トップダウンの領域
トップダウンとボトムアップ。
「超トップダウンの組織で、社員が疲弊し、やる気をなくしている」
という話をよく耳にします。
しかし、トップダウンが、悪いのかといえば、決して悪いことだとは思いません。
かのスズキの鈴木修社長の名言で、
「ボトムアップ・イズ・コストアップ、トップダウン・イズ・コストダウン」
なんてのもあります。
星野リゾートの星野佳路社長も、自ら描いた経営ビジョンをトップダウンで、
社員に徹底させて成功しています。
「星野リゾートの教科書」(中沢康彦著 日経BP社)にこう書いてあります。
「星野社長は社内の自由な議論と積極的な提案を重視するが、経営ビジョンの策定では
社員の声を幅広く集めようとはしなかった。
『会社の向かう方向を決めるのは経営陣の専管事項』と考えたからだ。
弟の星野究道専務ら幹部の意見を聞いただけで、自分が主導して経営ビジョン作りを進めた。
そして新入社員でも理解できる分かりやすい言葉で、目指すべき企業像を定めた」
と。
要は、トップダウンであるべき領域とボトムアップであるべき領域があるということ。
ボトムアップであるべき領域とは、会社のビジョンや組織の目標を実現するために、
何をしたらいいのかを考え、実行していくことです。
ここに、トップが必要以上の介入をしてはいけないのです。
この領域は、社員に任せる。
この領域でのトップの仕事は、意見や提案がしやすい、
社員自ら行動しやすい環境を作ることです。
そして、トップダウンの領域は、会社全体のビジョンを描くことと、戦略的な意思決定です。
この領域でボトムアップをしているようでは、リーダーシップがないといわれてしまいます。
トップが明確なビジョンを示し、その実現に向けて社員が考えて行動する、
ってことですね。