優先順位は時代に合わせる
9月19日(土)から23日(水)まで
今年のシルバーウィークは
5連休だったという方も多いかと思います。
世間的にはすっかりお休みモードでした。
が、私は、20日にアジア競技大会のサッカー、
日本対キルギス戦を豊田スタジアムに
観にいったぐらい。
21日の敬老の日も、22日の国民の休日も、
23日の秋分の日も
クライアント企業さんに伺って
仕事をしておりました。
私のクライアント企業さん、
祝日に出勤日というところが多いのです。
私としては、こうした祝日に
仕事が入るのは非常にありがたいのですが、
なぜ、クライアント企業さんは
シルバーウィークにもかかわらず、
出勤日になっているのか・・・
愛知県に住む方なら、
ほぼお分かりになると思いますが、
トヨタ自動車関連の仕事を
している企業さんだからです。
いわゆる「トヨタカレンダー」というやつですね。
トヨタは祝日関係なく、
基本的に月曜日から金曜日まで働いて、
土曜日、日曜日は休む、
という5勤2休になっています。
その分、GWや夏休み、年末年始などに
まとまった休みを設けているのです。
なぜトヨタは祝日を休みにせず、
「月~金の5日間はきっちり工場を動かし、
土日の2日間は止める」
という5勤2休のリズムを
崩さないのでしょう。
週5日の稼働日数を一定にすることで、
①生産台数を平準化できる
②生産計画が立てやすくなる
③設備の起動・停止に伴う作業を減らせる
④休日をまとめて大型連休にすることで、
集中工事や設備の切り替え作業を
その期間内に行うことができる
等のメリットがあるからです。
なるほど、合理的です。
ところが、です。
日経新聞7月11日及び9月18日の記事によると、
ここにきて、トヨタがこの「トヨタカレンダー」の
見直しに着手するらしいのです。
約半世紀ぶりの大幅な見直しとのこと。
私、この記事を見たとき、
ちょっと驚き、というか、
「トヨタが祝日を休みに?!ほんとに!?」
と衝撃を受けたほどです。
記事には、以下のように書かれていました。
(記事抜粋)
「トヨタ自動車の労働組合は
勤務日の見直しの検討に入った。
これまで稼働していた祝日を休みにする。
共働きや子育て世帯の工場従業員が
働きやすい環境をつくる」
「若手を中心に土日や祝日は
カレンダー通りに休みたいという
思いが強まっている」
(以上)
背景には、働き方の変化があるようです。
新聞記事によれば、
現在は共働きする世帯が増え、
従業員から、
「家族と一緒に過ごそうと思っても
自動車業界はカレンダーが違う」
と改善を求める声も出ていたとのことです。
また、採用にも影響が出ていたようです。
「祝日が休みじゃない会社には入りたくない」
という人も増えているのでしょう。
トヨタ自動車のようなブランド力があれば、
まだ採用に大きな影響は出ないかもしれません。
が、トヨタカレンダーに沿って稼働している
サプライヤー企業さんの中には、
採用面で影響を受けている企業も
あるのではないでしょうか。
それを考えれば、
サプライチェーン全体のことも含めて、
まずはトヨタが変わることに
大きな意味があるのでしょう。
ちょっとだけ話は変わるようですが、
私が製造業に就職をして、
最初に配属されたのが、
「豊田営業部豊田営業所」でした。
会社自体はトヨタカレンダーに
沿っていたわけではなかったのですが、
「豊田営業部」だけは
祝日出勤のカレンダーだったのです。
これが最初は嫌で嫌で・・・
同期の仲間と祝日の前日に飲むのも
気分的に違うし、
祝日に遊びにも行けないし・・・
「世の中が休んでいるのに、
なんで働かなきゃいけないんだよ~」
と思っていたのを覚えています。
が、これが不思議なもので、
慣れてくると、
祝日に仕事するのもいいなぁと
思えるようになってくるもんなんですよね。
通勤の道路は混んでないし、
それほどせわしなく仕事を
しなくてもいいし・・・
話を戻しましょう。
今回、トヨタが祝日出勤を見直すのは、
「これまでのやり方が間違っていた」
ということではありません。
トヨタカレンダーには、
生産設備を効率よく動かし、
生産を安定させるという
明確な合理性があります。
だからこそ、
長年、この仕組みが続いてきたわけです。
そして今も、
その合理性やメリットが
なくなったわけではありません。
でも、時代が変わった。
働く社員の生活、
家族との時間、
共働きや子育て、
さらには、
採用で選ばれること、
他業種との連携・・・
こうしたことを今まで考えていなかった
わけではないと思います。
が、時代の変化とともに、
生産設備をいかに効率よく動かすか、
という合理性よりも、
優先すべきことが出てきたと
いうことなのです。
企業経営において、
何が大事かといえば、
“優先順位をつけること”。
生産性も大事、
社員の働き方も大事、
採用競争力も大事、
他業種との連携も大事、
全部、大事。
でも、全部を同じように
優先することはできません。
だからこそ、
「今、何をより優先するのか」
を決める必要がある。
そして、その優先順位は、
時代や環境に合わせて
変えていかなければならない。
一度決めた優先順位を
ずっと守り続けるのではなく、
環境の変化を見ながら、
「今、何を優先すべきなのか」
を考え、優先順位を変えていく。
その優先順位を決めることが
リーダーの大きな役割だと思うのです。
時代が変われば、
何を優先すべきかも変わる。
その変化を見誤らず、
優先順位を変えていくことも、
リーダーに求められる大切な責任なのでしょう。
トヨタカレンダーの見直しの記事を読んで、
そんなことを考えさせられました。

