できる経営者の要件~多面的に物事を見る
「この物事をこの方向から見ると、こう見えるけど、
違った方向から見ると、こんなふうに違って見えるよね」
社員が持っていない視点で物事を見させること。
これは、経営者にとってリーダーシップを発揮するにも、カリスマ性を身につけていくうえでも、
非常に重要なことではないかと考えています。
2011年10月13日放送 「カンブリア宮殿で、
ヤマト運輸の2代目社長で宅急便の生みの親、小倉昌男氏の今エピソードが紹介されていました。
ヤマトホールディングス会長の瀬戸 薫(せと かおる)氏が話をしていたことです。
クール宅急便の開発に当たって、当初、小倉氏と開発を任された瀬戸氏との間では、
意見が食い違っていたとのことです。
以下、瀬戸氏の言葉。
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「当時、冷凍体(冷凍食品)をやろうとすると全部のクール設備が、
冷凍仕様にしないといけない。
そうすると莫大な設備投資がかかる。
これをやったらうちの会社、潰れちゃうぞと。
じゃあ、冷凍体ってまだ、そのころそんなにまだあんまり動いてなかったんですね、
だから、冷凍食品ってあんまり普及してないっていうデータを出して、
小倉さんに諦めてもらおうとしたらね、
『瀬戸君ねぇ、こういう君たちのような考え方もあるかもしれないけど、
僕はちょっと裏から見ると、冷凍食品を配るサプライチェーンがないから、
冷凍食品がおいてないないんだよ。僕はそう思うんだよね。
だからうちがやったら、みんな置いてくれるよ』って、
説得されました」。
以上
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すごいですよね。この発想というか、物事の見方。
「冷凍食品が普及していない」という物事を、
ひとつの方向から見れば、
『冷凍食品に対するニーズは高くないから』となり、
別の方向(小倉氏は「裏から」と表現していますが)から見れば、
『冷凍食品を配るサプライチェーンがないから』となります。
同じ事実を見えても、違った視点で見れば解釈が変わってきます。
また社員の側からしてみると、クール宅急便の開発をやめさせたい気持ちで
解釈するわけですから、当然ネガティブな解釈となります。
逆に小倉氏は、クール宅急便の開発を通して、なんとしても世のためになりたいと
考えているがゆえに、「できる方向性」での見え方になるのです。
社員がネガティブになって動きが鈍くなっているときに、
違った視点で物事を捉え、ポジティブな解釈をし、
自分が信じたあるべき姿に向かって、ぐいっと動かしていく、
これこそ経営者のリーダーシップといえるのではないでしょうか?