仕事は金のためじゃなく~石工職人としての誇りと信念
本日は、岡崎市にある「上新石材店」で、代表の上野房男さんと、2代目上野梓さんのお話を伺ってきました。
2代目の梓さんは、「リアルペット」という分野では、全国から注目されている職人さんです。
リアルペットといってもなかなか分からない方もいらっしゃるかと思います。
百聞は一見に如かずで、こちらのHPをぜひ、ご覧ください。
http://www.mis.ne.jp/~ueshin/ookuri/rial.html
今回の訪問は、特にコンサルティングとかって話ではありません。
まず、今回の訪問に至った経緯を簡単にお話しておきたいと思います。
(上野さんから、どんなお話を聞けたのかは、あとからお話をします。
が、今回のブログ記事の内容は、手前みそながら、
いろいろな意味でかなり参考にしていただけるものだと思っています。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
経緯が結構長くなってしまったんで、ここは読み飛ばして頂いてもOKです。)
今回の訪問に至った経緯は、こんな感じです。
去る1月30日(土)にテレビ番組「知っとこ!」で上新石材が、「親子で紡ぐ匠の品」
ということで取り上げられていました。
その番組を、たまたま見ていたのですが、そこに出てきた2代目の梓さん(娘さん)が、
めちゃくちゃカッコよかったわけです。
(梓さんの凛々しい写真は一番最後に載せてあります)
女性だからとか、男性だからとかって性別で評価してはいけないのでしょうが、
あえて言わせていただきます。
女なのに、なにか男性的な職人の頑固さというか、一徹さというか、
そんなものがオーラとして、漂っていて、ホントカッコよかったんです。
「へぇ~、こんな素敵な職人さんが岡崎にいるんだねぇ」なんて思っていたわけです。
で、これまた、たまたまですが、明けて翌週の月曜日2月1日に、
岡崎商工会議所で打ち合わせがありました。
打合せ後、担当の方と「先日の土曜日のテレビで岡崎の会社が取り上げられてましたねぇ。見ました?」
なんて話をしたんです。
そうしたら、その担当者が、「その会社ならよく知っているし、代表の上野さんとも懇意なんですよぉ~」
なんてことを言いだすものですから、「ぜひ会わせてください!」ってお願いをしたわけです。
その場で、上野さんに即電話でアポを取ってもらい、今回の訪問に至ったというわけです。
(担当者には、あくまでも代表の上野さんに会いたいということを前面にお伝えし、
娘の梓さんに会いたいという本音は、見せないようにしておきました。)
経緯をお伝えするのが長くなりました。
いよいよ、ここからが上野さん親子から伺ったお話の内容です。
●「才能を引き出さないといかんやんね」
代表の上野さんの言葉です。
2代目の梓さんの「才能を引き出す」ためにどうしたらいいか、
をすごく考えていらっしゃるようでした。
時代の変化の中で灯籠は衰退傾向にあります。
なぜなら、住宅事情が変わり、庭に灯籠を置くという需要そのものが
なくなってきているからです。
その中で、いかに家業を継いだ娘に石工職人として才能を発揮してもらうか、
が上野さんの課題だったということです。
●才能を引き出すためにしたこと
では、そのために、上野さんがしたことは?
「石は提供してやるから、好きなもの作れ!」ってことだったらしいです。
宇井コメント:
組織において、社長・上司は、社員・部下の能力を引き出すことが大きな役割の一つです。
それができなければ、組織の継続的成長は望めません。
そのために、手取り足取り教えるということも必要かもしれません。
が、「環境は整えてあげるから、あとは自分で好きなことを考えてやってみな」という
やり方も、必要です。
どうしたらやる気を高められるか、どうしたら能力を引き出せるか、
で悩んでいる社長・上司の方もいらっしゃいますが、
上の者が出来ることは、環境を整えてあげることです。
それだけだといっても過言ではないでしょう。
●リアルペット着想のきっかけ
実は、これが私にとっては一番の関心事でした。
「なんで、こんなリアルペットなんてものが発想できたんだろう?」
勝手な結論ですが、お話を伺っていて、以下の3点があったからこそ、
考え付いたのではないかと思います。
①梓さんの「石のよさをもっと知ってほしい」という想い
②灯籠作りの際に出る破材(切れ端など)
③とあるお客様からの要望
「石のよさをもっと多くの人に知ってほしい。どうしたらいいのだろう?」と考え、
灯籠作りからでる破材がそのまま捨てられるのを見て、「もったいないなぁ」と思いながら仕事をしていた。
そんなときに、とあるお客様が、犬を連れて来られて、
「梓さんに、このわんちゃんを石で作ってほしい」と言われた。
お客様からそう言われた時、「それは、灯籠の分野ではなく、石工でも彫刻の分野の仕事じゃないのかな」
と思ったぐらいのことだったそうです。
何か目に見えないものが、お客様を引き付けたのでしょう。
宇井コメント:
何か新しいもののひらめきって、常に考えていることが、何かの拍子で、全く別物と
結びついて出てくるものではないでしょうか?
梓さんが、常に「どうしたらいいんだろう?」と考え、「もったいない。これを何とか使えないか」
と考えていたことが、お客様の声の触発されて、新たな発想が出てきたのだと思います。
●リアルペットへの想い
「形以上の物をつくりたい」
「ワンちゃんの思い、飼い主の思いを込めてつくりたい」
梓さんの言葉です。
リアルペットをつくる時には、飼い主の方に、
どんなしぐさをするワンちゃんだったのか、
どんなエピソードがあったのかなど、さまざまな問いかけをするそうです。
そのヒアリングの中から、ペットと飼い主の思いを感じ取っていくそうです。
今にも動き出しそう
↓
宇井コメント:
梓さんの話を伺っていて、「すごく心を大切にしている」と感じました。
飼い主のペットへの思いだけではなく、ペットの思いがこもったリアルペットにしたいというのです。
そして、梓さん自身の心を込める。
仕事に心を込められるって、本当に素敵だと思います。
職人だからということではなく、どんな仕事をしていても、
「心を込める」ということを大切にできたらいいですね。
私自身も心を込めて仕事をしていきたいと思います。
ちなみに、実際に見せてもらいましたが、今にも動き出しそうで、実にリアルです。
●代表の上野さんのものづくりへの想い
「世の中全体が、薄っぺらいじゃん。ものづくりの原点に変えられないと日本が潰れてしまう」
「心が入ったものをつくる」
「あんまり儲けようとしていない。やりたいことを大事にしたい」
●「遊び心を大事にする」
話が終わって、倉庫に並んだ作品を拝見しました。
灯籠だけでなく、お城や灯台、水車小屋まで・・・。
実に遊び心がある作品がたくさん置いてありました。
上野さん曰く「遊び心が大事。遊び心がなければいい作品なんか作れない」とのことでした。
遊び心で作った水車
↓
宇井コメント:
私も仕事に遊び心を取り入れるのは大賛成です。
遊び心を程よく取り入れた職場は活性化しています。
いかに程よく遊び心を取り入れるか、私の大きな課題です。
経営者、上司も自社・自職場にいかに遊び心を取り入れるか、考えていただけるといいと思います。
(ちなみに、遊び心を取り入れた事例はあります)
最後に、梓さんがリアルペットを着想できたもう一つの理由として、
「遊び心を大切にしている」ということを付け加えておきたいと思います。
本当に私としては、参考になる話ばかりでした。
代表の上野さんとツーショット
二代目梓さんの凛々しい姿