「もう、○○しかないです」って、その言葉に注意!
先日、営業のコンサルティングで伺った会社でのことです。
そこの営業マンと話をしていると、この「しかない」という言葉を多用するのです。
「時間かけてやるしかないですね・・・」
「優先順位つけるしかないですね・・・」
などなど。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」第8巻にこんなシーンが出てきます。
竜馬が「大政奉還」の案を土佐藩後藤象二郎に打ち出した後、
竜馬と同じく、土佐藩脱藩人で、倒幕に東奔西走する中岡慎太郎が、
竜馬に「大政奉還」の真意を質すために、竜馬に会いに来ます。
「竜馬、刀にかけて聞きたい」
中岡慎太郎は、ひらきなおった。
「おおげさな」
竜馬は急に背をまるめ、くすくす笑った。かねがね中岡慎太郎のこのいちずさが、
たのもしくもあり、ついつい滑稽にも感じてしまうのである。
「なにがおかしい」
「お前(まん)の顔がおかしい。人間、そう面をひきつらせてものをいうものではない」
「いやなやつだ。すぐ茶化す」
「冗談ではない。おれはかつてものごとを茶化したり人を茶したことはなかった。
それだけがおれの取り柄だ」
「竜馬、聞け、おンしゃ、まともに幕府を倒す気があるのか」
「そのために命を曝してきた。返答の必要はあるまい」
「しからばなぜ、大政奉還などというあまい手を打ち出す。
しかもまやかしの、出来もせぬシナ手妻を。―竜馬、言うちょくが幕府は砲煙のなかで倒す以外にないぞ」
「しかない、というものは世にない。人よりも一尺高くから物事をみれば、道はつねに幾通りもある」
以上
私も、この「○○しかない」という言葉はきらいです。
意識して、使わないようにしています。
「○○しかない」と言っている多くの場合、
考えたくないというか、考えてない、思考停止になっている状態だと思うのです。
竜馬の言う通り、「この世にこれ以外に解決策がない」なんてことはありません。
(まぁ、たまに極端な事例であれば、はそん時もあるのかも知れませんが・・・)
先述の会社だけでなく、この言葉はよく聞きます。
「仕入先に、納期を早めてもらうしかないですね」
「トップダウンで、上から言ってもらうしかないですよね」
「競合より値段下げるしかないでしょう」
などなど。
言葉は、心の状態を表すといわれます。
「○○しかない」と言っていないかどうか、これから自分でチェックしてみてください。