自社の定義を変える~コロナ危機を乗り越えるために
今週火曜日5月5日、テレビ東京系の
経済番組「WBS」でコロナショックに
立ち向かう企業の事例が紹介されていました。
大阪市港区にある「HOTEL SHE, OSAKA」。
宿泊業は、新型コロナの影響で、
非常に苦境に立たされています。
そんな中で、「HOTEL SHE, OSAKA」が
新しく打ち出したのが、
「HOTEL SHELTER(ホテルシェルダー)」
というサービス。
この取り組み内容を聞いたとき、
「なるほどなぁ」と
深く感銘を受けました。
どのようなサービスかというと・・・
対象となるお客様は、
「家庭内の事情で自宅で過ごしづらい人や
医療従事者」。
その人たちに、一定期間「避難する場」として
ホテルを使ってもらう、というものです。
まさにホテルシェルターなわけです。
テレワークを余儀なくされている人で、
自宅にいづらい人、
結構いるんじゃないでしょうか?
家族だからこその一定の距離間って、
必要だったりすると思いますしね。
って、これはうちだけかな?
まぁ、実際に聞いたわけではありませんが、
テレビなんかでは、コロナによるストレスや
テレワークによるストレスで、
DVが増えているって言われていますしね。
そんな人たちがホテルで
過ごせるようになるわけです。
金額は、7泊以上滞在で1泊3,000円。
HOTEL SHELTER
↓
https://www.hotel-shelter.net/
で、大事なのは、
どのようにして、このサービスが
生まれたのかということです。
『なるほどなぁ、面白いこと考えるなぁ』
と思っているだけじゃダメ。
「なぜ、こうしたことを思いついたのか?」
「どうしたら、自社でも発想できるのか?」
を考える。
そうすれば、自社でも、
コロナを乗り越えるための
新たな商品・サービスを生み出せるはずです。
今回の事例でいえば、
「自社の定義」を変えたから
こその発想だと思います。
「自社の定義」とは、
「自分たちの会社は何をする会社か?」
ということ。
HOTEL SHE, OSAKAで言えば、こうです。
「自分たちは、観光業で、観光のお客様に
宿泊場を提供する会社です」
という定義だったものを変えたわけです。
どう変えたか?
「自分たちは、観光業ではない、
お客様ひとり一人のために、
その人に合った“空間”を提供する会社です」
と再定義したのです。
マーケティングにおける有名な話で、
アメリカの鉄道会社はなぜ衰退したのか、
というのがあります。
昔、鉄道会社は、自分たちを
「鉄道で人や物を運ぶ会社」と
定義していた。
時代は流れ、自動車が普及し、道路網が整備された。
更には、飛行機が人や物を運べるようになった。
この環境変化に鉄道会社は対応できず、
車や飛行機に人や貨物を奪われ、衰退していった。
もし、鉄道会社が自分たちの定義を、
「鉄道で輸送する会社」ではなく、
「人や物等をお客様が望む場所で輸送する会社」と
定義していたら・・・
「鉄道事業」に固執することなく、
自動車輸送、航空輸送の事業にも
取り組もうとする発想が湧いたはず、
というものです。
自分たちの定義を狭く捉えてしまうと、
その狭い範囲でしか発想は出てこない。
そうではなく、自分たちの定義を広く捉える。
そうすれば、その広い視野の中で、
新たな発想が生まれるのです。
コロナ危機の今だからこそ、
「自社の定義」を意識的に変えてみることが
必要ではないでしょうか。
例えば、宿泊業と同じく苦境の代表格なのが、
「飲食業」でしょう。
飲食店も、自分たちの定義を、
「美味しい食事を楽しんでもらう会社(お店)」
ではなく、
「食事を通して、
より良い人間関係を作ってもらう会社(お店)」
「食事を通して、より豊かな生活を
過ごしてもらえる支援をする会社(お店)」
なんて定義したら、
テイクアウト以外の違った発想も
出てきそうな気がします。
ちなみに、自社の定義をするときのポイントは、
「自社が行っていること」から
「なんのためにそれを行っているのか」を
明確にすることです。