言い合える場を持つ
今日、豊田市に本社を持つある製造業の会社を訪問してきました。
この会社は従業員23名の企業で、ある大手自動車部品メーカーの下請をしています。
社長さんとお話をさせていただきましたが、
人材育成に対して実にしっかりとしたポリシーを持っていることが、
話の節々からうかがえました。
時間としては1時間弱ぐらいの面談でしたが、
その1時間があっという間に感じられるほど、伺ったお話の内容は興味深く、面白いものでした。
その一部を紹介したいと思います。
その会社では、
「1年に3回、休日に全社員が一堂に会して、仕事とは関係のないテーマを取り上げ、そのテーマについて徹底的に話し合いをする」ことを10年ほど前から、社長の提案で実践しているそうです。
主な目的は、
- 社員が考える癖を身に付ける。
- 人の意見を聞く能力を身に付ける。
- 自分の意見を人に伝える能力を身に付ける。
- 社員間のコミュニケーションをよくする。
こと。
そこでは徹底的に社員がお互いの意見を出しあうそうです。
ただ、「絶対に人の話を否定しない」ことをルールにしているとのことです。
またルールとしては、「社長は口を出さない」ことも決めているとのことで、
社長は見ているだけ、だとおっしゃっていました。
このことにより、この会社では、社長曰く、
「社員に自主性が出てきた」
「社員一人一人がどんな価値観を持っているのか、
どんな考えを持っているのか、社長自身も含め社員同士が理解しやすくなった」
「社員間の風通しがよくなった」とのことです。
「なるほど」と思いました。
組織風土活性化のひとつの手法として非常に有効な手法です。
組織が活性化していない原因のひとつとして、コミュニケーションの停滞により、
社員同士が疑心暗鬼になることが挙げられます。
社員間や部門間、世代間で「あいつは何考えているか分からない」となるわけです。
その疑心暗鬼の心を払拭するためは、お互いのコミュニケーションの量を増やす必要があります。
そのためにはまず、何を言っても否定されないという安心感のもとに自由に発言でき、
コミュニケーションが取れる“場”を創ることが有効なのです。
ちなみに、仕事に関係のないテーマとして、社長が提示するのは、
「生きるとはどういうことか」とか、「お金を貰うとはどういうことか」なんていうテーマとのことでした。
哲学ですねぇ。