に取り組む人の数が増え、
新しいアイデアが次々に出やすくなる。
新たな技術を手にして、様々な道具を創り出していく。
ネアンデルタール人も、
もともとは同じ石器を作り技術に差はなかった。
ネットワークの力が発揮されるのが氷期のような
気候変動に見舞われた場合。
さぁどうしようかとみんなで頭をひねっていても
そうそういいアイデアは出ません。
それよりも大勢のアイデアを片っ端から試してみればよいのです。
たまたまうまくいく方法があればみんなでそれを真似る。
つまりは数が勝負だったのです。
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なんか、現代の中小企業経営に置き換えても、
すごく示唆に飛んでいる話だと思いませんか?
大企業に比べて力がないからこそ、ネットワークの力を最大限に
引き出していく必要があるのです。
社内のネットワークも、社外のネットワークもです。
弱い存在といって、嘆いていても始まりません。
それよりも大勢でアイデアを出し合って、
そのアイデアを片っ端から試してみる。
そんな発想でがんばっていきましょうよ!
だって、我々の祖先はそれで生き延びてきたんですから。