あいさつ大賞 その賞品の条件は○○なこと
先日のとあるコンサル先でのお話です。
社員は10名ほどで、電子機器の組み付けをしている会社です。
その社長さんとお話をしていたところ、社長さんの悩みとして、
こんな話が出てきました。
「うちの社員、あいさつがなってないんだよねぇ~」。
で、どうしましょうか、という話になり、私がアドバイスをしたわけではありませんが、
社長さんから、
「あいさつ大賞を決めて、毎週、表彰をしてみよう」
ということになりました。
さらに、「表彰と併せて、賞品を渡したほうが、やる気が出るだろう」と
いうことになり、社長が、
「どうせなら1,000円でもいいんで、現金がいいな」と言い出したのです。
う~ん、私としては、どうも違和感があって、
「社長、現金はやめましょうよ。そんな1,000円も出すのではなく、
なにか飴とかせんべいとか、高くても100円ショップで売ってるようなものが
いいですよ!みんなの前で表彰されればそれだけで効果ありますよ」
とお伝えをしました。
が、社長いわく「そんなんじゃやる気も出んやろ!現金でいこうよ。
俺のポケットマネーで出すから」
ってことで、結局は社長の意見で行くことになりました。
違和感はあったのですが、どうしてもそこで説得をするだけの材料が私には見当たりませんでした。
それから2ヶ月ほど経ったとき、とある本を読んでいて、その説得材料が見つかったのです。
「影響力の武器 説得の秘訣 なぜ、人は動かされるのか」 誠信書房
ロバート・B・チャルディーニ 著 社会行動研究会 訳
という本に、こんなことが書かれていました。
『社会科学者は、人は外部から強い圧力を受けずにある行為をすることを選択すると、
その行為の責任は自分になることを認めるようになると明言しています。
価値ある報酬というのも外部からの圧力の一つです。
それは、人に何かをさせることはできても、その行為に対する責任を
感じさせることはできません。
その結果、ある行為にコミットしたという気にならないのです。』
つまり、あいさつ大賞における賞品が、価値あるものであると、
「それがもらえるからあいさつしよう」ということになって、
自らの意志で責任を持ってのあいさつにならない、ってことになるのでしょう。
また、その賞品がもらえなくなったら、あいさつをしなくなる可能性が高いわけです。
「飴やせんべいがもらえるから、あいさつしよう」とはあまり考えないでしょうから、
飴やせんべいであれば、強い外圧にならずに、自分の責任として(自覚はしないでしょうが)
あいさつをしようとなるってことなんでしょうね。
「社内で、継続的な行為を促すための賞品を出すなら、
高価ではないもののほうがいい」。
そんなことを学べた一件でした。
ちなみに、その会社、あいさつはちゃんとやるようになっています。
(彼等にとって、1,000円は高価ではなかったのか?!)