なぜ、俺の言うことが分からない!?(後編)
前回のメルマガでは、
会議の場などで、意見がぶつかり合ったままで、
時間ばかりが過ぎてしまう、そんな事例を、
NHKスペシャルを題材にして、お伝えしました。
なぜ、意見がぶつかり合うのか?
どうしたらいいのか?
その原因と対策について、今回はお話していきたいと思います。
まずは、原因から。
原因は、ズバリ、「視点が違う」ということ。
昨日お伝えした事例で言えば、
『人口が減る→総人件費が減る→消費が減る→企業の業績が悪化する
→給料が減る→さらに総人件費が減る→さらに消費が減る→・・・
だから、給料を上げよう』
と主張している人の視点は、
「長期的視点」であり、「マクロ的視点」です。
かたや、そんなことは実現できないと、反対している人たちの視点は、
「うちには内部留保などない」
「業績が上がらなければ、人件費は上げられない」など
「短期的視点」であり、「ミクロの視点」なわけです。
長期 VS 短期
マクロ VS ミクロ
で、お互いの主張を展開するから、かみ合うわけないです。
当然、「では、まず何から手をつけなければいけないのか」という
具体的な行動の案まで考えが及ぶわけもありません。
では、どうしたらいいんでしょうか?
一つの方策として、議事進行役が、
誰が、どんな視点で話をしているのかを察知して、
それを議論の場で、表面に出してお互いに考えさせる、
ということが挙げられます。
例えば、前回の例で言えば、こんな感じ。
「藻谷さんは、長期的な視点でお考えですよね。
今後、30年で立て直すには、っておっしゃってますし。
で、弁当会社経営者の○○さんは、
短期的な視点で考えられたご意見だと思います。
長期で考えなければいけない、短期で考えるのが正しい、
ということではありませんので、
まず、どちらの視点で考えて行くか決めましょう。
どちらから考えて行きましょうか?
長期的に日本を立て直すには、どうしたらいいのか、
こっちから考えていきますか?」
議事進行役が、このように
「この意見はどんな視点で述べられているのか」と
瞬時に判断できるようになると、
うまく会議を進められるようになります。
なんだか難しいなぁと思われるかもしれません。
確かに、カンタンですとは言いませんが、
ちょっとしたコツはあります。
要は、小学生のころに国語で勉強した対義語です。
長期に対して短期、マクロに対してミクロ、ですから。
その他にも、よく会議の場で出てくる対義語の視点としては、
メリット・デメリット、インプット・アウトプット、
ソフト・ハード、プロセス(原因)と結果、目的と手段、
質と量、新規と既存、あたりでしょうか?
これぐらいのことがすぐに思いつくようにしておく。
これがちょっとしたコツですね。
で、どちらの視点で述べられているのかを察して、
前述のように促していければ、いいわけです。
平行線をたどらせるより、どちらの視点をまず考えるのかを
促した方が、よほどいい議論になっていきます。