人はなぜ会議でうなずけないのか?
先日、ある企業に伺ったときのこと。
会議の場で、社長が一生懸命話をしています。
参加者は、経営者含めて15名ほど。
しかし、聞いている社員のほうを見ると、うなずいている人がまったくいない。
まったくです。
会議では、組織のコミュニケーション力が端的に表れます。
ですので、会議を見れば、普段どんなコミュニケーションが取られているかもおおよそ見当がつきます。
私が、会議カイゼンの支援などで、会議を見させてもらう場合、見るポイントの一つが、
誰かが話しているときに、メンバーが「うなずいているかどうか」です。
多くのチームの会議を見てきましたが、
実は「うわ、このチームすごいなぁ、めっちゃうなずいてるわぁ」って思うようなところはほぼありません。
この人の話にうなずくという行為、1対1で話をしているときにはたいていの人は間違いなくできます。
1対1で話をしていて、うなずかないというのは逆に難しいことです。
なぜ会議の場で人はうなずかなくなるのかといえば、3つほど理由が挙げられると思います。
ひとつは、話を聞いている人の感覚として、自分に話しかけられている感覚がない、ということ。
会議の場では、話をする人と聞く人は、1対多数になります。
多数の中でも特定の中の一人に話しかける場合は、その人はうなずくでしょうが、
全体に向かって話される場合は、途端にうなずかなくなります。
二つ目は、話の内容に関心がないため。
話されていることが自分に関係ないと思っていてはなかなかうなずくこともできないでしょう。
もうひとつは、これが一番肝心な理由なのですが、
話している人への尊重の心、思いやりの気持ちが不足しているためです。
あなたもきっと経験があると思います。
会議で発言しているときに、誰もうなずいてくれずに、話しにくいと感じたことが。
逆に、誰かがちゃんとうなずいてくれて安心しながら話ができたこと。
これらの経験があり、誰かがうなずいてくれると安心して話ができることが分かっていながら、
なぜ会議で人が話しているときにうなずけないのでしょう。
尊重する心、思いやりの気持ちがないといわれても仕方ないのではないでしょうか。
会議の場で、まずは誰かが話をしているときには、「うなずく」ことを徹底してみましょう。
しかし、単に「うなずけ」ということではダメです。
「うなずくことは、相手を尊重し、その人の立場に立って、思いやりの気持ちを示すこと」と
いう心構えを認識することが大切です。
ただ組織のリーダーが、いきなり「思いやりの気持ちでうなずこう」と言われると、
メンバーは逆に会議でうなずきにくくなるものです。
ですから、リーダーとしてまずは自分自身が「うなずく」を実践してみるといいでしょう。
ころ合いを見て
(メンバーがリーダーがうなずいてくれるようになったから、話しやすくなったという声が挙がったころ)、
「人の話にうなずくってことは、その人を尊重する気持ちや思いやりの気持ちの表れだと思うんだよね」とさりげなく伝えていただけるといいでしょう。
もしあなたがリーダーでなければ、まずはあなただけでも実践してみましょう。
こうした相手を思いやる気持ちが醸成させることで普段のコミュニケーションの質も高まっていきます。